あんへる

劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM [前編] 君の列車は生存戦略のあんへるのレビュー・感想・評価

3.8
2011年、日本にとって未曾有の大震災に見舞われた年であるのと同時に、アニオタ界隈にとっては近年のアニメ史における大豊作の年として記憶に残っていることだろう。
まどマギ、シュタゲ、Fate/Zero、花いろ、あの花、タイバニ、アイマス、シャナ3期、ペルソナ4、日常 etc…、確かに今パッと思い浮かぶだけでこれだけの名作が並ぶ年ってのも凄いな。
というか、改めて幾原邦彦の「輪るピングドラム」と新房昭之の「魔法少女まどか☆マギカ」が同年に放送されてるって事実よ。
まぁこの関係性やシャフト演出的なことまで語り出すと無駄に長くなるので割愛するが、大袈裟に盛って運命の輪の存在を感じずにはいられないといいますか、キモオタ心理的には勝手にシコシコ妄想してグッときちゃう訳ですよね。

さて、閑話休題というか、そろそろ本筋へ。
まどマギ(結局引きずってる)といいピンドラといい、共通して〈愛〉と〈呪い〉が主題になっている作品だと思う。
このテーマ性の果てに、作劇を通し、それぞれ別のアプローチを以て“救い”を齎す結末を描いているが、決して短絡的かつ楽観的なハッピーエンドで締め括られる訳ではない。
共に解釈が容易な作品ではないが、ピンドラに関してはストーリーラインがより複雑化していて更に一筋縄ではいかないってのがTV版の印象だった。

で、本作10年越しの劇場版ってわけなんだが。
思ったよりも新規カットが多い印象はあったが、とどのつまりは総集編。とだけ言ってしまうと流石に味気ないけど、イクニ監督の意匠みたいな思念はしっかりと込められている風には感じる。
あの格好の桃果が高らかに謳う「きっと何者かになれるお前たちに告げる」には流石に胸の震えを抑えることができなかった。
実写映像を多用している部分も、「作画の力に頼らずに面白い物を作る」というイクニ監督の作家性というか信条が少なからず反映されているのかなぁとか思ったり思わなかったり。

ただ、一応TV版の総集編とは言ったものの、ピンドラ初見勢にはおすすめできない構造にはなってる。
まだ後編まで観てないけど、本作に触れる前に少なくともTV版(全24話)を一周した方がおそらく無難かと。

ん?24話も観てらんねぇよ~とか抜かしてねぇで、おもしれぇからさっさと観りゃあいいんだよこの脳味噌ド腐れゲロ豚ビッチ娘が!←(しれっとカットされてた名台詞)
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