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ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/死霊創世紀のSSDDのレビュー・感想・評価

4.0
◼︎概要
墓参りに郊外に向かう兄弟、突如として男に襲われる。郊外の一軒家へと逃げ込むが、明らかに意思の疎通ができず死体と思われる人間が何体もうめきをあげて襲いかかる。そこに現れた男や他の人々は状況も掴めず、籠城戦を始める…。

◼︎感想(ネタバレなし)
白黒の時代に撮った作品をロメロ監督がフルカラーでリメイク。自身で脚本を書き、監督は別人となる。
ロメロといえばバイオハザードの元になったゾンビ(1979)でホラーの金字塔と言われるものを作り上げた監督。
当時では本作は日本での公開はなく、ゾンビ(1979)で日本では広まった様子。

本作もゾンビと同様にパニックが広がると共に利害関係の対立した人間同士の争いという醜い姿を描き出し、ゾンビという知恵を持たない者と生者の違いがそうないことを皮肉に描いている。
単純なパニックホラーだけではなく寓話的な見せ方でみせる同監督のゾンビものはやはり不朽の名作。

金切り声が序盤からきつく、以前視聴しようかと思った時には気が乗らなかったのだが、しっかりとゾンビものとしてのジャンルを確立した作品として本作も素晴らしい出来でした。
ゾンビ物が好きな方は是非、原点回帰で本作の視聴をおすすめします。











◼︎感想(ネタバレあり)
・争う愚か者達
地下室に篭りたがる男と、一階の守りを固めたいという男とで口論になり、最終的にその確執で撃ち合いになるという顛末。
しかも地下では妻子が共にゾンビになってしまうという皮肉。
地下で籠城していたら周囲も様子がわからない上に感染者が内部に出て全滅というパターンだっただろう。
一階を捨てて、階段さえ塞げばいい二階で必要あればハシゴで降りることや高所を利用して周囲を確認できたのではと思うが…野暮か。
結局はリーダーシップを取ったが、皆を死地に追いやってしまった男と、利己的で家族さえ死に、最後は生き残るクソ野郎という皮肉なオチは素晴らしかった。

・ヒロイン
元々は金切り声を上げるだけの存在かと思えばどんどんと冷静で行動力がついていき、他人任せにする必要性のなさから自身で行動するようになる変化。
救助された後も先ほどまでは生者だったものを愚弄する行いを見て"我々も変わりがない"といい周囲を軽蔑するシーンは必要不可欠だった。
また約束通りに救出に向かい、救いたかった男が死に、利己的な男が生き残っている時に唖然として撃つのは観客が望んでいたシーンだった。
だが、それで終わらずにお祭り騒ぎのような愚行と彼女を交互に写すシーンで終わっていくのはいい演出だった。

・総評
やはりロメロのゾンビは化け物となってしまった人間と、知恵を持つがそれらと変わらない人間達の対比という観点が描かれ、単なるアクションやホラーとしてではないカタルシスが素晴らしい。
久々にいいゾンビ映画でした。原点回帰。
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