回想シーンでご飯3杯いける

リコリス・ピザの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)
3.7
1970年代のロサンゼルスを舞台にした、失敗とやり直しの物語。実在の人物も登場する中で、現実では起こり得ないような展開を見せる構成は、ラブストーリー版「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」と言って良いかも。

25歳のヒロイン、アラナと、15歳の少年ゲイリーという、年の差カップルの話で、子役俳優として稼ぎのあるゲイリーは、この年にして劇中で2つの事業を始める行動派。逆に言えば、その分、失敗ややり直しも経験しているという事で、継続こそが美徳とされる日本とは正反対の価値観から生まれた作品だと思う。

いや、でも真面目な話(いや、不真面目な話か?)、日本では味わえない価値観に触れる事こそ、海外の映画を観る最大の醍醐味じゃないのかな。本作のメインターゲットは、'70年代のレトロな雰囲気に魅力を感じる大人だと思うけど、日本の若者にも是非見てもらいたいと思う。共感重視の「あるある」映画ばかり観てたらアカン!

主演のアラナ・ハイムは、3人姉妹によるロックバンド「ハイム」の末っ子。バンドではボーカル担当のダニエルの方が目立っているけど、女優としてはアラナの方が魅力的だというのが良く分かる。僕はハイムが大好きなので、ちょっと贔屓目で観てしまっている面もあるけど、そんな彼女の出演作という事で、'60~'70年代のロック満載のサントラも含めて、このハチャメチャで夢のある世界にどっぷりハマる事が出来た。