inazuma

ダンサー・イン・ザ・ダーク 4Kデジタルリマスター版のinazumaのレビュー・感想・評価

5.0
「ラース・フォン・トリアー レトロスペクティブ2023」…9作目🎼

昔DVDで観たときは胸糞悪すぎる内容から二度と観ないと心に誓いましたが、記憶も薄れたしせっかくのレトロスペクティブなので思い切って再鑑賞。
当時観たときはミュージカルシーンが理想と現実のギャップを押し付けてきてる感じがして、ミュージカルが楽しければ楽しいほど気持ちがどんどん沈んでいくという希少な体験をしました。
これは意地悪トリアー監督の意図するところかなと勝手に思っていますが、今回改めて鑑賞して、意地悪で過酷な運命にも自分の信じるもの=ミュージカルで立ち向かうセルマが健気で頼もしく、なんなら爽快感すら覚えました。ビョークの透明感がありかつ凄まじい演技がそれを後押しして、当時観たときとはまたプラスの意味で違った印象を受けました。(正直、映画館でみたことが一番大きいですかね、、もう本当に圧巻)

初見当時の記憶としてセルマとビルの修羅場と工場ミュージカルとラストぐらいしか残ってませんでたが、それ以外にも印象深いシーンが多々ありました。
本当に痛いところを突いてくる。。
セルマの弁護士費用を親友キャシーが用意してきてくれるシーンとか特に。どうやって手に入れたお金かが分かったとき、皮肉すぎて哀れすぎてやるせない気持ちになる。だからといってキャシーの行動を否定することもできない。キャシーにはイライラと同情が同時に募った。感情がぐらぐら揺さぶられる!

希望と絶望がごった返す刑務所のシーンが酷い。そばに分かり合える人が何人もいるのに死を待つことしかできない絶望感が本当に最悪。どんなホラーやサスペンスよりこっちのがよっぽど怖い。
そんな凄まじい恐怖に襲われながらも信念を突き通そうとするセルマは強すぎる。ビョークとトリアーがセルマの在り方について意見が食い違い大喧嘩することが多々あったと聴きますが、なるほど魂が込めに込められた強い女性に昇華していました。

最近ビョークからトリアーへハラスメントの告発もありましたが、二人の仲の悪さはガチのようで。そんな二人のガチのぶつかり合いによってこんな大傑作が生まれたというのが、もう本当にカッコいいし尊敬します。製作過程を映画にしてほしい。当時カンヌでの仲よさげな二人のツーショット写真をみると、本当は仲悪いんだろうけどサービス精神が半端ないなと思いました。二人に惚れました。


過去に一度観てるし今回のレトロスペクティブでは優先度を低くしてましたが、、すみません。いや~映画館でみれてマジで良かった!感動と恐怖と楽しいミュージカルと美し映像と…これは大画面で堪能してなんぼですね!本当に充実した時間を過ごすことができた!
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