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彼女を見ればわかることのRiNのレビュー・感想・評価

彼女を見ればわかること(1999年製作の映画)
3.3
しんどいですねー、女性諸君。
痴漢の横行する通勤電車、若いね可愛いねとチヤホヤするのはセクハラにならないと思っている悪気のない上司、親戚からの無神経な「結婚の予定は?子供は?」の定例文句、同性からのマウンティングや圧力、「女だから」「女ゆえに」のしんどさ、声高に訴えるのは下品な気もして、あーしんどい。
その日の予定で見た目の性別を変えられたら、と妄想しながらつり革にぶら下がる日々は続くわけです。さて。

ここに書いたのとは少し違う毛色ですが、そんな色んな「しんどい」を抱えた女性たちを描く、オムニバス映画。アメリカ製作ですが、本国では全くウケず、日本ではロングランヒットとなった異色作。観てみて、成る程な、となりました。この映画、クセがあって暗くて地味で思わせぶりな、いわゆる雰囲気ものです。

6人の主人公は全員、特殊な立場のありふれた女性たち。医者、占い師、シングルマザー、警官、盲目の教師に女性キャリア。
無駄な説明は一切省かれ、視聴者に探ることを求めるタイプの映画なので、静かな会話や描写のひとつひとつに目を凝らす必要があります。女性たちの、たくさんの「しんどい」を飲み込んで煙と一緒に、あるいは眼差しで、静かに吐き出す仕草が美しくて切なくて、息をのみました。
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