磨

マイスモールランドの磨のレビュー・感想・評価

マイスモールランド(2022年製作の映画)
3.7
日本で暮らすクルド人一家の日常を捉えたヒューマンドラマであり、1人の少女が自身のアイデンティティに葛藤し、成長していく物語。

是枝裕和監督率いる映像制作者集団「分福」に所属する若手監督・川和田恵真が自ら書き上げた脚本を基に作り上げた社会派ヒューマン・ドラマ。
日本の難民政策の非情を描くと同時に、英日ハーフである監督自身の「自分は何人なのか、自分の国はどこなのか」という想いも反映した商業映画デビュー作品。

主演の嵐莉菜(名前カッコいい笑)は両親併せて5カ国のマルチルーツを持つViVi専属モデル。今作が映画初出演にして初主演作品。
その美貌に目が釘付けになるけど、演技も初出演と思えぬほど堂々としたモノで、お父さんとの会話で喋っていたトルコ語も頑張って憶えたという努力家でもある。
そのお父さんと妹と弟は嵐莉菜ちゃんの本当の家族との事、後で知って少し驚いたけど、演技力はともかく家族揃ったシーンでの違和感のなさは本当のリアルだからだと納得。

…ちなみにお父さんは「ここがヘンだよ日本人」などに出てたらしい。そういえばあんな顔でいつもキレてた人いたような気がする(笑)

ボーイフレンド役の奥平大兼君は「MOTHER マザー」の息子役以来の長編映画出演。重い映画ばっか出てるけど、やはり上手いなぁと感心する(間の短編作品はほぼ寝てる役だったけど笑)

作品全体を通してもかなり良かった。なんとも切なく、そして考えさせられる内容は大袈裟ではなくひとつひとつが心に刺さった。ラストシーンはかなり印象深かった。
内容もさる事ながら、監督&キャストと新たな才能の登場は邦画ファンとして素直に喜びたいです。


ーさてこの難民問題、2020年世界の難民認定数は独国6万人、加・仏・米国が2万人弱、英国が9千人で、日本は…なんと47人だそう(3,936人申請)。赤穂浪士と間違ってるんじゃないかと目を疑う程の少なさも、これが現実。

最近はドンキで働くウクライナ避難民の…なんてのが話題になってたけど、彼ら彼女らを応援したいのは当然として、本来こういう話題がいちいち挙がる事がズレてるのかも?とも思う。
そもそもウクライナ避難民に関しては、政府が各国の出方伺いつつ歩調合わせて受け入れてる感マシマシなので、普段なら本作のチョーラク一家のように受け入れなかったor資格不許可されただろうと思われるしね。

認定基準の問題とかもあるけど、そもそも日本国民の中には“純血主義”も多いらしく海外の人が入ってくるのを本気で毛嫌いする人も多い。ちょっと都会離れたら未だに外国人(とコロナ)との共存を一切認めん人多いから、マジで(笑)

こういう人たち、選挙だけは絶対行くもんな。

…まぁ、そういう事ですよ。
磨