"原爆の父" こと、J・ロバート・オッペンハイマーの半生を描いた重厚なヒューマンドラマ。
登場人物が多くテンポも早い、おまけに時系列も入れ替わり情報過多と事前に知ってしまったため、史実と割り切り少し予習して臨んだ。
時系列シャッフルの意図が汲み取りきれない場面もあり、結果的に予習は功を奏したと思う。
「オッペンハイマー視点のクローズドな聴聞会(カラー)」「原子力委員会のルイス・ストローズ視点のオープンな公聴会(モノクロ)」、この2つの視点からそれぞれ過去を振り返る形で話が進むためとてもややこしい。
モノクロであるストローズ視点の方が、本編内の時系列としては一番先に進んでいるというのも肝。
お話としては赤狩りにフォーカスした部分が多く入れ替わる登場人物達に頭が翻弄されたが、オッペンハイマーを演じるキリアン・マーフィーの表情や核実験に関する一連のシーンの迫力と緊張感は忘れられない。
ノーラン監督はどこまでを実写で撮影したのだろうか…。
直接的な被害の描写が無い事に賛否両論あるようだが、やっぱり日本の広島・長崎に原爆を落とした事に触れるシーンは複雑な思いになった。
また、諸々の人物や情報が出揃った終盤からが本番で、世界を変えてしまった事への苦悩と取り巻く環境の行く末が個人的に見どころだった。
あとフローレンス・ピュー演じるキャラクターとのとあるシーンは、いきなり全裸になってて思わず笑いそうになった。
