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オッペンハイマーのhiroyokoのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.2
エンターテイメント映像表現をIMAXフーマットにこだわって作品を作ってきた、ノーランの挑戦。オッペンハイマーという人間を通じて、核分裂反応という量子の力、星の力を解き放つことへの、畏れ、恐れ。冒頭のプロメテウスの説話が、本編のテーマを雄弁に語る。本作は徹底的に考えられたサウンドスケープが、最もテーマの本質を表す演出になっている。映像よりも音で、IMAXが活かされいる。観客に畏れをすり込むような、腹にくる重低音。劇伴も徹底的に不穏。冒頭の量子を可視化したようなシーケンスは、この人がこれから解き放つ力の大きさを感じさせる。量子力学 ボーア、ハイゼンベルク、その扉を開いたアインシュタイン。今も重要なこの分野を、第二次世界大戦時にその基礎理論の、殆どが作られた。その当時のドイツが先端を担っていた。アメリカや欧州の科学者の恐怖は、この映画で感じ取れた。
日本公開後、間違いなく様々な意見が出る映画。自分は、日本人こそ観るべき映画だと確信する。この映画を見て、様々な対話をすることが大切だと思う。人間は歩みを止めない。そして常に愚かだ。
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