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PERFECT DAYSのhiroyokoのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

沁みた〜。ヒラヤマさんの変わらぬ日々。でもそれは、変わらぬように見えて、日々、小さな人の営みが、トイレ掃除というルーチンな仕事を通じて、折り重なって、様々な紋様を作ってる。木漏れ日のように。そんな物語をヴィムベンダースという異邦の監督と、素晴らしい役者、役所さんと、東京の下町とスカイツリーが織り上げる。いや、沁みました。
自身の出身が、浅草にほど近い下町なこともあり、景色が馴染み深く、尚更。
そして、音楽と撮影がホントに素晴らしい。音楽はセレクトが秀逸。メジャーな楽曲だけど、その普遍性が、ラストのヒラヤマさんの表情に説得力を持たせてる。
光、木が本作のモチーフ。光は、撮影が良かった。ありがちな過剰感がなく、あくまで自然な撮影の中で、多様な光を感じます。光と木の関係性、木漏れ日が人生のメタファー。ヒラヤマさんの、影の濃さが重なり、変わらないなんて無い、という言葉に想いが詰まってました。
きっと色々な解釈があると思いますが、私はヒラヤマさんが、何故あの暮らしをしているのかが、あのラストシーンに詰まっていたと感じました。日々感じる営み、その幸せを、あのスカイツリーを見上げ、大切なテープの音楽を聴きながら、車を走らせるとき、彼の人生の充足が満たされていく。その時、太陽の光が彼を包んでいる。彼の愛でる木そのもののように。その演出が、日常のルーチンという人生の素晴らしさを雄弁に語り、当にパーフェクトデイズというタイトルが沁みる。
最近、平和なルーチンが、如何に貴重かを痛感する日々。それ故に、この映画は、とても今を切り取っていると感じました。
いやー、役所さんホントにいい。素晴らしい。そりゃカンヌ取りますよ。他の役者さんも良かったなー。そして、東京の夜景、ホント素敵^_^愛すべき映画です。
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