マルケス

オッペンハイマーのマルケスのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.5
1929〜1959年は世界恐慌、WW II、冷戦という激動の時代に当たる。
アメリカ、ドイツ、ソ連、日本の捻れた相関図を形作る歴史の不可思議さ。誰がサイコロを振り、誰が駒を進めたのか。

歴史にタラレバは意味がないと知りつつも、ドイツが独ソ不可侵条約を破棄しなかったら、アメリカがレンドリースでソ連を支援しなかったら、ドイツがあと3ヶ月持ち堪えていたら、と思いが巡った。

小さな一滴はさながら核爆発のように連鎖的に広がり、激流になって世界を揺るがす。
トリニティ実験の映像はやはり衝撃。閃光、一瞬の無音の後に轟音と爆風が襲う。成功に沸く人々の映像を、身を固くして見つめた。

ユダヤ人としての使命感、科学者としての探究心、人間としての罪悪感。恥や弱さ、闇の部分も含めて生身のオッペンハイマーに近いのだろう。
他にも印象に残る人物が10人以上。一人ひとりに立場、主義、感情があり、歴史が動いていく。複雑な世界情勢を背景にした群像劇でもあった。

ノーラン作品の特徴である時系列シャッフル、加えて登場人物も会話も多く、混乱する要素満載。予習推奨の書き込みを見て慌てて一夜漬け。おかげで集中して鑑賞できた。
人類は最終兵器のある世界に生きている。それを改めて知らしめたことに、作品としての意義を感じた。

【自分用メモ】
ドキュメンタリーでのカウントダウン
「…3, 2, 1, Now.」←
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