だめだ。一回いろいろ書いたけど、長いし、考えがまとまらないから全部消した。
簡潔に、今までのノーラン作品を見終わったあとと全く違う、新しい感覚。
紛れもなく僕はオッペンハイマー博士の横で彼の半生を一緒に経験し、彼の苦悩を体験させられた。クリストファー・ノーランによる圧倒的映画体験。
分野、時代は違えど、同じ科学者として生きる人間として、見る価値のある、凄く意味のある作品だった。
この映画は紛れもなく反戦・反核映画だ。
これ見て「やっぱ核兵器がないとだめだ！核があったから今の平和な世界がある！軍国主義万歳！」って感じるやつがいると思うか？思ったのか？日本のヘタレ配給会社は。
僕ら日本人が強烈に不快に、違和感を感じた、原爆投下成功後のオッペンハイマーのスピーチシーン。称賛の拍手を送る群衆と、素直に喜べないオッペンハイマーの表情とのギャップ。あのシーンは日本人だけでなく世界中の人に、大きな違和感としてしっかりと伝わってるんじゃないだろうか。バーベンハイマーで胸糞悪いコラ画像挙げるような、一部のアホなアメリカ人に目くじら立てる必要が本当にあったのか。
もちろん、傷ついた人がいるのは間違いなく、あのコラツイートをした奴らは批判されて当然だが、それがノーランの思いと真逆に進んだことがなんとも残念。
ともあれ、しっかりと上映され、imaxシアターで180分しっかりと見届けられたことは本当に良かった。あまりの没入感に『本当に180分たった？』と感じたくらい。
一つだけ文句を言うなら、俳優陣が豪華すぎること。そもそも日本での上映すらも危うかった今作は、ノーラン作品としては異例とも言える国内での宣伝がほぼなし状態で公開。正直メインどころの俳優陣以外は全くノーマークだった為、ケイシー・アフレック？！ラミ・マレック？！とあまりの贅沢な俳優の使い方に驚いて、セリフが入ってこない問題はちょっとだけあった。
そんな脇を固める豪華な俳優陣の中心に、あのキリアン・マーフィーがいるってことも、ノーランファンには最高ですね。
そのキリアン・マーフィーの演技が素晴らしかったのは言わずもがな、でもそれ以上に食らったのが、ロバート・ダウニーjr.
最高のヒールだったね。
映画の構造はメメントほど難しくはないんだけど、いかんせん当時のアメリカの立ち位置を理解できていないため、探り探り見てしまった感は否めない。
一度みて咀嚼して今また2回目を見たくなってるのはいつものノーラン映画と同じですね。
