このレビューはネタバレを含みます
IMAX（通常）で観ました。
事前知識が無さすぎて、誰が誰だか、何を話してるのか、よくわからないまま3時間を過ごしました。
鑑賞後にいろんな人の解説を読んだり聴いたりして、なんとか6割くらいは理解できた気がしますが、難しかったです。
とは言え、やはり映像と音は凄かったです。
特にトリニティ実験のシーン、重低音が凄すぎて座席が震えまくってました。
結局のところ、オッペンハイマーという人物については掴みどころがないなという印象でした。
善人でもないし、悪人でもない。
まともではないが、狂人でもない。
でもそれが人間だよなあ、とも思いました。
カラーで描かれるパートが、徹底的にオッペンハイマーの主観視点で描かれていたのは良かったです。
広島、長崎への原爆投下がラジオのみで彼の耳へ伝わり、直接的には描かれない、というのがとてもリアルでした。
原爆の威力を知っているオッペンハイマーは悲惨な状況を想像できるため、絶望する。
しかし、それを想像する術がなく、ただ単にアメリカが勝ったこと、戦争が終わったことしか知らない民衆は狂喜乱舞する。
日本人にとっては特に残酷なシーンでしたが、その立場だったらそらそうなるよな、と納得もできました。
核分裂の連鎖反応の話も象徴的でゾッとしました。
大気への引火は起こらなかったが、人間の心に終わらない連鎖反応を引き起こしたのは事実で、そこから地続きの現実を今、私たちは生きているんだなと。
おびただしい数のミサイルが頭上を通過し、地球が火に包まれる、
彼の想像したシーンが現実のものとならないことを、心から祈るばかりです。
痛烈なメッセージが重低音とともに重くのしかかる映画でした。
これを身体知として得られたのは良かった。
