いっときは日本公開じたいが危ぶまれたりもしましたが、まーゆうてもアカデミー賞いろいろ取ったしそこそこ長いこと公開してるやろう！とタカをくくっていたら、最寄りのシネコンでは去年できたIMAXスクリーンでの上映が終わってしまいノーマル2Dでの鑑賞になってしまいました。ノーランの作品ならばせっかく近所にできたんだしぜひIMAXで！と意気込んでいたのに残念。やっぱり長くやってるだろうとか言ってないで観るつもりの映画はなるべく早く！が鉄則だなあと思い知った次第。
さておき、観終わって最初に思ったのはイヤべつにこれふつうに反戦・反核メッセージがしっかりある作品じゃね？なんで日本で公開できるかどうかみたいになるの？ということでした。たしかに何万人も殺しといて実験が成功してヤッターってなってたり葛藤するにしても自分の社会的地位がどうこうみたいな部分もあったりとかはイイ気なもんだ感ありますが、でもまあしっかり踏み込んでるほうだと思います。アメリカ人目線での第二次世界大戦観が日本人として納得いかないっていうのはわかるっちゃわかりますが、じゃあ僕らがアジア諸国のみなさんが納得できるスタンスで太平洋戦争のことを考えているのか、そしてその考えをこれからの自分と戦争との位置付けに生かしているのかってことですよね。そのへん振り返ってみたらこの作品はじゅうぶん頑張ってるんじゃないでしょうか。
なーんて作品のメッセージ性から話が始まってしまいましたが、映画としての面白さももちろんしっかりありました。別々の時間軸の話を並行して見せるっていうのがストーリーに対する興味をぐいぐい引っ張っていく脚色と編集の妙はさすがですしね。今後「ノーラン風」の中途半端なフォロワー出てきそうで心配ですけど。正確には裁判ではないのですが法廷劇っぽい会話のやりとりも、ゴランソンの劇伴をガンガンに鳴らしながら進行していくので退屈することがなかったです。原爆の実験から投下までは全体のストーリー尺からみるとわりと早く到達するのですが、そのあとも全然ダレない体感でしたね。
でもこの緊張感と、あとキリアンマーフィーの演技によるところ大でしょうが主人公のなんともいえない多面的な内面がうかがえるところと、そのあたりはIMAXでなくともスクリーンで観てこそだと思います。まだ間に合うならぜひ連休中に劇場で鑑賞するのをおすすめします。
とはいえ一緒に観たツレは「こんなにイヤな人しか出てこない映画なんか知らんわ、なんでこれが哀れなるものたちを押し除けていっぱい受賞したんかわからん」と憤懣やる方ない感想でしたがまーそれもわかるっちゃわかるんですよね。そのあたり自分なりの感慨を持つにせよ、やっぱりまずは劇場で観てこそなんじゃないでしょうか。
