みーやん

Saltburnのみーやんのレビュー・感想・評価

Saltburn(2023年製作の映画)
3.4
波長が合う人ならもっと高評価にもなるかもしれません。
でも全編を通じて不安感か不快感かいたたれまれなさのどれかを常に感じ続けさせられる作品を、映画はやっぱりスカッと楽しく!がモットーの自分がこれだけ面白く観てしまったっていうのはやっぱりナニカがある映画なんでしょうねえ。つらつら思い返すにいきなりアップの語りから場面変わって長回しでタイトルが出るまでのオープニングと、そのオープニングが回収されてからのエンディングが見事なのも印象深さの大きな要因かなー。

プロミシングヤングウーマンのエメラルドフェネルが二作目を撮った!ものの劇場スルーでアマプラ独占公開ってどういうこっちゃ!と思いましたが、まあ自分的には小さい画面だから乗り切れたのかもしれません。でも絵的なリッチさはやっぱりすごいので、そこは大画面で観たかった気もしますね。
画面のアスペクト比がちょっと変わっていてふつうの映画よりもテレビ画面っぽいというか縦が少し長いのですが、顔をアップで収めるにはこのほうが座りがいいような気もしますね。監督曰く「覗き見してるような感覚にさせようと」っていう狙いだそうですが。

主演のバリーキオーガンがハンサムじゃないはずだしとことんキモいのになんか惹きつけるものがあるように映ってるのも、自分もともとそこまでではないですけどファンだったらコリャたまらんだろうなと思いました。やっぱりこの人って目が特徴的なんですかね。オリヴィアワイルドの監督作のとこだったかのレビューでも書いた気がしますが、俳優もこなす監督さんって人物の表情だったりそこにあらわれる思惑の交差みたいなのをとらえて作品に封じ込めるのが上手なように思いますね。同じ目線に立てるだけに演出つけるのも上手なのかもしれませんね。みんながみんなじゃないでしょうけどね。

プロミシング〜に比べると社会に対する批評性というか、社会と切り結ぶ喧嘩上等なアティチュードみたいなのがそこまで盛り込まれていないのでそこが物足りない人はいるかもしれません。そのわりにエンタメに振ってるわけでもないので、こんな気持ち悪い話だったら観なきゃよかったって人もいるかもしれません。でもなんかやっぱりよくできてる映画ですよねえ。困ったもんです。
みーやん

みーやん