みーやん

デューン 砂の惑星PART2のみーやんのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
4.0
都会にお住まいの諸兄からするとナンジャそれってなもんかもしれませんが、なんと!本作が!わたくし人生初のIMAX鑑賞となりました!!!

というのも最寄りシネコンのひとつでいちばん頻繁に利用しているユナイテッド・シネマ金沢が昨年12月に北陸三県で初となるIMAXスクリーンを導入したんですね。となると来たるオッペンハイマーももちろんIMAXで観たいところですが、まず先にこっちを観られたのはタイミング的にもちょうどよかったと思います。いや〜皆さん書かれてますがまさに鑑賞というより体感ですね。観終わったら思ったより疲れてました(笑)。ちなみに原作は30年以上前に読んでそれっきり、世界観の設定や人物はなんとなく覚えてるけど細かいところはすっかり忘れてるっていう状態。1作目はノーマル2Dで劇場鑑賞し、今作の前にいちおう配信でおさらいしました。そういうベースラインです。

初IMAXではありますが、細かい話ながらIMAXでも規格によって画角がちょっと違うらしいですね。金沢のはレーザーIMAXなのですが、池袋などレーザーIMAXGTだとさらに縦が長いそうで。おそらくそっちがいちばんフル規格なのでしょうが、でも十分楽しめましたね。もともとこの監督のSFってとにかくでかいものをバーンと出しつつ、さらにそれさえちっぽけにみえるぐらいのより大きなものや遠景をドーンと出してこっちのサイズ感・距離感がバグってくるのが魅力ですが、そのへんがまさに遺憾なく発揮されてました。いっぽう寄りの会話シーンも俳優の顔が画面の縦方向をたっぷり占めているアングルが多く、これ通常の画角にトリミングするのどうするんやろうと思いました。目か口かどっちかフレームから切れてしまうんちゃうか、みたいな。
あと音響ですね!ハンスジマーの劇伴もそうですし、効果音が全体に低音の響きあってこそみたいなところが多く、これも実に聞くというより体で感じるものでした。ポールがアレに初めて乗るところとか、ほんとマジでアトラクションですよね。気持ち良かったなー。

お話じたいはもともと非常にスタンダードというか歴史大河ものに近い内容なので、これだけアート性が高い描写だといわゆるメカメカしいSFとは全く別の趣ですよね。2001年宇宙の旅やスターウォーズやブレードランナー、もっと近いところではガーディアンズオブギャラクシーと並んで今後の「SFってこんな感じ」という文法というかスタイルをひとつ大きく更新した作品と言えるのではないでしょうか。

今作でチラッと登場したキャストは次で大きくフィーチャーされるでしょうし、前作で死んだキャストも次で何やら復活するのしないのというニュースもあるようですし、配役の面でも実にオールスターキャストでしかもそれが無駄使いになってないっていうのも魅力ですよね。いろんな面で次回作どうなるのかが楽しみなシリーズとなってまいりました。

とはいえ!ひとつだけ水を差すようなことを書いてしまうと、個人的には映画はなるべくオリジナル脚本で面白いものを作ってほしいというのがありまして。そういう点ではメッセージからのブレードランナーからの砂の惑星っていう一連の流れには100%乗り切れないところがあるっちゃあるんですよね。とはいえ今あげた3作とも「どうやって映画化するんだコレ」みたいな難問にきっちり答えを出している(しかもいわゆる職業監督的なまとめ方じゃなくて自分の作家性もたっぷり盛り込みながら)手腕は他の人にできない才能だなと思いますけど。でもやっぱり「いやーSFじゃなければボーダーラインとかオリジナル脚本で面白いヤツ撮ってくれたじゃん」とか「オリジナルで勝負してあれだけ面白くてビジュアルも十分すごかったザ・クリエイターもある意味この映画に勝ってると言えるよなー」とか思ってしまうわけなんですよね。
ですが聞くところによると今シリーズの3作目の前に別の作品をひとつ撮ることになっているそうで、そこはすごく期待したいところです。ギレルモデルトロでいうところの、ヘルボーイ2で世間的な評価を固めたうえで撮ったパンズラビリンスみたいな傑作になってくれたらいいなー。

なーんてことも書きましたがこれも贔屓の引き倒しってなところでしょうし、まずはこのシリーズはやってるうちにリアルタイムで劇場で追いかけてこそでしょう。1作目を見逃した方も配信でとりあえず押さえておいてここからの合流でも全然アリじゃないでしょうか。せっかくの現在進行形なんだから乗っておかないとただただもったいないばかりだと思います!

あとIMAXスクリーンが手堅く水揚げの見込める日本の諸作ととりあいということもあって公開初週から1日に2回だけの上映だったのですが、そのおかげというかちょっとふだん見ないような客入りでした。前の回の別作品が終わって出てくるお客さんに逆行して入っていこうとしたおじさんが「デューンをご覧のお客様は今しばらくお待ちください」とスタッフに止められたり、入場開始のアナウンスと同時に30人ぐらいの行列ができたり、少なくとも自分が観る作品では珍しい賑わいとみんなの前のめり感でしたね。このユナイテッド・シネマ金沢はショッピングモール内のシネコンではなく単体の建物で映画館になってるので、先入観かもしれませんが今作に限らずわざわざ足を運んでくるお客さんならではの「これから映画観るぞ!観るんだもんね!」というウキウキした空気がより強まってるように思いました。だいたい空いてるのも田舎シネコンの良いところですが、こういう賑やかさもやっぱりいいもんですよね。作品の内容だけだとまだこの先わかりませんが、鑑賞体験トータルでは今年いちばんになる可能性が非常に高そうです。
みーやん

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