みーやん

哀れなるものたちのみーやんのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.1
今年のアカデミー賞でオッペンハイマーに次ぐノミネート数、つまり去年観てかなり面白かった印象のバービーやキラーズオブザフラワームーンより多いということでまずはホホウどんなもんやろうと思い、エマストーン・マークラファロといったメインキャストも個人的に好感度で、さらにヨルゴスランティモスはロブスターだけ観てけっこう面白かった印象だけど劇場では未見と諸々の条件が重なって公開から日が経たないうちに劇場へ。オスカーが絡んでるやつってなんか早めに観ておきたくなりませんか?自分だけ?

で結論としてはめっちゃ面白かったです。変な映画ですけどね。演技演出撮影編集美術衣装すべての面で絶妙に変な映画だと思いました。19世紀が舞台の原作を元によくここまで思い切った舵取りで形にしたなあと感心しました。エログロ満載だけどどこかとぼけた明るさがあってポップなのも印象的でしたね。よくよく考えれば深い内容、だけど絵的な綺麗さや奇抜さ・テンポの良さでエンタメとしてもするっと観られてしまうっていうのはほんと素晴らしい出来栄えだと思いました。

ただ、シリアスなものはシリアスなタッチで観たいという人にはポップさを盛り込みすぎてるように感じるかもしれません。エマストーンが気前よく脱いでることも話題になっており、いくばくかの下心をもって鑑賞する人もいるかもしれませんがイヤたしかにこっちが困るぐらいの勢いで脱いだうえでのセックスシーンは多いですがあえて劣情を抱かせないような見せ方になってます。いろんな面でジャンル映画的な振り切り方をしていない絶妙なバランスになっていて、それでいて先に書いたような楽しいケレンみもそれはそれで満載という唯一無二な映画と言えるのではないでしょうか。

せっかく映画観るなら映画らしいセンスオブワンダーがスクリーンいっぱいに展開しててほしい、でもジャンル映画としてスカッと消費するだけ(そういう作品も大好きですけど)でなくちゃんと自分の中に何かが残って折りに触れて思いをめぐらせたりできるようなものが観たい、そういう方にはぜひお早めに劇場に駆け込んでいただきたいと思う次第です!
みーやん

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