時系列が複数ある、ノーランらしい伝記映画だった。
ストローズ事件であるとか、アメリカの内政にかかわるエピソードがストーリーの根幹になっているので、一般日本人の予備知識だと盛り上がりにくかった気はする。
印象的だったのは「罪を犯しておいてその結果に同情しろと? 」という妻のセリフとか、アインシュタインがオッペンハイマーに告げた、賞は受賞者のためではなく授与者たちが前時代の人間を厄介払いするために与えられてるのだといったような趣旨の発言。
物理学者・オッペンハイマーが自分の野心や大戦の推移といったさまざまな条件に翻弄されて苦境に追い込まれていく様は、どことなく「ラストエンペラー」みたいな視聴感があった。
物理学者の造形が史実とそっくりなのにはこだわりを感じた。テラーのちょっと不気味な感じが好き。ストーリーには絡まないものの、ゲーデルやファインマンも出てくる。
衣装もこだわりを感じた。この時代の学者のスーツの野暮ったい感じ、いいですよね。