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やがて海へと届くのnt708のネタバレレビュー・内容・結末

やがて海へと届く(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

原作を読んでいないため、映画としての出来がどうだったかだけ、自分の思うままに記録しておきたい。

まず構成に関して。最後に種明かしをするというサスペンス要素のある映画の常套手段をとっているが、本作では種明かしの対象となっている「謎」が不明確で物語としてのインパクトが弱かったように感じる。このような構成にするのであれば、ところどころで見られる種明かし的な台詞は無くしてしまった方が良かったのではないだろうか。

それ以上に尺を使うべきだったのは、登場人物の性質、登場人物の関係性をより明確にすることだろう。彼女たちがどのような人物で、どのような人生を過ごしてあのようになったのか、彼女たちをあそこまで引き寄せるのは何だったのか、、などこの辺の掘り下げをさらにしていればより作品に引き込まれたと思う。

演出も台詞が多いカット、台詞はなくとも長回しで演技させるカットと全体的に冗長な印象であまりテンポをコントロールできていないように感じた。音楽がその一助を担おうとしているのかもしれないが、音楽が映像より前に出てきてしまうシークエンスもあり、そこは映像の力を信じてほしかった。

いろいろ書いてみたが、原作は原作でまた違う印象を受けるかもしれない。ぜひ読んでみようと思う。
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