ヒラツカ

デューン 砂の惑星PART2のヒラツカのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
4.2
前作は配信で観たところ「映像もキャスティングも最高なのになんとなく面白くなかったな」という評価になっちゃったので、今回はちゃんとIMAXへ。そしたらぜんぜん面白かった。もともと、乗り物やガジェットの「わかってる」独創的な造作から実用的で洗練された衣装の数々まで、現代のプロダクションデザインの最高峰が詰まっているシリーズなので、これは大スクリーンで見ないと損なことは分かっていたが、ハンス・ジマーのずんずんしたBGMに加え、飛行艇の登場・ビームによる爆撃・どでかサンドワームの爆走など、劇場ごと震えるような大轟音のシーンが満載で、なるほど、前作で僕に圧倒的に足りなかったのは「音」だったんだなと気付いた。でかい音って、もともと自然界には、雷鳴、それから嵐の風音や荒れ狂った潮騒とかくらいしかなかったんだろうか、本来、異常な音量というのは、そういった死の危険をもたらすものだったはずだけど、その後人間が太鼓そしてスピーカーを生み出したことによって、その轟音は「やばいやばい」という危機感を再現し、祝祭的な非日常の喜びを与えてくれることになった。そういうことで、前半ピークの、ポールが荒馬ならぬ荒砂虫を乗りこなすシーンをはじめ、スペクタクルシーンにはハズレがなかったですね。
物語も、前回は設定の説明の役割なので、どうにもこうにもややこしかったんだけれども、今回は「ポール、預言者へ覚醒!」というシンプルなドラマだったので、付いていきやすかった。ただ、そのゴールに対する障壁の要素として、ハルコンネン家が嫌がらせをしてくるのはそりゃそうだが、チャニがずっと反対してるのには、純粋に「なんでだろ」と思った。もっと彼氏の出世を喜んでも良いんじゃないの?「愛する人を危険な目に合わせたくない」というだけではない、嫉妬とかプライドみたいなものがあるんだろうか。そんな複雑な感情をあらわすのに、ゼンデイヤはぷくっと不満顔をする一辺倒なので、いまひとつ理解しにくかった。
それにしても、相変わらず目移りしまくりな豪華登場人物が楽しいですね。新キャストも好きな人ばかりだ。老獪な皇帝に、歳とっておばあちゃんみたいになってきたクリストファー・ウォーケンはお久しぶりです。その娘役にフローレンス・ピュー、この人にはどうしても感情移入しやすくて、語り部にぴったりだ。また「この端役、レア・セドゥがやってそうだな」みたいなノリでレア・セドゥを出せるのも贅沢だ(そんな経緯かは知らんけど)。また、あの人が1シーンだけ出てきたのは、きちんと声出して驚いた(あとから調べたら、先月のプレミアで発表・登場してたらしいからネタバレじゃないよね。)やっぱりこういうオールスター映画は、事前情報を入れずに観に行くに限る。
そんな中、今作のキーマンであった「次期男爵」のフェイド・ラウサだけ、エンディングまで「うーん誰だろう」と悩まされた。ステラン・スカルスガルドのほんとの息子かなあとも思ったら(ペニーワイズ役だったほう)、そうか、オースティン・バトラーね、エルヴィスに引き続きおいしい役で良かったね。