ヒラツカ

オオカミの家のヒラツカのレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
3.3
昨年話題になったストップモーション・アニメ。何度もペンキで壁を塗り直したのであろう動く壁画と、工作されていく過程から始めちゃうクレイ・アニメは、確かにあんまり観たことのない映像で興味深かった。クレイ・アニメって、いつの時代にも一定のファンがいるような印象があるものの、僕としてはそこまで嗜好しない分野なんだが、もちろん『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』は殿堂入り映画だし、ウェス・アンダーソンの『犬ヶ島』も大好きだし、『コララインとボタンの魔女』も面白かったな。ただ、ティム・バートンやウェス・アンダーソンは、きちんと台本や絵コンテを書いて撮影していると思われるが、この作品の場合、撮影中の偶発性をふんだんに取り入れていそうで、とっても不穏な映像の数々になっている。例えば、ろうそくに火をつけてるシーンとか、いったいどうやって撮ったんだろう。キャラクターが色だけで幽体離脱してどっか行っちゃうのも、壁画と粘土の2D+3Dというルールを作ったからこそ実現する表現で、実写や典型アニメではやりようのないものだ。ストップモーションって、かなり几帳面な段取りが必要なはずだから、真面目でロジカルな人じゃないと作れないんだと思うのだけれど、なぜだかこういう観念的でグロテスクな題材を扱いがちという、二律背反なところがあるのも面白いのか。ちょっと魅力がわかった。