ヒラツカ

ウォンカとチョコレート工場のはじまりのヒラツカのレビュー・感想・評価

3.8
ティム・バートンの前作は、歌のシーンを明確に切り分けてメタ的にミュージカルのパロディを行っていたが、今作は最初っからミュージカルだと宣言していたところに、「あれ、このノリで行くつもりなの?」と少々違和感を感じたが、次第にド直球のファミリー向けファンタジーを貫くという心意気を感じられ、『メリー・ポピンズ』みたいなまだまだ世界がシンプルだったころに戻ったような多幸感につつまれてからは、余計なことを考えずに物語に没入できた。サリー・ホーキンスが出てくるくだりには、ベタなことは重々承知だけれどもぼろぼろ泣いた。ティモシー・シャラメは、ジョニー・デップを真似ちゃうこともなく、逆にヘンに自然な演技をするでもなくて、ちょうどよい塩梅だった。そして、オリヴィア・コールマン、ヒュー・グラント、そしてローワン・アトキンソンという、いかにもイギリスという面々が勢揃いなのも良いキャスティングであった。
ヌードルの夢、というところやラストに挿入された、白い線描のアニメは、ちょっと蛇足だった気がするなあ。