fujisan

デューン 砂の惑星PART2のfujisanのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
4.4
『パート2で完結するかのような壮絶なクライマックス』

今年最高の一作で、来年のアカデミー賞を賑わすであろう、非の打ち所がない作品。先行上映を観た後、思わずパート1のI再上映に行ってしまったほど、世界観に浸る一週間でした。

では、ネタバレなしで、以下に沿って書いていきたいと思います。

■ ネタバレ無し感想
■ 作品の世界観
■ 映画について(俳優・監督・事前の予習など)


■ ネタバレ無し感想

本作は1965年に発表されたフランク・ハーバートのSF小説『デューン砂の惑星』を映画化した作品で、「ボーダーライン」や「ブレードランナー 2049」など、重厚な作品作りに定評のあるドゥニ・ビルヌーブが監督。

2021年公開のパート1から3年。待ちに待った公開でもありました。

改めてパート1の自分のレビューを読むと、『素晴らしいけどちょっと長い!』っていう感想だったのですが、そのあたりもクリアされていて、確実にパート2のほうが面白いと言える作品でした。

DUNE/デューン 砂の惑星のfujisanの映画レビュー・感想・評価 | Filmarks映画
https://filmarks.com/movies/82861/reviews/145861824

既にパート3の制作が決定していることもあり、本作は『途中から始まって途中で終わる』 位置づけの作品で、スパイダーバースのような感じで終わるのかと思いきや、パート2で出し切るかのような凄まじいクライマックスで、満足感の高い映画でした。


■ 作品の世界観

水と緑の惑星カラダンから砂漠の惑星アラキス(砂の惑星=デューン)で終わったパート1。ポール(ティモシー・シャラメ)がフレメンの勇士ジャミスと決闘したところで終わったところから続くように、パート2が始まります。

デューンの世界観は、地球温暖化や人種対立、石油利権、宗教対立など、まるで今を予言していたかのような世界観。あらためて、これが1965年の原作であることに驚かされます。

”荒廃した砂漠を植物で再生させる”、”巨大な生物が砂漠を支配している” など、どこかナウシカ的な雰囲気も感じるのですが、考えてみるとこちらのほうが古いんですよね・・

また特に、今のパレスチナ問題を考えると、砂漠の地、中東を舞台に続いている宗教対立としても観ることができます。

『最後の審判』を待つユダヤ教、救世主信仰であるキリスト教、そして預言者アッラーとコーランを信仰するイスラム教。
デューンの先住民である砂漠の民、フレメンの描かれ方はイスラム教の世界観であり、ポール(ティモシー・シャラメ)は救世主、また今後起きる大戦争は、世界の終末と取ることもできそうです。

また、映画の砂漠の世界は中東そのものを思わせ、惑星アラキスで採取され高値で取引される『メランジ』は中東の石油そのもの。帝国による利権がからみ、常に争いの火種になっているところも、まさにそうです。

そんな現代を投影できる世界観。できれば、戦争も映画の中だけだったら良かったのですが。。


■ 映画について(俳優・監督・事前の予習など)

□ 特に印象的だった俳優
・ティモシー・シャラメ … あらためてパート1を見ると、まだ幼さの残っているティモシー・シャラメに驚きますが、この3年の成長がそのまま映画のパート1から2への成長を示しているかのようでした。だんだん青くなっていく瞳も素敵。

・ゼンデイヤ … 『本作は家族の物語であるとともに、ポール(ティモシー・シャラメ)とチャニ(ゼンデイヤ)のラブストーリー』と監督が語るように、強い戦士でありながらポールと恋に落ちる役が印象的でした。一瞬、フローレンス・ピューと見間違えたのはおそらく歳のせい😥

・レベッカ・ファーガソン … ポールの母親役ですが、ティモシー・シャラメと12歳しか年が離れていないらしく、パート1では姉のようにも見えましたが、パート2で大きく雰囲気が変わって驚きました。ミッションインポッシブルでも魅せたように、アクションができるところも強みですよね。

・オースティン・バトラー … ある意味、本作のもう一人の主役で、ポールの敵役を怪演。敵とは思えない美しさがあり、個人的には最も印象に残りました。「エルヴィス」でのエルヴィス・プレスリー役との振れ幅に恐ろしさを感じます。

その他、おそらくパート3でメインになってくるアニャ・テイラー=ジョイは少しだけ登場。にしても、レベッカ・ファーガソン、ゼンデイヤ、フローレンス・ピュー、アニャ・テイラー=ジョイに囲まれるティモシー・シャラメってすごいですよね・・

□ ドゥニ・ビルヌーブ監督
ブレードランナー、そしてDUNEと、熱烈なファンが多すぎて、”どう作っても批判が出てしまう”作品を次々に手掛け、商業的にも成功させているドゥニ・ビルヌーブ監督の素晴らしさをあらためて感じた作品でした。

ちょっと話はそれますが、私がドゥニ・ビルヌーブ監督が好きなのは、いつ見ても笑ってるところ。重厚な映画とのギャップが素敵だなと思います。

チャニ役のゼンデイヤさんがインタビューで、『撮影中、監督はいつも笑ってた』って語っていたのですが、監督自身も、『パート2のサンドワーム乗りのシーンは夢に見ていたもの』 とのことで、ずっと笑顔で撮影していたシーンが想像できます。

□ IMAX
クリストファー・ノーランと双璧をなすIMAX使いのドゥニ・ビルヌーブらしく、本作は完全IMAX対応の作品。
パート1では、一部通常の画角(IMAXではない画角)の映像に切り替わっていましたが、本作はほぼ全てがIMAX画角でした。

通常のスクリーンでも面白いと思いますが、サンドワームのシーンでは座席がビリビリと震えるような迫力は、まさにIMAXならでは。
残念ながら、すぐ後にクリストファー・ノーラン監督の「オッペンハイマー」が控えているので今のうちにもう一度IMAXで観ておこうと思っています。

(ちなみに、ドゥニ・ビルヌーブ監督とIMAXの関係については、映画ジャーナリストの宇野維正さんによる『ハリウッド映画の終焉』という本に興味深い内容が沢山書いてあります。)

□ その他
・パンフレット … パート1もそうでしたが今回もビジュアルアート、インタビュー、解説などページ数も多く、とても充実したものでした。
特に監督のインタビューは面白くて、パート1が終了しているのにハンス・ジマーが作曲をし続けて、監督に曲を送り続けていたエピソードなど、いろいろ楽しめる内容でした。

□ 事前学習
パート2から観ても理解できる内容になっていたと思いますが、現在アマプラでプライム無料視聴できるので、できれば観ておいたほうがいいかも。

あと、すぐわさんの予習解説動画が分かりやすかったので紹介しておきます(宗教周りや相関図など)
https://youtu.be/eoNG8MGx8I0?si=DpdyjJJUOQYeTWTr


■ 最後に

まさに今年を代表する一本になると思い、今年最高評価を付けた作品になりました。

再視聴したパート1で気づいたのですが、パート1でポールが見ていた予知夢には、パート2でも描かれていない映像もありました。つまり、パート3の予告にもなっていたのですね。

詳しくは書きませんが、ポールの横に立っているあの女性は、、!って感じで、ますますパート3が楽しみになりました!


------------
余談
これは完全に余談ですが、EXPOCITY(大阪)のIMAXスクリーンの左上の方に割と目立つくぼみがあって、シーンによっては気になりましたね。あれは修理するんだろうか。。(修理代高そう😓)
fujisan

fujisan