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デューン 砂の惑星PART2のdramaticgasのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
5.0
空想具現化映画監督、ドゥニ・ヴィルヌーヴが映画史上最高のプロローグであった前作を受けて、遂にストーリーをドライブさせたムービー。

本作も(SFクラシックにして金字塔の)DUNEを忠実に具現化することにフォーカスしていて、そこにドゥニ・ヴィルヌーヴ独自の解釈や翻訳が入る余地はないのだけれど(流石に自分が生きているうちに終わらなそう&経済的合理性のためか)、前作より格段にテンポよくストーリーが進行する。

でも、要素を抽出して纒めるみたいな普通のアプローチは取らず、奔流から少し逸れた部分を章ごとドラスティックに省略してしまう方法を選んでいるため、不思議な読後(鑑賞後)感が残る作品となっている。

また、展開を早くしたことで、監督の偏執的なディテールへの拘りも控えめとなっていて、結果的に(卵が先か鶏が先か的な問題がそこにあるのは十分理解した上でも)ビジュアル全体におけるジョン・ファヴローのスターウォーズ的な印象はより強くなっているように思う。

ドゥニ・ヴィルヌーヴのフェティッシュは、サンドワームより皇帝の巨大卵型宇宙船により強く注がれているように思うけれど、作品(原作)の中心なのはサンドワームの方で、そこに監督のジレンマを感じずにはいられない。

本作のワンダーは寧ろ役者陣のアクトの方にあるように思う。概念的なハードSFで、少しばかり時代遅れなサイケデリック叙事詩である本作のプロットは、演じ方によっては単に馬鹿馬鹿しく見えてしまいかねない。しかしティモシー・シャラメとゼンデイヤを筆頭とするメインキャラクターたちは、その存在(救世主!)に説得力を与え、その魅力でストーリーを牽引することに成功している。

遠くない未来に彼らを再びキャスティングしてSF超大作を撮る難しさを考えると、ヴィルヌーヴが続編を具現化すると即答しないのも頷ける気がする。それでも無責任に観たいとは思うのだけれど。