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ザ・キラーのdramaticgasのレビュー・感想・評価

ザ・キラー(2023年製作の映画)
5.0
職業殺し屋の業務プロセスに偏執的にフォーカスしたムービー。

多くの職人やアスリートがそうであるように、徹底した準備とルーティンのもとに仕事をしてきたキラーが、それでも発生した偶発的なイレギュラー(ヒューマンエラー)に対して淡々と(イレギュラー対応に発生しがちな想定外な問題も解決しながら)対処していく過程を楽しむ変な(褒め言葉)映画。

殺し屋たちそれぞれがモットーに従って行動する中での軋轢や、互いのモットーの相違がもたらすコンスクエンスと書くと高尚なようだけど、その実彼らが理想とするのは、飲む打つ買うが全てのストレートなマッチョ思想(飼い犬は勿論ピットブル)だったり、郊外で丁寧な暮らしをおくりながらグルメを楽しむ生活だったりと、表層的でマテリアリィスティックなのが極めてデヴィッド・フィンチャー的だと思った。

主人公のキラー自身が、Casa BRUTUSに載っていそうなデザインの豪邸に住んで、自己投資と鍛錬を怠らない超ベタな意識高い系で、マイケル・ファスベンダーのキャスティングは意図的なのだろう。