グラビティボルト

デューン 砂の惑星PART2のグラビティボルトのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
1.9
IMAXで観ないと!ってみんな言うけど、役者のアップのニュアンスで「この人は蟠りを抱えてます」みたいな魅せ方をするシーンが沢山あるので、普通の画質で観てもあんまり変わらないと思います。

確かに1作目よりもスペクタクルで、尺が長いから建造物や船が壊れる時に独特の間を作ったシークエンスは個性的。
ゼンデイヤがロケットを撃ったあと、走り出したらヘリが落下するショットは好き。
ただ、シンプルな割に尺が長すぎる印象は1作目から拭えず。

ドラッグを取り込む事で未来が視えたりする設定だから、現在と過去の景色が入り乱れる。
なるほどヴィルヌーヴは「メッセージ」でタイムラインを錯綜させた編集で成功してる作家なんだけど、夫婦や親子関係というミニマムな関係性を軸にした「メッセージ」ならまだしもこの超大作で
迫力やケレンよりも注力するのはそこなんですか?と疑問が沸く。

物語についても、正直「スカイウォーカーの夜明け」の時と同じく、「こんなんだったら似たような語りの少年漫画(進撃とか)読んだ方が面白いわ」と感じてしまうのが正直な所。
確かにゼンデイヤ演じるチャニをヒロインではなく、主人公の王子と相対する者として扱おうとする語りは興味深いがそれだけ。
画が単なるお話の添え物にしかなっていない。
しかも王道英雄譚に対する批評的なゼンデイヤの目線が入ってくるのも凡そ2時間を超えた辺りというスローペースなのに、濃厚なショットはほぼ無い。

この、面白さから敢えて目を背けたような作りが何処まで行くのか?だけが気になる。