針

デューン 砂の惑星PART2の針のレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
4.1
時間がちょうどよかったので、レイトショーのIMAXで観てきました。IMAXはたぶん初。
結論から言うとすげえ楽しかったです! 世界観はすごいけどあまりにストーリーが進まなさすぎたあの前編が、ここまで血ぬられた禍々しいお話に成長するとはねぇ……。
あらすじは『PART 1』の超続きということで割愛。ポール青年の復讐劇です。

○内容の前にIMAXの感想をば。
画面の巨大さと映像の美麗さもさることながら、自分は音響の圧倒的な迫力にやられました。元々この映画はすごいんだろうけどまさかここまでの体感とは……。特にアクションシーンと壮大なスケール感のある絵を見せるシーンがすごくて、けっこう夢中で観てしまいました。映画を観るときの体感と内容理解って厳密には区別できないものですけど、正直内容よりも体感のほうが良かったかも! と思ったぐらい。とにかく楽しかったです。
……ただ逆に思ったことも少々。この音響の圧はちょっと暴力的なまでにすごくて、自分的にはとてもいい挿入歌による感動と少し似てる感触がしました。内容以前に体が否応なく反応して充実感を覚えさせられちゃう感じ? もっとも「純粋」な映画鑑賞なんてこの世には存在しないので、これはこれでめちゃくちゃよかったんですけど、もしも家で観返したらどれぐらい落差があるんだろうとはちょっと。あとはこれ単体で考えるぶんには何ら問題ないけど、たとえば他の映画とどっちのほうが音がよかった? みたいなことを比べる際に、自分は到底フェアには比較できないなーとは。(一点あげると、冒頭で敵軍の歩兵部隊がジェット噴射みたいなのでスイーッと崖をのぼってくシーンがあって、そこの音響からしてもうすごくてちょっと感動したのですが、冷静に考えるとSFアクションとしては特別目新しいシーンでもないかなーとは思ったり)。

○内容の感想
個人的にストーリーは、『PART 1』に引き続いて超王道の成長譚をやってる最初の三分の一はまあまあだったのですが、その後ポールと母親の在り方がどんどん危うくなってくるにつれて加速度的に面白くなってった感じ。自分はこういうタイプのビルドゥングス・ロマンは大好きだわ……。あとはこの世にゃ善も悪もない、いい意味での薄汚い政治劇感もたいへん好ましいなーと。ラストもきちんと盛り上がるし、さらに続編があるとはいえ一応オチもついてるし、いろいろヤバくてよかったです。『PART 3』も観に行きます。

……ということで観ている間はあんまり不満もなかったんだけど、多少冷静になってから考えると、後半はわりとすっ飛ばし気味の展開ではあるかも。ストーリーはちゃんと追えるけどけっこうシーンを端折ってるような感じはしました。でもこの勢いもプラスに作用してるんかなー。
個人的には二作全体を通して見ても『PART 2』の後半が一番面白かったので、ここに尺を割いて他を削るみたいな構成もあるいはアリだったかも、とは思います。

○その他
・『PART 1』のネズミちゃん🐀が続投していてちょっとよかったです。
・自分は役者の名前を覚えるのが苦手なのですが、そんな自分でもシャーロット・ランプリング、クリストファー・ウォーケン、レア・セドゥ、アニャ・テイラー=ジョイとか何度も見かける人はさすがに分かって、脇がかなり豪華な映画……と思いました。まぁ最後の方は脇じゃなくなると思うけど。
・オースティン・バトラーの存在感!
・ティモシー・シャラメが救世主になるのをすんげえ嫌がってウジウジしてるシーンが好き。未来予知もあるからだろうけど、それが無くてもふつーに救世主なんか嫌だよねーと自分は思いました🤢。
・白黒の部分もかなりよくて、迫力を楽しむと同時に「だからこうだったのね」という納得感もありました。

○どうでもいい疑問点
・サンドワーム乗りって映画を観た感じだと単にタダ乗りしてるだけに見えたのですが、あれって方向とかコントロールできるのでしょうか?
・アラキスの惑星南部は大砂嵐が起こっていて侵入できないと言ってたけど、宇宙からなら普通に入れる気もするのですが……。

早川書房が原作のシリーズをけっこう新訳で出してくれてるので(6作全部出してくれるのかな)、この機会に読もうかなーと思案中。

終盤の感想&ここはちょっとなぁみたいな部分についてはあとはコメントで。
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