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デューン 砂の惑星PART2のMASHのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
4.0
待望のIMAXレーザーGTで鑑賞。1作目も面白かったが、あくまで世界観の提示がメインであり、スパイスを巡る壮大な宇宙の物語の序章に過ぎなかった。僕が今作で期待していたことは、1作目で散りばめられた点と点が線で繋がり、より惹き込ませるストーリーになることだった。実際観ると確かに凄かったが、そういう期待を持って観る映画ではなかったのかも。

今作でメインに据えられているのはストーリーの構築ではなく、DUNEという世界の拡張だ。もちろんポールの物語は進行していくし、物語の核となるのはポールの変化だ。だが、映画としての核は未知の世界を観客に体験させることにある。

二つに欠ける太陽に照らされる、美しくも過酷な砂漠。IMAXということをフルに活用したその環境の撮り方にはとにかく圧倒されると同時に、観客をDUNEの世界へ誘っていく。砂漠の撮り方という面では『アラビアのロレンス』を思わせるが、そこに現代でしか描けないSF映画としての規模感がプラスされ、映像面では映画のレベルを一段階上げたと言っても過言ではないだろう。

もちろん単に迫力のある映像というだけではない。アラキスの原住民であるフレメンの文化も丁寧に描かれる。過酷な砂漠を生きる人々という一枚岩ではなく、彼らの中にも思想や宗教観の違いがあり、その微妙な対立関係や変化を映像で理解させる。アクションシーンだけでなく、こういった部分でもしっかりIMAXのスケール感を利用しているのが面白い。

そして暗躍するベネ・ゲセリットやポールの仇であるハルコルネン家の存在。そして今作で初登場となる皇帝など。多くのキャラが本格的に動き出し、ポールの物語はどんどん壮大に動いていくわけだが、僕は正直そこに乗りきれなかった。キャラが魅力的だからこそ、個人的にはもっと彼らの内面にも迫って欲しかったのだ。

ポールは救世主として崇められることに困惑しながらも、その実力によりフレメンたちに認められていく。そんな彼の持つ優しさに惹かれていくチャニや、ポールを指南する役から彼を崇拝するまでに変わっていくスティルガー。ポールの母であるレディ・ジェシカの豹変。そしてポールのライバルとなるハルコルネン家の次期男爵、フェイド=ラウサ。ここで書いたのはほんの一部で、本編では3時間弱の尺の中で様々なキャラが動いていく。そしてそれぞれ魅力的だ。

だが、あくまで俯瞰的に見てる感覚が強く、強い言い方をすると他人事感が否めない。世界観を拡げることがこの映画の中心だからなのか、キャラの内面が映像として語られてはいるものの、彼らにイマイチ入り込めない。特にラスト付近でのポールの心情の変化は唐突に思えた。彼の変化のトリガーとなる出来事は描かれているが、そこに観客を共感させるような作りにはなっていない。

自分が割とキャラクター主体の映画が好きというのもあり、面白いとは思いつつもどこかハマりきれず。映画自体の評判もそうだが、フェイド=ラウサを演じたオースティン・バトラーが絶賛されていたこともあり、少々違う方向で期待値が上がり過ぎてしまっていたかも。あとこのスタイルで3時間弱という長さは個人的にはちょっとキツかった。

とは言え、この映画で得られる未知の世界へダイブする感覚は唯一無二であることは間違いない。SF好きなら間違い無く必見の作品。あと、IMAXで観れて良かったと思うが、それは決してIMAXじゃないと意味がないということではない。そこはハッキリさせておきたいところ。この映画はどんな映画館でも観客をDUNEの世界へと誘ってくれる力を持っている。なので、近くにIMAXがない人も是非観てみて欲しい。
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