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デューン 砂の惑星PART2のエジャ丼のレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
4.3
「宇宙の未来を賭けた復讐戦」

アトレイデス家の滅亡後、生き残った王子ポールと母ジェシカは、砂漠の民と共に行動していた。徐々に救世主としての才能を開花させていくポールは、ついにハルコンネン家への復讐に踏み出す。

前作で腰を据えてじっくりと描かれた神話の序章。砂の惑星DUNEの世界観をたっぷりと露わにし、来たる未来の展開に備え続けたPART 1、その重厚さが物凄く好みだった。まるで『新たなる希望』を公開当時に観届けたかのような感覚。今作はその高まった期待を、エンタメ要素を落とし込み超えてきた作品となった。

なんと言っても同時期公開『オッペンハイマー』に劣らない豪華キャストの面々。前作から引き続きレベッカ・ファーガソンは重要な役回りを見事にこなし、デイヴ・バウティスタは複雑な感情を見た目の横暴さに乗せ、そこら中に喜怒哀楽を撒き散らしハルコンネンの中でも情に溢れる演技をしていた。今作から参戦の中でもオースティン・バトラーの危険な香りを漂わせる空気感と、レア・セドゥの存在感と妖艶さ、フローレンス・ピューの信頼感、クリストファー・ウォーケンの貫禄、とどのキャラクターにおいても配役がドンピシャで最高。

エンタメ要素の加わったもう一つの要因は大幅に増加したアクションシーン。サンドワームを乗りこなす様を我々が追体験したり、ついに始まった戦いの戦火に巻き込まれたり、広大な砂漠で進んでいく物語を体感する映画として前作からさらにパワーアップしており、最大限に楽しむにはスクリーンでの鑑賞が必須と言える。

物語も大きく動き出す。砂漠の民の救世主ではないかと囁かれてきたポール・アトレイデスが、王子としての威厳と力をモノにし始め、物語は彼を中心に渦巻いていく。まるでヨーダと出会いフォースの修行を始めたルーク・スカイウォーカーのよう。一方で、チャニとの関係性がまた今後の展開に大きく影響を与えることは彼の予知夢からも明らか。

完結するかはさておき、何かしらに決着がつくであろう次回作を気長に待ちたいと思う!