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ゴーストワールドのRenのレビュー・感想・評価

ゴーストワールド(2001年製作の映画)
3.5
オタク女子あるあるを乱れ打つオフビートコメディを想像していたが、起承承転結のガイドラインがきちんとあって予想以上にのめり込めた。劇場で観られて感無量だった。

2010年代青春映画の大傑作『ブックスマート ~』は確実に今作の影響直下にある。自分より20年前に生まれた人も自分と同じ齢の頃に似た感傷に浸ったことを感じられただけでも十分だった。
まだまだ「オタク」が今ほど世間に迎合されていなかった当時、「オタク=マイノリティとして生きる自分」と「自分がどうしたって順応できない世界」の距離感を、コミカルにライトに誠実に描いているのが凄まじい。多くの人のバイブルとなり歴史に残り愛され続けるのも当たり前だろう。

ラストが白眉。(絶対にそうだとは思ったが)小休止のコメディリリーフ的に機能していた某人が最大のキーパーソンだった。
こうであれ、と暗に世界から要求される姿に順応できる者もいればできない者もいて、できない者が生きづらいとすればそれは世界のほうがおかしいのだ。イーニドがイーニドでいられる場所へ向かうラストショット。この暗喩のようなラストに対して切ない考察も散見するが、自分は素直に「よかったね」と思えた。彼女が向かった先はもしかしたら、今もこの映画を愛し/希望として生きる人々のいる20年後(現在)なのかも、と思った。
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