すおう

ウーマン・トーキング 私たちの選択のすおうのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

2023/8/17、シネマジャック&ベティにて鑑賞。

これはホラー映画かな?とまず思った。
2010年にこのような村がまだ南アメリカに存在していること自体がホラーに思えてならない。
女性に教育を施さないのは宗教的な縛りによるものだろうが、それは人権的に許されるのか?
外の世界との交わりを極力絶っているとはいえ、国勢調査に自動車も訪れる中で、外部情報はまったく入ってこないのか?
方角を測るのにコンパスを使う程度の知識もないのか?
…など、映画のテーマ以外のことが気になってしかたなかった。
実話ベースなのに、ほとんどシャマラン監督の『ヴィレッジ』に近い世界観である。
幸いモルモン教(この映画に登場するのはメノナイトであってモルモン教会ではないが)についての知識が豊富だったこともあって、この映画の村の成り立ちについてはすぐ飲み込むことができたのだが、背景説明がないと戸惑う観客が多いのではなかろうか。
なんにせよ、本来のテーマ以上に、満足な教育が行われない怖さ、閉鎖的な社会の恐ろしさほうが際立っていた映画だと思う。
登場しない加害者たちに目を向けても、メノナイトは極端な禁欲主義を解く宗派で、極めて抑圧的な上に、他の共同体との関わりがないから、性欲の発散場所がなさすぎて、男たちの性欲が暴走したことが想像できるだろう。
本来はもっとフェミニズム的な映画のはずだが、結果的に普遍的なテーマを扱った作品になっている。

映画に登場するほぼ唯一の男性であるオーガスト。
彼は大学教育を受け、教員資格も持っているのだから、当然外の世界を知っているはず。
女性たちの討論を聴きながら、彼はなにを思ったのだろうか。
また、村を去った女性たちはどこにたどり着くのだろうか。
その過程で外の世界との接触も避けられないはずだが、他の人々を見て、彼女たちはかつての暮らしをどう思うのだろうか。
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