大鳥涙さんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

大鳥涙

大鳥涙

映画(732)
ドラマ(1)
アニメ(0)

さがす(2022年製作の映画)

1.0

こんなものを観に映画館に足を運んだ自分が情けない。後悔先に立たずだ。
前作と同様に社会的弱者を類型化した物語は、懸命に生きようとする人々の気持ちを踏みにじるようで、極めて不愉快になった。親子二人の心情
>>続きを読む

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

3.5

不覚にも後半で涙腺が…
琴線に触れる脚本にしてやられた感は否めないけど、何処までも優しく、爽やかな感動をもたらす物語だった。何故かリンクレイター監督作のboyhood を思い出した。
未見の「エール!
>>続きを読む

暗殺のオペラ(1970年製作の映画)

3.5

Amazon Prime Video
以前観た時は妖気漂う美しさを感じたように記憶しているが、意外とあっさりしていたな。イタリアファシズムに関する、この時点でのベルトルッチの論説みたいな作品。同じ’暗
>>続きを読む

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)

4.0

欲望、嫉妬、裏切、掠奪、快楽... あらゆる邪悪な心が、築き上げた富や名声、それ以上に大切な家族の繋がりを壊していく。人の感情は怖いものだ。
時代に合わせた音楽と、シャープな画で描くこのドラマを堪能し
>>続きを読む

ロスト・ドーター(2021年製作の映画)

2.0

Netflix
身勝手な主人公の人格に辟易とした。母性をもっと真摯に考えて描けよ。
インチキくさい映画だと思う。

アイダよ、何処へ?(2020年製作の映画)

4.0

悲憤よりも諦念に満ちていた。
ジェノサイドを正面から描いた作品は多いが、本作は胸を締めつける。第三者が撮る客観性が無く、何処までもストレートに心情を吐露しているからだろう。観ていて流石に辛かった。
>>続きを読む

アメリカの友人 4K レストア版(1977年製作の映画)

3.5

ロビー・ミューラーのカメラとユルゲン・クニューゲルの音楽が、何処までもドライで鋭い。ヴェンダースの作品はどれも画が断然素晴らしく、脚本の弱さをカバーしてくれる。本作はその典型だろう。(画と脚本がビシッ>>続きを読む

わが命つきるとも(1966年製作の映画)

4.0

Netflix
自らの矜持を貫くモアの姿を見て、果たして自分や自分の周りの人々は、今のままで良いのだろうかと自問自答している。摩擦は避けるべきだが、そのために日和ってはいけない。上杉謙信が説いた「第一
>>続きを読む

tick, tick...BOOM!:チック、チック…ブーン!(2021年製作の映画)

3.5

Netflix
(スクリーンで観たかった...)
歌が良いなあ。幸せ=始まりと不幸せ=別れは表裏一体。自由の国アメリカならではの作品だった。
是非RENTを観たいものだ。

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

3.5

Netflix
巨大彗星が降ってきて人類が滅亡するなんて、とても想像できない。その時私は何をしているんだろう。荒唐無稽なアメリカン・ブラックコメディだが、結構身につまされた。登場人物の誰にもなれてしま
>>続きを読む

PASSING -白い黒人-(2021年製作の映画)

3.5

Netflix
白人と黒人との混血に影を落とすアメリカの恥部を、哀れな女性の姿に投影して意欲的な作品。当たり前のことながら、邪悪な社会モラルは個人の苦悩を生み出す。
モノクロ・スタンダード画面での演出
>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

4.0

心を痛めた女性達が前を向いていく3つの物語。小津のような、溝口のようなタッチがあって、嬉しくなった。
共感の大切さを示す第三話が爽やかで好印象だが、私的には第二話にみる女の怖さにゾッとした。
相変わら
>>続きを読む

消えない罪(2021年製作の映画)

3.0

Netflix
ひたすら暗く出口の見えない闇を生きると、人は何処まで理性的に行動できるのだろう。
観終わった時に救いがあるようで、実はこの後主人公はもっと辛い人生を歩んでいくような気がする。
兎に角重
>>続きを読む

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)

4.0

Amazon Prime Video
クリスマスが近づき急に観たくなってアマプラのスイッチ押した。良い時代になったものだ。
YMOが士官になっても違和感の無い収容所。成島の湿度を伝えるカメラと、坂本龍
>>続きを読む

クローズ・アップ(1990年製作の映画)

4.0

現代アートハウス入門Vol.2
実在の自分を自身が演じる虚構のなかに、内なる真意が吐露されてくる不思議。これを切り取るグレーな画に、監督の高い技術を見て唸った。クローズアップは人の深層真理に迫り、それ
>>続きを読む

悪なき殺人(2019年製作の映画)

3.5

偶然が導く悲劇はミステリー映画の定石だ。今作は、ネットや同性愛などの現在進行形の風俗文化がドラマの駆動エンジンになっている点が、興味を引いた。もっとも、自由気ままな(彼らは魂の解放と呼ぶが)フランス人>>続きを読む

The Hand of God(2021年製作の映画)

3.5

コロナ渦となるまでは毎年訪れ、見慣れたナポリがあった。何時の時代も若者は世界に旅立つ。それは物理的にも精神的にも。故郷を離れ、理不尽な世の中を生き抜いて立派な人になるということ。ソレンティーノの自叙伝>>続きを読む

水を抱く女(2020年製作の映画)

3.5

Amazon Prime Video
決して幸せにはなれないUndine が切ない。その運命とベルリンの歴史がもっと有機的に結びついていればなあ。
ベルリンは街そのものが思索している。それがこの作品
>>続きを読む

ベルファスト71(2014年製作の映画)

3.0

Netflix
冷たく暗い闘争がストーリーの根幹だが、当然そこにカタルシスはない。志は理解できても、映画としてはどうなんだろう。
「麦の穂を揺らす風」を思い出して、あらためてケン・ローチが如何に素晴ら
>>続きを読む

そして人生はつづく(1992年製作の映画)

3.5

Amazon Prime Video
ジグザグ道の引きの画と、人々のアップの顔。キアロスタミだな。ここでは未だ虚構と事実の狭間にある真実を、鷲掴みには出来ていないと思う。

あのこは貴族(2021年製作の映画)

3.5

Amazon Prime Video
邂逅とは、人と人の出会いだけではなく、思想や芸術との巡り合いも指す。まさに今を生きる女性達の邂逅の物語であった。社会階層を飛び越えて、矜持の尊さを知る二人が清々し
>>続きを読む

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

4.0

難解な内容でNetflixで再鑑賞しなければ消化出来そうもない作品。あまりにも様々な感情が物語全体に散りばめられていて、しかもそれらがスリラーのような謎解きの鍵となっていく。おまけに衝撃的なクライマッ>>続きを読む

悪は存在せず(2020年製作の映画)

4.0

如何にもベルリン映画祭好みの社会派映画だった。
社会の仕組みの中で、人を殺めざるをえない人がいることの不条理。悪は存在しないものの、殺めた人とその周囲が不幸になるように、殺められた人の多くにも関係する
>>続きを読む

皮膚を売った男(2020年製作の映画)

3.5

画作りの工夫とユーロサウンドが好み。芸術の自由を巧みに描き、一方で社会で生まれる矛盾は論理的に解決しようとする。そこが課題なのだ。
作品は分かりやすく大衆受けもする作風だった。皮膚に迫るクローズアップ
>>続きを読む

仁義なき戦い 完結篇(1974年製作の映画)

3.0

Netflix
これは蛇足となった完結編。
時代に翻弄される任侠道を描いて趣きはあるものの、物語は前作の頂上決戦で終わっている。
相変わらず小林旭がクールだった。

仁義なき戦い 頂上作戦(1974年製作の映画)

3.5

Netflix
牢屋に入ったヤクザに時代の刹那を感じる。日本のエネルギーが、魔物に吸い取られていったのかもしれない。反社は娑婆では邪魔だが、一方で警察官に仁義はない。それで本当に社会の秩序は保たれるの
>>続きを読む

仁義なき戦い 広島死闘篇(1973年製作の映画)

3.5

Netflix
これは実録ヤクザ映画+メロドラマだった。仁義を重んずる北大路欣也と、自分の気持ちに真っ直ぐに向き合う梶芽衣子が切ない。しかも特攻の件に戦争が色濃く反映され、国家に振り回された若者の人生
>>続きを読む

劇場版 きのう何食べた?(2021年製作の映画)

3.5

美味しい食事を大切な人と楽しむ時間は、私達に与えられた至福の時間だ。何れ人生を振り返った時、思い出す幸せはそんな日常だろう。共に美味しく食べるには、相手への心からの気遣いも求められる。自然に芽生えるそ>>続きを読む

モーリタニアン 黒塗りの記録(2021年製作の映画)

3.0

人間はここまで非道な行いが出来るのか。まさに悪魔の仕業としか言いようのない拷問の数々。正義を翳すアメリカの恥部がストレートに描かれていた。何よりもその行いは、監獄に勤める無知なる大人たちによるものだ。>>続きを読む

ユージュアル・サスペクツ(1995年製作の映画)

3.0

Amazon Prime Video
午前10時の映画祭で上映するにも関わらず、配信で再鑑賞。
あらためて観ると、脚本も演出もBGMも、どれもエンタメの面白さだった。その後この監督がX-MENを撮っ
>>続きを読む

CUBE(1997年製作の映画)

3.0

Amazon Prime Video
公開時に未鑑賞だったので、日本版の前に観る。
アイデア抜群の密室サスペンスを映像と音で表現した。劇中、人間の汚い部分を際立たせているようで、障がい者の扱い方に優し
>>続きを読む

とうもろこしの島(2014年製作の映画)

3.0

Amazon Prime Video
大雑把な映画を続けて観ていたので、ちょっと小品を。
新藤兼人の「裸の島」を思い出した。今作にはアブハジア紛争が背景にあり、どうしてもその社会的なメッセージに目が向
>>続きを読む

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

3.5

映像体験としては見事な画とBGMで凄く豪華なのだが、何せエモーションが欠如しているもんだから、間延び感は否めないなあ。SWなのか、ナウシカなのかって変な想像ばかり先走った。これ一作では何とも言えない。>>続きを読む

燃えよ剣(2021年製作の映画)

2.0

原作未読。これは原田真人が原作を基に映画を創ったのではなく、原田真人が原作を読んでのレポートだ。切れ切れの編集で人の心情は繋がらず、ドラマは成立しないと思う。かつてのMTVやPVのようなもので、明日に>>続きを読む

スヘルデの戦い(2020年製作の映画)

3.0

Netflix
ナチスと連合国側、敵と味方がお互いの心情を慮る辺りが良い。ちょっと大袈裟だが、これは大いなる幻影の意匠だ。作り物感満載の映画ではあるが、志は高く劇場公開しても良いように思う。

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

3.5

最近流行りのa true eventものだが、十字軍の頃の話ですから、実感は湧きません。中世には現在の自由思想なんて、意識下には無かったのでしょうね。人や社会の進化を確認できて、如何に現在の世がすばら>>続きを読む