きゅうげんさんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

ザ・スイッチ(2020年製作の映画)

3.5

"11日の水曜日"にホッケーマスクっぽい仮面、ノリノリ登場でオモシロ殺人に『Freaky』……もうニッコニコでワンシーンに一回は噴飯。
ヴィンス・ヴォーンの中身がJKっていうだけでもう面白いし、サイコ
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6アンダーグラウンド(2019年製作の映画)

3.6

しょっぱなから車がブーン! 銃をバーン! 爆炎ドーン! 西日がビカーで鳩がフワ~……。マイケル・ベイのおもちゃ箱をのぞき観たかんじ。
彼のフィルモグラフィーにおいて、超娯楽大作『トランスフォーマー』シ
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ハッピー・デス・デイ(2017年製作の映画)

3.5

「ループもの」って一年に一本は見かけるし、だいたい玉石混淆だけど、これはビビッドでポップな毒入りカップケーキ。
ループあるあるな説明・描写・展開諸々の"お約束"も、殺し方・殺され方のレパートリーも軽い
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CURE キュア(1997年製作の映画)

4.3

「世界のクロサワ」が"アキラ"から"キヨシ"となった、監督本人にとっても日本映画史にとっても、とても重要な一作。

不条理な世界(=社会・生活・歴史)と自身の存在とが絡み合い自己喪失へ結実するものの、
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ヒルコ/妖怪ハンター レストア&リマスター版(1991年製作の映画)

4.2

諸星大二郎×塚本晋也×沢田研二!
「みろ このみにくい姿を! これも禁断の場所をおかした報いだ!」の衝撃はあまりにも有名。原作が'70sオカルトブームの立役者なら、本作は'90s心霊ブームのパイオニア
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ハンニバル(2001年製作の映画)

4.4

つづきもの仕事という意外性や、'00sらしい(ちょっとダルい)編集など「らしくない」という先入観とは裏腹に、しっかりとした観応えのある「リドスコ作品」です。
バッファロー・ビル×レクター博士という、2
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ヴァン・ヘルシング(2004年製作の映画)

3.3

闇の世界に跋扈する怪物たちを倒すため、ヴァン・ヘルシングが夜を駆ける!
1931年版『フランケンシュタイン』を思わせるオープニング、ノートルダムのハイド氏や雪山の狼男、最高に冒涜的な宗教組織に、テスラ
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カポネ(2020年製作の映画)

3.4

アル・カポネのギャング映画といえば「追う側」にしても「追われる側」にしても全盛期メインになりがちですが、この映画は病気と狂気におかされたその晩年にスポットを当てる異色作であり意欲作。
彼の凋落を、悪夢
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メン・イン・ブラック:インターナショナル(2019年製作の映画)

2.5

会話劇の演出から物語の進行まで、何もかもが鈍重で煩雑。
プロットも平々凡々で想像通りの展開・構図からはみ出ることなく、サプライズもサスペンスもミスリードも残念クオリティ。
お話が広がる前から散らかって
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未来のミライ(2018年製作の映画)

4.0

兄や姉にならなければいけない……。
その残酷な現実は経験しなければ理解し得ないものです。


やはりノイズになるのは「視点」でしょうか。
くんちゃん目線の幼児性へ寄り添うには、物語がロジカルでフレキシ
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ブリーダー(1999年製作の映画)

3.8

若きニコラス・ウィンディング・レフンの、粗削りな美的センスが満載の手作り映画!
どうしようもない男達がどうしようもない事態にズルズル沼ってゆく、その悲哀をスタイリッシュに描き出しています。

白眉はや
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ナイトティース(2021年製作の映画)

3.9

内容によらず吸血鬼というだけで、評価が三割り増しになるのは悪い癖。ネオンぎらぎらロサンゼルスの夜に、クールなニーチャンネーチャンがヴァンパイア・バトルを繰り広げる、イメージ勝負な吸血鬼映画です。

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ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

4.4

「え、こんなんで世界おわるの……!?!?!?」と"今ここにある危機"を見事に活写した、笑えるけど笑えない痛快ブラック・コメディ。


流されてばっかりなミンディ博士に角を立てまくるケイト、まったく当事
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スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

巷でもしばしば聞かれるように、MCU版スパイダーマンへの個人的ムズムズポイントは「ベンおじさん死んでない問題」でした。
「大いなる力には大いなる責任が伴う」……この有名なフレーズは、彼の取り返しのつか
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アメイジング・スパイダーマン2(2014年製作の映画)

4.2

『アメスパ1』で提示された、そしてスパイダーマンというお話にまとわりつく「スパイダーマンとしての自分か、ピーター・パーカーとしての自分か」問題に、グウェンとの恋路をからめ一つのあり方を示した良作。
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アリス・スウィート・アリス(1977年製作の映画)

4.4

かのブルック・シールズのデビュー作でもある、’70年代スラッシャーの隠れた名作。
キリスト教、家族の不和、精神病、不気味な仮面に人形、そして鮮血!

アパートや路地など不安を煽る狭小なロケーション、微
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クラシック・ホラー・ストーリー(2021年製作の映画)

2.9

A24と肩を並べる"オシャレ・ホラー"製作会社となったネットフリックスが放つ、イタリア産ヒルビリーホラー。
作中で『イット』や『パラドクス』、サム・ライミなど言及があったり逐一『ミッドサマー』や『ウィ
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カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇(2019年製作の映画)

4.5

いわずと知れたラブクラフトの『異次元の色彩』。
カルト傑作『ハードウェア』の監督リチャード・スタンリー。
そして、みんな大好きニコラス・ケイジ!


こぢんまりとした牧歌的な舞台。ワンちゃんネコちゃん
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ブライトバーン/恐怖の拡散者(2019年製作の映画)

3.4

「もしスーパーマンが悪者だったら?」という、全世界の中学生をワクワクさせる小品ホラーを、天下のジェームズ・ガンがプロデュース。

アイデア勝負な映画だからストーリー内容は想像できるものですが、本作を彩
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将軍たちの夜(1967年製作の映画)

3.8

『アラビアのロレンス』のピーター・オトゥール&オマー・シャリフ。
『007』でブロフェルドを演じた、ドナルド・プレザンス&チャールズ・グレイ。
『ニュー・シネマ・パラダイス』でも知られるフィリップ・ノ
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アメイジング・スパイダーマン(2012年製作の映画)

3.9

サム・ライミ版三部作の教科書的完成度の高さから、合格点が跳ね上がってしまった印象。
悪くはないんだけれども……。

一つ目の気になるポイントは、ドラマパートの演出とアクションパートの演出とのちぐはぐさ
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マルチプル・マニアックス(1970年製作の映画)

4.0

今年初映画館&人生初ジョン・ウォーターは『マルチプル・マニアックス』!
見せ物小屋的悪趣味描写やロブスターに襲われる急転直下のラストなど、噂はかねがね聞いていました。

鑑賞前はグラン・ギニョール的「
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グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

4.3

美しい色彩、豪華な俳優陣、ナンセンスなサスペンス・コメディ。
みんな大好きウェス・アンダーソン監督の美的センスに艶やかなほど翻弄されます。
「入れ子」についても、構造的な意味深長さより映画的なオシャレ
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野良犬(1949年製作の映画)

4.1

“対位法”という言葉で巷間に流布してる名作映画。
もちろんそれは、ピアノの流れる花畑の戦いだけでなく、佐藤さんが襲われるホテルのシーンをはじめ多くの演出に反映されています。ラジオ音楽をバックにいちゃつ
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ノーカントリー(2007年製作の映画)

4.1

めくるめく変わってゆくアメリカの犯罪の実情。それは過去の人間には理解不能な国、まさしくノー・カントリー・フォー・オールドマンな実情なんでしょう。

三つ巴に展開される本作ですが、寄り添うべきは保安官エ
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見知らぬ乗客(1951年製作の映画)

4.6

革靴が対峙するように歩みを進める印象的なはじまり。
観客がラリーを見守っている有名なシーン。
クライマックスの回転木馬……。
左右の行き来や回転の円環的描写など、シンプルながらも面白い映像表現の魅力を
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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014年製作の映画)

3.9

「丸顎でカッコ悪い」と揶揄されたバットマンことマイケル・キートン、「俺はちゃんと芝居をしたい」とMCUを降りたハルクことエドワード・ノートン。そんなラインナップに「ヒーロー映画のアンチテーゼかな」と斜>>続きを読む

キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)

4.1

あらゆる角度から胸をいっぱいにさせられるツラい映画。
笑おうにも笑えな悲劇が、喜劇として活写される惨酷な恐ろしさ。
何がいちばんツラいって、自分の半生で笑いを取っているところ。小学校でのイジメ、父親か
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ジョーカー(2019年製作の映画)

4.2

色々なところで色々な人が思うところを述べているので、個人的すきポイントのみを。

印象に残ったのは、アーサーとブルースとの対照的な場面。
ストリートの子供たちに裏路地で散々な目にあわされるアーサーのシ
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千年女優(2001年製作の映画)

4.7

『パプリカ』『妄想代理人』とは異なる今敏監督の一面がわかる作品。

二作がある種のダークファンタジーであるのに対し、この作品は徹底して現実的です。(もちろん、主人公の回想世界へインタビュアーとカメラマ
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裏窓(1954年製作の映画)

4.7

ヒッチコックの良さがギュッと詰まった劇映画的作品。
視点は主人公の部屋からほとんど動きませんが、かえって物語の心理的描写に多大な貢献をしています。マンハッタンのアパートで見られる様々な人間模様を、主人
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戦艦ポチョムキン(1925年製作の映画)

4.1

名作中の名作。あまりにも有名な階段のシーンをはじめ、「編集」というもののパワーを突きつける歴史資料。

ただ、蜂起した水兵たちは民衆を救ってないですよね。オデッサの犠牲によって水兵が団結したという訳で
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サンセット大通り(1950年製作の映画)

4.6

不気味で寂しい映画。
ノーマはノーマで、ジョーもジョーでだんだん足を踏み外してゆく過程が、狂気と破滅を予感させ目も当てられない……が食い入るように見てしまいます。

唯一のブレーキはベティとの真夜中の
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君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

4.7

エリオの前に現れたのは教養深く活発で、どこか少年のような可愛らしさもあり、しかし確かに教え導いてくれる若者。彼に連れられたエリオは、初めての衝撃に葛藤しつつも代えがたい最高の青春を謳歌するのです。そん>>続きを読む

イノセンス(2004年製作の映画)

4.1

前作に引き続き、テーマは人形(ひとがた)としての人間・機械。
3DCGの多用に時代の変化を感じつつも、クラシック・カーにサイバーパンクな街並みなどその幻想性の鋭さには前作より磨きがかかってます。

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アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)

4.1

家庭崩壊モノはいつの時代も多いですが、ここまで残酷なものはないでしょう。
一見、家庭は崩壊しつつも各々では上手く行きそうな気配が見えます。スペイシー扮する父親は自己実現しつつあるし、娘と恋人は逃避行し
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