きゅうげんさんの映画レビュー・感想・評価 - 13ページ目

博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(1964年製作の映画)

4.6

鑑賞前は馬鹿馬鹿しいブラックコメディだと思っていましたが、しかしその内容はあまりにもおどろおどろしい。

軍人・政治家・学者がくだらないことしてる場合じゃない状況でくだらないことしながら世界が滅ぶのを
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ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

4.1

大衆映画と総合芸術映画のいいとこ取り。
まだるっこしい物語・予想できるオチよりも、その裏に貼り付けられたメッセージを剥がし取るのが大事な映画。大量消費社会・男根・暴力 ……。

縦横スピーディーで目線
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007 スペクター(2015年製作の映画)

4.1

前作『スカイフォール』が傑作と名高いですが、こちらも推すべき作品。
野心作『スカイフォール』のカウンターとしてのストーリー構成、そして起:『カジノ・ロワイヤル』→承:『慰めの報酬』→転:『スカイフォー
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言の葉の庭(2013年製作の映画)

4.1

全てにおいてお手本のような作品。
映像美は言うまでもありません。脚本・ストーリーは正直ありきたり……だけど見せ方でこうまで変わってくるのかと、改めて映画・アニメーションの強みに気付かされます。
上映時
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2010年(1984年製作の映画)

4.1

『2001年』が映像美と演出、そして時代を感じさせない卓越した技術に重きが置かれるならば、『2010年』はそのドラマ性が重点となるでしょう。
ほまれ高い傑作の続編ともなると、二番煎じ・焼き直しは許され
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おもひでぽろぽろ(1991年製作の映画)

2.0

良くも悪くも「懐古趣味」なジブリ映画。
タエ子ちゃんと広田君との「雨の日と曇りの日と晴れの日、どれが好きですか?」「……曇りの日」「同じだ!」にはもうニヤニヤが止まりません。
生理がくるということや、
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海がきこえる(1993年製作の映画)

4.7

ジブリ青春ものの大傑作。
”ジブリ+青春”の、良くいえばファンタジックな悪くいえば恣意的な構図・シチュエーション・キャラクター……、つまりは“駿”味が薄いために、しっかりした読後感にひたれる心地良い作
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パルプ・フィクション(1994年製作の映画)

4.1

ジョン トラボルタにサミュエル L ジャクソン、ブルース ウィルスの名優がロスの奇怪なアメリカ文化の中を、殴り合い 撃ち合いしているのは面白い。

大別すると2つになる大筋を、時系列も展開も細切れにし
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メトロポリス(2001年製作の映画)

4.1

言わずと知れた漫画の神様 手塚治虫の初期短編を元にした作品です。
手塚先生らしい大仰で漫画チックな動きの描写に、意味深長で鋭利なセリフがズキリと刺さります。

脚本は大友克洋で、だからという訳ではあり
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夜明け告げるルーのうた(2017年製作の映画)

4.1

前評判は「あれ、う~ん、どこかで観た事ある……」。
ところがどっこい蓋を開けてみると、美しい・楽しい・素晴らしい!
『犬王』『映像研』と最近頓に再び注目されてる湯浅監督が描く、明るく切ないひと夏の寓
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マトリックス レザレクションズ(2021年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

まさかマトリックスを観にいって庵野秀明作品みたいな冷笑的・皮肉的ショックを受けるなんて。

今作で重要なエッセンスは「反転」です。画的なシンメトリー加減や文字通りの鏡うつしに、ネオとトリニティーの関係
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ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

素晴らしきブリティッシュ・インヴェイジョン!!!
同じ場所・違う時代で憧れ裏切られる少女たちを、まさしく幻惑するように描き出す傑作。

今をときめくトーマシン・マッケンジー&アニャ・テイラー=ジョイの
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MAMA(2013年製作の映画)

4.1

絶対ママになりたくない主人公 vs 絶対ママになりたい幽霊
経営不振から狂気に走ってしまった父親の無理心中、という恐ろしくも切なく重いオープニングから、急転直下のクリーチャー的サイコ・ホラーへ。
ギレ
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キャッシュトラック(2021年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ガイ・リッチー×ジェイソン・ステイサムの新たな境地は、重厚・陰鬱・剣呑な復讐の挽歌!

すでに何かが起こってしまった中へ放りこまれ、群像劇チックに展開するサブストーリーからだんだん全貌を把握し、その収
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パラノーマル・アクティビティ(2007年製作の映画)

2.0

ファウンド・フッテージ系ワン・シチュエーションで、ジャンプスケアばかりなアイデア一発勝負ホラー。

武器としての恐怖表現に目新しいものはなく、カップルがカメラを回しているという設定も難あり。セリフは説
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哀しき獣(2010年製作の映画)

4.3

血生臭く泥臭い男たちを冷えきった空気が物悲しく包み込む、韓国ノワールものの傑作。

文字通りの‟負け犬”が得体のしれない犯罪の渦中へ呑まれる様は、フィリップ・K・ディックにも似た悪夢感がありますが、主
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クライモリ/間違ったターン(2003年製作の映画)

3.4

祝リブート!
なし崩し的に展開がはじまる推進力としてのボンヤリさ、お話が進めば進むほど安っぽくなるロケーション、もっさりしたアクション・シーンなど、首を傾げたくなるところはありますが、本作で重要なのは
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クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)

4.0

アイデア勝負のホラーは世界に数多くありますが、本作は近年稀にみる傑作!

音を出せない環境のなか文字情報はもちろん、一見すると不思議なギミックや日常の中のルーティーンなど、丁寧で細かい演出を用いて世界
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ラ・ヨローナ~泣く女~(2019年製作の映画)

3.5

何だか日本や中国などの伝承にもありそうな、教訓めいた水辺の怪談『ラ・ヨローナ』ですが、背景にはヒスパニック的家父長制の問題が横たわっている伝説だとか。
そういうエッセンスを前提で観ると、アンナやパトリ
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サランドラ(1977年製作の映画)

3.5

ウェス・クレイヴン記念すべき監督2作目は、ちょっと変わったヒルビリー・ホラー。

猟奇殺人ファミリーの掘り下げはあまりなく、オモシロ殺人描写が秀でているわけでもありませんが、きらりと光るものは随所にみ
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イット・フォローズ(2014年製作の映画)

4.1

ふと外を眺めたとき、こちらを見つめる人がいたら? こちらへ歩いてくる人がいたら? そしてそんな恐ろしさがずっと後をつけてきたら?
ギョッとするような刹那的恐怖が終わらない、まさに悪夢のような体験です。
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キャビン(2011年製作の映画)

3.5

まさかヒルビリー・ホラーで世界が終わるとは!!!

名脚本家ドリュー・ゴダード×ジョス・ウェドン×マイティ・ソーことクリス・ヘムズワースというハリウッドど真ん中な売りに、リチャード・ジェンキンスとブラ
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マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

オカルト? 超科学? 心霊? サイコ? 
スラッシャー? ジャッロ? モンスター?
文字通りの正体不明な恐怖が、この映画自体をも唯一無二の存在にしています。「バケモノの正体見たり"食わず女房"!」と膝
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A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

4.5

幻想小説の短篇を読んでいるかのような心地良い不思議な雰囲気にひたれる映画です。
「ゴースト・ストーリー」と言えばゴシック以来の英国恐怖小説のジャンルを思い浮かべてしまいますが、そういったカルチュラルな
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ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年製作の映画)

4.7

画面に映っているヒト・モノ・コトのすべてが愛おしく理想的で、「高校生活ってものが全部こうだったらいいのに」と思える新たなハイスクール・コメディ。

エイミーやモリー、ファイン先生に痛いほど共感する人は
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ブレイド(1998年製作の映画)

4.0

物心のつかない頃、狂ったようにヘビロテしていた映画のひとつ(記憶に確かなのはコチラではなく『ブレイド2』だけど)。
人生初吸血鬼がウェズリー・スナイプスだったなんて……。

当時流行のガチャガチャ編集
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リング(1998年製作の映画)

4.3

Jホラー全盛期も真田広之が日本にいた頃も知らない若輩者からしてみれば、そのすべてがクラシック中のクラシック。

「昭和の怪談ブーム」に比肩する、日本映画界のホラー・ムーブメント「平成のジャパニーズ・ホ
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スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)

3.4

自分にはギャングエイジがなかったなぁ、と回顧しながら鑑賞。
四人組も不良たちも家庭も、そして町全体も閉鎖的で偏狭なホモソーシャルな関係性の絆で固く結ばれています。旅の道中で四人がふざけて缶へ石を投げた
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バッドボーイズ(1995年製作の映画)

3.4

'00~'10年代に世界を席捲するマイケル・ベイとウィル・スミスの原点であり、それまでのバディ・ムービー刑事ものと一線を画したエポックメイキングな作品です。

しょっぱなから西日ビカ~ッ、車ドカ~ッ、
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グラン・トリノ(2008年製作の映画)

4.1

『許されざる者』以降、それまで自身が体現してきた"アメリカ的男らしさ"への懺悔を続けているクリント・イーストウッド。本作ではそれが"アジア的男らしさ"とも突き合わされています。

車の整備に庭の手入れ
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エルム街の悪夢(1984年製作の映画)

3.8

ゆめうつつを股にかける殺人鬼という意外な角度からのアプローチで、手垢のついたスラッシャー・ホラーに最後の輝きをもたらした佳作です。

'70年代以来の玉石混淆な凡百の同ジャンル内でも本作が生き残ったの
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13日の金曜日(1980年製作の映画)

4.0

スラッシャー・スプラッター三英傑といえば『ハロウィン』のマイケルくんと、『エルム街の悪夢』のフレディくん、そして『13日の金曜日』はジェイソンくん。
……とは言いながらも本人は全然登場しないシリーズ第
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オーメン(1976年製作の映画)

3.9

'70年代オカルト・ブームに燦然と輝く逸品。
映画としての内容はおろか、その制作現場にまとわりつく不気味なエピソードの数々も今では語り草です。

本作を非凡なものたらしめているのは、グレゴリー・ペック
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セールスマンの死(1951年製作の映画)

4.6

現代社会のあらゆる問題――社会競走や経済格差、若者や老人の世代論、父子関係の議論、学歴・教育問題、ジェンダー問題に家庭問題など――が、ある家族へもたらしてしまった悲劇。
あまりに惨酷、痛切、空虚なお話
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ゴジラvsコング(2021年製作の映画)

3.9

祝Blu-ray&DVDリリース!

ハリウッドゴジラ三作はおろか、ここ十数年のいろんなモンスター作品のなかでも「怪獣映画」として指折りの傑作といえるでしょう。
コングが目覚めてモーニング・ルーティー
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シェフ 三ツ星フードトラック始めました(2014年製作の映画)

4.2

MCUの国父のひとりでありスターウォーズ中興の祖でもあるジョン・ファブローの意欲作は、「中年の危機もの」×「お仕事もの」×「グルメもの」×「ロード・ムービーもの」のサンドイッチ!

ド王道のストーリー
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