emuさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ソウルに帰る(2022年製作の映画)

4.0

知りたいけど知りたくない、優しくしたいのに優しくなれない。変わりたい、でもこのままでいたい。たくさんの矛盾、やり場のない感情、私にもひしひしと伝わってくる。まわるエレクトミュージック、体が刻むビート、>>続きを読む

エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版(1994年製作の映画)

4.3

幸せが偽りなら、なぜ生きるの?
偽りのないものは死だけ。

人から疑われても、自分さえ信じていれば大丈夫。ラスト30分でもう胸がいっぱい。私にとっての幸福とはこういうこと。

ファルコン・レイク(2022年製作の映画)

4.0

薄暗い森、灰色の空、夕暮れの湖。きらきらした夏の思い出とは違った死の匂いさえ随所に感じる演出がとても素晴らしい。自分にだけ打ち明けてくれた秘密も一緒にいられるその時間も、ひりひりした苦い痛みになって自>>続きを読む

エリザベート 1878(2022年製作の映画)

4.6

生気のない目、幼い少女のように笑い振る舞う彼女にとても救われた。ずっと息苦しくて美しくて死の匂いさえ漂うような濃密な時間。冬の月の光のように、冷たい無機物のようにそこにある空間とその余白がとても好きだ>>続きを読む

マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)

4.0

鮮烈な赤のタイトルと、爆破で始まり爆破で終わるラストまでとても気持ちが良かった。”あなたが私と寝るのではなく、私があなたと寝るのよ。”夫にも恋人にもどっちつがずで、自分の身体も心も自分だけのものという>>続きを読む

天使の影(1976年製作の映画)

-

黒を纏った天使、そして白を纏った悪魔。赤いルージュをさして祭壇の前で祈りを捧げるリリー。朧げで儚くて今にも消えそうなのに、彼女から内なる絶対的な強い死の意志を感じてもう目が離せなかった。

ノスタルジア(1983年製作の映画)

-

ガラス瓶にあたる雨粒、窓から聞こえる雨の音、湧き水のせせらぎ。霧のなかから現れる故郷。水の音があまりにも美しくて。

さらば、わが愛/覇王別姫 4K(1993年製作の映画)

4.3

色んな感情が渦巻いていてうまく言葉にできないな。あまりにも儚く脆く、それでいて力強く美しい。目を背けたい場面も多かったけれど、それでもずっと目を逸らせなかった。時代の移りという暴力に晒されてそれでもな>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

speed driveやdance the night、バービーランドの世界観ぴったりなダンスナンバーたちをバックに進んでゆくなかで、不意に訪れる静寂の時間がたまらなく好きだ。ベンチに腰掛ける老婆と話>>続きを読む

ジェーンとシャルロット(2021年製作の映画)

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母と娘、母と母、そして同じ女性としての対話。シャルロットがジェーンに向ける眼差しがとてつもなく尊くて愛おしい。アニエルによるジェーン・bをまた見返したくなった。ジェーン・バーキン、本当に素敵な人だ、、

サントメール ある被告(2022年製作の映画)

4.0

私のなかの、あなたのなかの、怪物。私たちはみな、違った怪物。結局なにが真実なのかわからない、自分の気持ちが本物なのかも。嘘でも本当でも、それが真実かどうかも重要ではない。過去の自分から今の私の言葉を掬>>続きを読む

フェイシズ(1968年製作の映画)

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すごくクールでエネルギッシュだ…途中からうとうとして記憶ないの悔やまれる。階段に佇む2人のラストカットがすごく覚えてる。

こわれゆく女(1974年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

壊れていたもの、壊れそうなもの、そして壊れてしまったもの。誰かへの愛はこんなにも歪んでしまって、もうなにが正しい在り方なのかどうすればいいかわからなくなってしまうよ。子供たちが泣きながら必死に母を守ろ>>続きを読む

8 1/2(1963年製作の映画)

4.0

「愛がなければ」というクラウディアとの会話に思わずハッとする。映画のなかで私の人生、他人との人生はこんなにも美しく混沌としている。幻のもう一つのラストシーン、観てみたかったな…。

ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

4.2

孤独という長い夜、どんなに怖くて心細いだろう。必ず迎えに行くからね、という彼女の涙と別れ、貨物列車の行先に思いを馳せる。

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

4.0

緑茂る道、2人と1匹の美しいロードムービー。Yo la Tengoの音楽と相まってとても心地よい。

マイ・ニューヨーク・ダイアリー(2020年製作の映画)

-

フラニーとズーイ、手紙をポケットから取り出して駅のホームで待っている冒頭のシーンがわたしも好き。

水の中のつぼみ(2007年製作の映画)

4.0

憧れと嫉妬、貪欲さ、奔放さと。自分が相手に、自分に抱く感情にどう対処していけばいいのかわからないもどかしさが切ない。こういう名前のつけられない感情が私は愛おしいと思える。素晴らしいラストシークエンスに>>続きを読む

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

タイムループの原因がまさかのタイムマシンの燃料切れだったというオチが可笑しくて好き。時が戻るのとは反対に、物語も人も前に進んでいこうとするその不可逆性に感動してしまう。雪降る貴船と小川のせせらぎ、とて>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

初日のレイトショー、私は今誰も知らない、全く新しいジブリ作品を見ているんだと思って満員の中ずっとドキドキしていた。青いスタジオジブリのロゴ。駆け上がる階段、走る人、雑踏、降りかかる炎と風、緑に溢れた草>>続きを読む

小説家の映画(2022年製作の映画)

4.5

マッコリとトッポギ、止めどなく続いていく偶然と対話、そして人生。魔法みたいなラストの演出に終わった後もしばらく席から立てなかった。

若き仕立屋の恋 Long version(2004年製作の映画)

4.3

あの人の手の感触は瞳よりも唇よりもずっと深いところにあって、仕立てたドレス達のように大切にしまっておきたい夢。儚くて尊い。切なすぎるラスト、コン・リーとチャン・チェンの美しさ。long version>>続きを読む

ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

描かれる女たちの多様性。わたしたちは誰も除け者にしないしさせないという強い意志をひしひしと感じた。
サロメのように自分の恋人や友人や息子が性加害者になる筈がないと信じて疑わないのは当然だと思う。でも信
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柔らかい肌(1963年製作の映画)

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「日曜日が待ち遠しい!」でも言及されていたように、愛による犯罪にフランス人は甘いし陥りやすいというのも、きっとその類なのかな。恍惚とした笑みを浮かべたfin、忘れられない。

日曜日が待ち遠しい!(1982年製作の映画)

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あの無数の小さな光の向こうにすべてがある。
悪態つきながらも真実を見つけようと奮闘するバルバラ、いつのまにかベルセルとも息ぴったりになってるの笑ってしまう。エンドロールがとても可愛くて好きだ。

左利きの女(1977年製作の映画)

4.0

「誰かを思いながら深い眠りにつきたい」という言葉がずっと心に残っている。赤色の使い方、室内のインフレーム。随所に小津オマージュを感じる。作中でマリアンヌ達が映画館で見ていた小津のトーキー映画は「東京の>>続きを読む

パッション(1982年製作の映画)

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私が夢のなかで絵画の世界に迷い込んでしまったとしたらこんな感じなんだろうか。レンブラントやゴヤの名画をこんなにも美しい映像で再現してしまうゴダール。雪道の再出発、ラストシーン好きです。

私、オルガ・ヘプナロヴァー(2016年製作の映画)

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あの日、ルームメイトの子にそっと布団をかけて静かに去っていったオルガの優しさを私は忘れたくない。

一晩中(1982年製作の映画)

4.3

たくさんの人々の出会い、別れ、或いは逃避、自問。それぞれに物語があって、決して多くは語らないけれどでも確かにそこに存在する人々の濃密な時間がそこにあった。人が夜に消えていく、夜の闇から浮かび上がってく>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

太陽の光、父の手のぬくもり。あたたかさの内側にある寂しさと哀しみ。あの真っ暗な海はアケルマンの「囚われの女」を彷彿させた。楽しい時間が過ぎ去ったあとになにかまた一つ、自分のなかから大事なものを失ってし>>続きを読む

アメリカン・ストーリーズ/食事・家族・哲学(1988年製作の映画)

4.0

薄暗い霧のなかから見えてくるニューヨークの摩天楼。波の音。窓の光が煌めきながら現れる。アケルマンの詩の朗読で物語が始まる構図が美しいと思った。幻想的な夜の灯火のもとでカメラに向けて自分の物語を話す人々>>続きを読む

それでも私は生きていく(2022年製作の映画)

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かなり私的な映画ではあるけれど、ミア・ハンセン・ラヴとレア・セドゥのコラボがついに観れたのが嬉しい。パスカル・グレゴリーとメルヴィル・プポー、ロメール作品を彩ってきた役者さん達が出ているのも個人的に好>>続きを読む

ノー・ホーム・ムーヴィー(2015年製作の映画)

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「あなたは大事なことは何も教えてくれない」というナタリアの言葉がずっと引っかかる。暴風に揺れる木、誰もいない室内、手入れのされていない庭、澱んだ川の水面に映る彼女の影には、やはりどうしようもない孤独が>>続きを読む

アンナの出会い(1978年製作の映画)

4.8

アンナから感じる孤独は何故かあたたかくてクリームのような淡い色をしている。
美しさと寂しさと、誰にも埋めることのできない、どうしようもない空虚、孤独の波。異国の地で様々な人と出会い語らい、触れ合っても
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