acottさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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テス(1979年製作の映画)

3.8

貧しさに端を発する不幸にどこまでもつきまとわれる美しい女性の一大叙事詩。めちゃくちゃ辛くて長い話だけど、ナスターシャ・キンスキーの美しさと精神の気高さがあったから見続けられた。
話としては『緋文字』を
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ふたりにクギづけ(2003年製作の映画)

4.1

映画チャンネルつけっぱなしで偶然見たけど面白かった!15年前に社会的弱者に寄り添い、しかも説教臭くない、嫌味なく面白いってすごい!
主人公は腹部が繋がった結合性双生児、いわゆるシャム双生児。2人が育っ
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バンガー・シスターズ(2002年製作の映画)

3.3

何となく全部見てしまった。昔は一緒にバンドのグルーピーをしてて遊び散らしてた仲だったゴールディ・ホーンとスーザン・サランドン。今や奔放な無職とリッチな弁護士夫人と真逆の生活をしていたのが、再開をきっか>>続きを読む

情事(1960年製作の映画)

3.9

女性主人公は友人とその恋人などと船でバカンスへ。友人は漠然とした不安を抱えているようで、その後失踪する。彼女の行方を探す主人公と恋人だったが、惹かれあってしまう。友人への背徳感、いつ戻ってくるかも分か>>続きを読む

木と市長と文化会館/または七つの偶然(1992年製作の映画)

3.8

こんな文化政策をテーマにした映画があるのか?!とタイトルからして気になってた映画。ロメールらしい会話劇だった。
タイトルの通り、美観の一翼を担う大きな木がある田舎町に新市長が文化会館を建てようとするお
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ヘイトフル・エイト(2015年製作の映画)

3.8

意外にもちゃんと密室ミステリーだった。暴力と暴言溢れるタランティーノ節はそのままだけど、黒人差別反対エピソードなんかも組み込んでいて面白かった。

話とは無関係だけど最初のスタッフロールでセクハラ騒動
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あの頃エッフェル塔の下で(2015年製作の映画)

3.7

『そして僕は恋をする』の主人公の前日譚的青春劇だった。
幼少期に母親と決裂したことで、絶望から達観するしかなくなってしまったような主人公。それでもファム・ファタールであるエステルと出会い愛し愛される喜
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パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)

4.2

ギレルモ・デル・トロのダークファンタジー。極悪な権力者と抑圧を受ける社会的弱者の対立構図を見ても、もう『シェイプ・オブ・ウォーター』の骨格は出来てたんだなぁと思った。
時はスペイン内戦、主人公の母は夫
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遊星からの物体X(1982年製作の映画)

3.8

旦那の勧めで鑑賞。ちょっとグロいとこもあるけど、まぁエイリアンが観れるくらいだったら大丈夫だと思う。
そのエイリアン的な「物体X」の物理的恐怖と、南極の基地という密室空間で疑心暗鬼になっていく心理的恐
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サボテンの花(1969年製作の映画)

4.1

ゴールディ・ホーン大好きなので見たけど、ゴールディの魅力を存分に引き出すようなコメディですごい面白かった!

ゴールディ演じる主人公は若いレコード店員、彼氏はいい歳の歯科医。歯科医は結婚に縛られるのが
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グッバイ・ゴダール!(2017年製作の映画)

3.8

ゴダールとアンヌ・ヴィアゼムスキーがカップルだった時の物語。時期的には『中国女』、最後ににジガ・ヴェルトフ集団も出てくる辺り。
ブルジョワの出身でありながら五月革命の機運をきっかけに、活動家として革命
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ジャズ大名(1986年製作の映画)

3.8

筒井康隆原作の岡本喜八監督、時代ものコメディ!
最初は奴隷から逃げてきたらしい黒人たちの逃亡劇。彼らに日本語でアテレコしてるんだけど東北弁のチャンポンで、東北出身者としては不快。昔はこういう表現よくあ
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ゆきゆきて、神軍(1987年製作の映画)

3.6

やっと観れた!奥崎謙三の主張、戦後の犯罪は些細なことでも罰せられるのに、戦中の悪行は誰も裁かない!というのは確かに同意する。けどそれを言い切らないうちに暴力をふるうので、主張も暴言になってしまう。
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月世界旅行(1902年製作の映画)

4.1

カラー復元版で。音楽はAIRだった!
月世界のイメージがファンタスティックプラネットにも受け継がれている気もした。
皮肉ありのドタバタコメディ。あと、女性の生脚を映像で見せたかったんだろうな〜って感じ
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バーフバリ 王の凱旋 ≪完全版【オリジナル・テルグ語版】≫(2017年製作の映画)

4.3

1作目と連続で見たけど、2作目はいろいろ磨きがかかってる。序盤は意外にもコメディで、もうとにかく従者で奴隷身分のカッタッパがいいキャラすぎる!
コメディも王位争いも壮大な戦争シーンも(良い意味で)大げ
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バーフバリ 伝説誕生(2015年製作の映画)

3.8

王位争いで終われた赤ちゃん王子がとある村で助かるところから始まる。自分が王子とは知らないまま成長するあたり、ドラクエっぽい。
成長した主人公は、村に注ぐ大きな滝を登ってゆき、途中美しい女性に導かれるよ
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殺し(1962年製作の映画)

3.4

黒澤明の『羅生門』に影響を受けたパゾリーニが原案で、パゾリーニの助手をしていたベルトルッチが撮った映画とのこと。
娼婦殺人事件を巡り容疑者となった男たちが尋問され、各人の行動を映像化したところは確かに
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カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

4.5

予告映像でかなり煽ってたから本当に面白いのか半信半疑だったけど、劇場満員爆笑上映だった!映画内ネタバレがどんどん加速してめちゃくちゃ笑った!主軸はゾンビドラマ。
細かいネタもクソ面白いんだけど、映画の
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俺物語!!(2015年製作の映画)

3.7

アニメ版は見てたのでストーリーは知ってた。ただアニメ(原作のマンガも)だと続いていく物語だけど、まぁ映画化するならここをピークに持ってくるよね〜ってとこで終わる。そのために間延びしてしまってるのがもっ>>続きを読む

ヒロシマモナムール/二十四時間の情事(1959年製作の映画)

3.8

広島の街で出会った日本人の男とフランス人の女の会話劇。特に女の方は、戦争や原爆を落とされた広島の街などの事象が人格化したようなキャラクターでスリリングだった。前半は詩的なのにドキュメンタリーフィルムの>>続きを読む

アバウト・タイム 愛おしい時間について(2013年製作の映画)

3.6

このジャケ画で恋愛が中心の話だと思ってたけど、家族寄りのお話だった。予想以上にバンバン力を使うので勢いで観れた。
主人公の家族が普通とは言いがたい、ひねくれ者が多いのがイギリスっぽくて良かった。渋かっ
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危険なプロット(2012年製作の映画)

3.7

途中まで「中産階級」の家庭に潜り込んで、それぞれを懐柔、破壊していくサイコパスものに見えて嫌なドキドキ感があったけど、観ていくとそれが目的でないと分かる。
自分も覗きの話好きだけど、フランス人ホント好
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フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017年製作の映画)

4.1

『万引き家族』と同じく家族、貧困、倫理観をテーマにした作品。万引き〜よりもモヤモヤ感が残る。どうすれば彼らを救えるのか、救うって何?、倫理的にダメなこと、好きなように生きてはいけないのか?とか考え続け>>続きを読む

万引き家族(2018年製作の映画)

4.8

綿密な取材に基づいているであろうことが随所に見えるすごい作品だった。設定だけでもショッキングだけど、それぞれの状況とか気持ちとかが細かな描写の中に息づいているのも素晴らしかった。
社会からこぼれ落ちた
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犬ヶ島(2018年製作の映画)

4.2

1回目は字幕で、2回目は吹替で観た。序盤で説明があり、人間の声は日本語で、犬の言葉は英語だとの断りが入る。人間と犬とは言葉が通じていないことを明示したものであり、さらに言えばこの演出は英語話者が犬に感>>続きを読む

ルイ14世の死(2016年製作の映画)

4.4

ジャン=ピエール・レオー演じるルイ14世が徐々に弱り死んでゆく様を淡々と描いた映画。淡々としてるんだけど、真面目な歴史モノという訳でもなく、治療に当たる医者たちが可笑しかったり人間ドラマでもある。老い>>続きを読む

フランソワの青春(1969年製作の映画)

3.8

悲しみを背負った空想癖のある11歳の少年フランソワの初恋的な物語。トリュフォーの『あこがれ』みたいな。フランソワ役の子が本当に陰があって役にぴったり。でも音楽がなぜかホラーでうるさい。
ヒロイン役がジ
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ユキとニナ(2009年製作の映画)

4.4

子どもの瑞々しさにキュッとなる。日本人監督なのに、撮り方というか映画の文法みたいなのがフランス流な気がした。数作見ただけだけど諏訪監督好きだ。
諏訪監督は幻を効果的に使う監督だと思うんだけど、今作では
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ゼロ・グラビティ(2013年製作の映画)

3.5

公開時、日本語版のタイトルについて、原題では『グラビティ』なのになぜ「ゼロ」を付けてしまったのか、『グラビティ』の方がいいだろ!と言っていた人たちに全面的に同意。
脱出劇なのでハラハラして息止まりそう
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クロノス(1992年製作の映画)

3.5

ギレルモ・デル・トロのちょいダークなファンタジー。ジョジョの石仮面的(顔にはめるのではないけど)な機巧の不老不死装置「クロノス」をめぐるお話。主人公がおじいちゃんなところと、相方が喋れない孫娘ってとこ>>続きを読む

立ち去った女(2016年製作の映画)

4.0

主人公は50代と思われる女性。刑務所での労働シーンから始まる。無実であることが証明され30年ぶりに釈放されるが、家族は離散、自分を嵌めた黒幕への復讐を果たそうとする。
復讐のため社会の底辺に隠れながら
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バルタザールどこへ行く(1964年製作の映画)

3.6

バルタザールと名付けられたロバの受難を淡々と描くキリスト教的な物語。寓話と言った方がいいのかも。小さい頃はロバをかわいがっていた女の子も成長し、理不尽な目にあい不良とつるんだりして辛い。バルタザールの>>続きを読む