DZ015さんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

VIDEOPHOBIA(2019年製作の映画)

4.5

東京で女優になる夢に破れ大阪に戻った29歳の愛。ひとりの男性との出会いを境に歪んでいく現実。

とても気になっていた作品。これは最高。スリラーにカテゴライズされてしまっているのが惜しいほど独自の世界観
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ハッピーボイス・キラー(2014年製作の映画)

3.4

精神的な病から他人には聞こえない声に翻弄されつつ平凡な日々を過ごす青年ジェリー。

傑作「チキンとプラム 〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜」のマルジャン・サトラピ監督作品と知り鑑賞。やはり単なるコメデ
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未来よ こんにちは(2016年製作の映画)

4.0

高校の哲学教師であるナタリー。充実の人生真っ只中突如訪れる孤独。

好き系の作品。特に大きな出来事が起こるわけではないのにひたすら没入。生きるってこういうことですよねと諦念やら自省やら希望やら、さまざ
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わたしたち(2016年製作の映画)

5.0

大傑作。10歳の少女ソンは学校でいつもひとりぼっち。終業式の日に出会った転校生のジアと夏休み中に親しくなる。迎える新学期。ふたりの関係に訪れる変化。

スクールカーストを中心にそれぞれの家庭の格差、親
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ノウイング(2009年製作の映画)

3.6

50年前の小学生が埋めたタイムカプセルから謎の数列が記されたメモが。

好きな監督のひとりであるアレックス・プロヤス監督作品でありながら、あまり得意でないディザスタームービーにカテゴライズされていた
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フェリチタ!(2020年製作の映画)

3.2

「"普通"には気をつけろ 奴らは何か隠してる」

立派な機能不全家族なのに何故か不思議な調和を保つ父母娘の3人家族。時々イヤーマフをつけては自分の世界にこもってしまう11歳のトミー中心の心温まる系作品
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ブラインド・マッサージ(2014年製作の映画)

4.3

舞台は盲人マッサージ院。「スプリング・フィーバー」では性別を超越した愛をフラットに描いたロウ・イエ監督、本作では視覚障害者の日常をフラットに描き、改めて気付かされる点も多々。「多様性」なんて言ってるう>>続きを読む

ルクス・エテルナ 永遠の光(2019年製作の映画)

4.0

これは体験。51分という短さながら体感は100分超。退屈という意味ではなく脳と視覚をいじめ抜かれる感覚。ネタバレ一切なしで説明しようとするとそんな感じ。

強烈に好みの割れる作品ですが、遅ればせながら
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CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)

4.8

最低で最高。単なるダンサーさんのリハシーンかと油断しきって観ていると実は完璧に計算し尽くした長回しの応酬に巻き込まれているもらい事故映画。各ダンサーさんのスキルの高さを含め凄まじい

もっと抽象的な地
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二重生活(2012年製作の映画)

3.9

ロウ・イエ監督ともあろうお方がこんな陳腐な物語を?と逆に驚かされるぐらいの導入部。無論そんなはずはなくそこから怒涛の緻密展開。

しかもダブル・ミーニング的に中国が抱える問題を入れ込み、普通のミステリ
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母なる証明(2009年製作の映画)

4.2

「パラサイト 半地下の家族」に続きポン・ジュノ作品2作目の鑑賞ですが、遅ればせながら天才を確信しますね。

何を観せられているのだろう?という冒頭シーンが、こんなにもエモーショナルに帰結するとは。
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ホモ・サピエンスの涙(2019年製作の映画)

3.3

間違ってもストーリーを楽しむタイプの作品ではないのだけど、なんだかとんでもないものを突きつけられそして残される作品。徹底的にこだわり抜かれた色調がとにかく好みでそれだけでもうっとりする。カウリスマキ監>>続きを読む

父、帰る(2003年製作の映画)

3.9

母と暮らす兄弟アンドレイとイワン。音信不通だった父が12年ぶりに帰ってくる。

素性の知れない父、ミステリアスな展開、啓示的で壮大な映像美。終始大きな暗喩に包まれ寓意的。兄弟の感情表現が素晴らしく、言
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ベイビーティース(2019年製作の映画)

4.7

病を抱える16歳の女子高生ミラが恋したのはタトゥーだらけのマレットヘア無職23歳モーゼス。戸惑う両親。

冒頭数秒で傑作を確信。素晴らしすぎた。あらゆる方向から刺さってきて処理が追いつかないほど。中で
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パリ、ただよう花(2011年製作の映画)

3.2

原作が「裸」という身も蓋もないタイトルのリウ・ジエの半自伝小説ということで、まるで会話のような性描写。性描写でこんなにも語る作品は初めて。登場する男女どちらにも共感こそ出来ないが、ロウ・イエ監督一流の>>続きを読む

11'09''01/セプテンバー11(2002年製作の映画)

4.6

「11分9秒1フレーム」という共通条件のもと、世界各国を代表する11人の映画監督が「9・11」をテーマに撮り上げた短編オムニバス。

「オムニバス」という言葉から連想する軽さとは対極の途轍もない作品。
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(2000年製作の映画)

4.2

「おじさん 今何時?」
「真夜中だ」

こんなに面白いのになぜ低評価なのかドゥニ・ヴィルヌーヴ監督長編2作目。まあいきなりグロテスクな魚が喋りだせば無理もないか。ぼくは大好物とばかりに入り込んでしまい
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ディストピア パンドラの少女(2016年製作の映画)

4.0

パンデミックにより人類の大半がウイルスに感染した近未来。感染しつつも高い知能を持つ少女メラニー。

予備知識ゼロで鑑賞。しかしこれは好みど真ん中な予感のする展開。そして的中。

さまざな要素を持つジャ
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桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)

4.7

傑作とは聞いていたもののずっと後回しにしていたことを悔やむ大変な作品だった。運動部との扱いの違いに度々口惜しい思いをした軽音楽部のあの頃の自分が今成仏したような気さえする。既視感しかないリアルな高校生>>続きを読む

プラットフォーム(2019年製作の映画)

3.9

目が覚めると部屋の真ん中に大きな穴があいた「48」階層にいた。

そんなオープニングから「CUBE」や「SAW」といったシチュエーションスリラーを予想するし実際そうした側面もあるもののもっととても大き
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ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

4.5

素晴らしかった。ウェンディと雑種犬のルーシーのいかにも訳ありな旅。犬との関係がとても重要なのはもちろんながら人生そのものを重く問われるような作品だった。

まるで俳人のような監督で、最低限の言葉で向
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アーカイヴ(2020年製作の映画)

4.0

亡き妻を蘇らせるべく研究に没頭するロボット工学者を描くSF。

低予算B級作品の予感しかないし世の評価もアレですが、切ない系SFをこよなく愛す者としてはこの目で確かめねばと。確かめてよかった。

意外
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スプリング・フィーバー(2009年製作の映画)

3.7

「この映画は、純粋なラブストーリーです。日常に生活する人と人の間に起きる心の衝動を描きました」

その監督の言葉通り、性別にさえ囚われない純粋すぎるほどのラブストーリーであり5人の男女の群像劇。同性愛
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クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅(2018年製作の映画)

4.0

「”運”という名の独裁者がいる限り 平等などあり得ない」

子供の頃からの憧れのパリのインテリアショップ(原作ではIKEA)にインドからやって来たアジャ。お金がないので店内のクローゼットに隠れ寝ている
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蝶の舌(1999年製作の映画)

4.2

喘息を持つ内気な8歳の少年モンチョ。体罰が当たり前の時代に決して叩かず、子供たちと共に森へ生物観察に行くような心優しき老教師グレゴリオ。

スペイン内戦が題材のはずなのに、意外とほっこりだな、などと二
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ふたりの人魚(2000年製作の映画)

5.0

カメラマンの「僕」は水槽の中を泳ぐ人魚を演じる水中ダンサー「美美(メイメイ)」と出逢う。現実と虚構をたゆたう二人。

秒で大好きだなと思ったがそれ以上だった。掴めそうで掴めない蜃気楼のように儚い物語、
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ノマドランド(2020年製作の映画)

4.6

季節労働の現場を渡り歩きながら車上生活を送る“現代のノマド(遊牧民)”

素晴らしかった。誰かといるとかいないとか、独りだとか独りじゃないとか、そんな次元ではない「孤独」を描き出すのが本当に上手いクロ
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