実際の上映時間より体感的に一瞬だったことを踏まえてもおもしろくて、楽しい作品なことは疑う余地もない。しかし、映画史においても前代未聞の過去作からのキャラクターを引き連れたマルチバースという概念がこれほ>>続きを読む
死が身近に迫った時、生の輪郭が克明に浮かび上がる。
ジャン=マルク・ヴァレを偲んで。
序盤と終盤の主人公の顔つきの変化が著しく、それだけで何が起こって何を感じたのかが雄弁に語られる。緊張と緩和も上手く使いこなしている。意識を誘導する手腕も見事。
ガンアクション視点でのカタルシスは抑制>>続きを読む
アクションやカメラワーク、語り口など、キングスマンへの共通認識であるテクスチャーは最小限に抑制されている。その点では、作品毎の描き分けがなされていて、観客がこのシリーズを観るときに明確にスイッチできる>>続きを読む
前3部作をもう一度語り直す必然性に欠け、演出面の斬新さはダウンコンバートされている。サム・ライミ版で描かれなかったスパイダーマンのディテールを補完しただけに見える。何がこの作品のアイデンティティなのか>>続きを読む
何度目かの。
社会人になっても学生時代のヒエラルキーから抜け出せてない辛さがある。ニューヨークを行き交う雑多な人間模様が描かれていて、街を語るという点でも優れている。
何度目かの。
前作と本作でテクノロジーの進歩をメタ的にヴィランとして登場させているが、これは同時期に公開された『マトリックス』シリーズの根底にあるものと近い。
サム・ライミのホラー的文脈の演出、美>>続きを読む
何度目かの。
ウェブシューターではなく、身体から直接、糸が出る仕組みが野生味溢れてて良い。狭いビルとビルの間をくぐり抜けるウェブスイングは、乗り物からの視点では得られない、人類の超越した視点が斬新。>>続きを読む
あくまで体感としてではあるが、これはマトリックスであると言える内容であったとは思う。
人間が操作され、高層アパートから次々と捨て駒として乱れ落ちる演出、ヘリから空の薬莢が降るスローモーションの画など>>続きを読む
何度目かの。
英国やスパイ映画を内省的に捉えることに努めている。新たな潮流と胸を張っては言えないが、ゴア描写のテイストや、畳み掛けるようなアクションのテンポ感は立派な独自の作家性と言える。
全体的なルックに関しては常に一作目の反芻。アクション以外の会話シーンのたるさは否めない。
レブロンとワーナーのプロパガンダムービーだったらまだましだが、そこにすら到達していない。
テイラー・シェリダンのエッジの効いたアクションの徹底ぶりが本作も凄まじい。ただ、敵を成敗するという意味でのカタルシスでは弱さを感じる。
あなたは信用できるか、信用していい、という本来なら口にしないし>>続きを読む
リン=マニュエル・ミランダは相変わらず楽しいスコアだ。
魔法に意志があるとしたらそれは祖父の意志に近くて、魔法の家=家族が崩壊してしまう方向に導く祖母のリーダーとして欠けた部分を、ミラベルに背負わせ>>続きを読む
劇伴と効果音がとにかくダサい。ラブシーンの気合いの入れ方が気持ち悪い。無理に硬派な作品を気取ろうとするところはチャーミング。設定の弱点としては、マトリックスの離脱と潜入のルーティンが物語の勢いと持続性>>続きを読む
映像革命の文脈で賞賛されることが多いが、演出のアイデアの豊富さの方に注目すべき。
クリスマス、ビーチでのバカンス、ひとときの幸せの後に訪れる絶望感に打ちひしがれる。楽しいひとときはほんの一瞬で、残りは苦しいことばかり。特別な日じゃない、強烈な光を放つ日々の記録がここにある。
言い>>続きを読む
ふわふわとしたキャンディマンの輪郭に盤石なバックボーンを与え、キャラクターとしての説得力と奥行きを生み出している。
鏡の奥で行われるカメラに写っていない部分での斬殺の演出など、見せると見せないの描き>>続きを読む
ミュージカルムービーとしてそれまでの作品とは別格。画面から飛び出さんばかりの躍動感と、計算ずくのカッティングと役者の配置や振り付けが、生命のナラティブとして表現されている。
スティーヴン・ソンドハイ>>続きを読む
前作の監督、ルーベン・フライシャーの作風でもあるダーティーな画面とは一変し、優等生的な仕上がりだ。カメラワークや編集も癖が少なく、ヴェノムの形態変化する動きも暗闇で動かしている割に見やすさも担保されて>>続きを読む
素朴な撮影ではあるが、画面構成がおしゃれで美しい。アングルだけで引っ張るシーンもある。
最後に残ったなけなしの生きる術を切り崩してなんとか保たれる生活に、疲弊しきった人々の心労を見る。
無知の子どもにストーリーを預けるから、ハンターを象に襲わせるという自分自身の存在否定にもなっている矛盾にも気づいていない。自分は人間であるのか、動物であるのか、その問いに真っ向から対峙せず、神にでもな>>続きを読む
この頃からホラーが変遷し始める。『羊たちの沈黙』から連なる、サスペンス風味の強い硬派な仕上がり。
予想より全然悪くない。腐ってもワーナーブランド。VFXに頼りっきりではなく、しっかりアクションしている風に見える。
アメリカって本質的にはこういう国だよねと恥も外聞もなく曝け出す気風の良さが魅力。制作サイドも主人公たちに第三者的な立ち位置を保ち、近づき過ぎず、キャラクターにとってのイエスマンにならないよう配慮してい>>続きを読む
レコメンドせずにはいられない、隠れた本年度の傑作。
音楽と声優、製作総指揮にリン=マニュエル・ミランダ、脚本にキアラ・アレグリア・ヒュデスと完全無欠の『イン・ザ・ハイツ』組。
もちろん音楽の素晴ら>>続きを読む
絶対死なないことが決まっているメインキャラクターに口実としてのライフを与える設定が茶番すぎるし、敵に首を切られそうになるみたいなエッジな展開は悪い意味で馬鹿っぽい。
ビデオゲームという題材の解釈にお>>続きを読む
原作は未読。本稿は村上春樹の文脈ではないのであしからず。
『ドライブ・マイ・カー』
このタイトルは言わずもがなThe Beatlesの『Drive My Car』に起因する。歌詞では、女性が男性に>>続きを読む
死が目の前にある状況で人が取る選択は、モラルや論理、常識と乖離しているものだというリアリティがひしひしと伝わってくる。
施設内のワンシチュエーションでありながら、施設内を休む暇なく奔走する主人公によ>>続きを読む
レビューがダコタ最高の一色なのも大納得。暴力的とまで言える彼女の魅力に感服した。映画然とし過ぎず、穏やかなテンションで肩の力が抜ける本作のような映画が、時には必要だ。
デビュー前のアレサ・フランクリンが『メイキング・オブ・モータウン』にも出演していた創設者の1人、スモーキー・ロビンソンにモータウンに誘われていたのを断って登りつめたキャリアが孤高でかっこいい。
商業>>続きを読む
フェーズ4に入ってから特に、アベレージさえ抑えていれば良いという保守的な風潮(実際に成功しているが)のMCU作品群に、クロエ・ジャオという異物がどう作用するのかと言う点で、注目が集まっていた。
本作>>続きを読む