蛇らいさんの映画レビュー・感想・評価 - 14ページ目

21ブリッジ(2019年製作の映画)

3.4

かなり久々に良い銃撃戦を見たなというのが1番に浮かぶ。これって意外と重要なことで、シンプルかつ普遍的なスリラー映画だからこそ際立つ気骨のあるアクションは、蔑ろにされがちなディテールのひとつだ。

ガン
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トムとジェリー(2021年製作の映画)

2.3

序盤、主にカットとパンするテンポとアニメーションの動きが早すぎて見づらい様な気がしていたが、本編が進むに連れて徐々に慣れたのか、抑制されてたのか、その点についてはクリア。しかし、オリジナルのスコット・>>続きを読む

悪い奴ほどよく眠る(1960年製作の映画)

-

他の作品と比べ、キレの悪さはあるものの、黒澤映画特有の溢れ出るダイナミズムは健在。

田中邦衛を偲んで。

あのこは貴族(2021年製作の映画)

2.5

階級社会の階層が違う2人を強引にこじ付けて相対化しようとする意図に辟易とした。社会と人間の大前提すぎる事象をあたかも気づきを与えている的な上から目線と論点のピントのズレは否めない。

精神論のみで突き
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ブルータル・ジャスティス(2018年製作の映画)

-

久々に身震い級の奴。

159分ながら、ユーモアに満ちたセリフ回しとドライな作劇で、残酷なグロ描写とは裏腹に訪れる多幸感に包まれる。ローファイかつ淡白なカッティングと撮影、オフビート推進する物語と目の
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サンダーロード(2018年製作の映画)

-

影のようについて回る、悲壮と後悔を引き連れて明日も生きる。それだけでいい。

藁にもすがる獣たち(2018年製作の映画)

3.0

大金がどこかに散らばることなく、1つのバッグの中に留まっている。奪い合わなければいけない事情が浮かび上がらせる社会への批評性は、原作譲りか。

繰り広げられる不毛な争いを劇中にて不在である誰かが高みの
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騙し絵の牙(2021年製作の映画)

2.6

あえてこちらの予測するタイミングから外したカッティングが、映画全体の小気味良さを演出している。さらに追い討ちをかけるような変拍子の劇伴が、キャラクターの交錯する心理を表現しているかのように感じた。>>続きを読む

ノマドランド(2020年製作の映画)

3.6

ドキュメント調に過去と現在が語られ、あらゆる選択肢、現状、可能性について示唆される。

誰かと一緒に暮らすこと、定職に就くこと、自然に身を委ねる生き方、放浪生活、コミュニティへの参加、心を開くこと、自
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チャンシルさんには福が多いね(2019年製作の映画)

2.6

ストーリーにキャラクターが変化するための口実は用意されているものの、成り行きがそうさせているようなだけにも感じ取れてしまう。

気の知れた女優の家でとりあえず家政婦としてバイトをして、フランス語学の先
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白蛇伝(1958年製作の映画)

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宮崎駿、高畑勲がどれだけ影響を受けたかが随所に見られる。国産長編アニメ第1号でありながら、卓越した豊かさに驚かされた。

大塚康夫を偲んで。

明日への地図を探して(2020年製作の映画)

-

毎日のルーティン化した日々を生きるという普遍的な人々の倦怠を、時間がループする世界に当てはめた斬新さを褒めたい。結果として生じる人生観の変化を可視化した一作。

しかし、2人が結ばれるエンドにしなくて
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わたしの叔父さん(2019年製作の映画)

3.2

今後の生き方を決めなくてはいけない場面に直面したときに、迫られる二つの選択。

フラットに見れば、叔父さんから離れて夢を追うことが主人公にとってプラスに物事が働くように感じる。しかし、見過ごしてしまい
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まともじゃないのは君も一緒(2020年製作の映画)

3.3

清原伽耶は与えられた場所で女優としてのキャリアをどう積んで、何を目指すのかという意思を演じたキャラクターから感じた。小泉孝太郎のキャスティングも素晴らしい。世界を変えようみたいな薄っぺらい自己啓発をし>>続きを読む

ラーヤと龍の王国(2020年製作の映画)

3.5

最初は世界観を広げ過ぎかなと懸念していたが、ストーリーの組み立てが要所でスマートになされていて、終盤の大きな展開まで緩むことがなかった。

アニメーション表現の美しさがまた更新されている。人物の身体の
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異端の鳥(2019年製作の映画)

-

地獄のようなという形容をしたくなるほど、寓話性の高い残酷描写の連続だが、嫌悪感は抱かなかった。そこに人間の根源的な悪と、その景色を見た者の行く末の可能性を知るべきだと感じだからだ。

真似をしたくなる
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ザ・ライダー(2017年製作の映画)

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選択する資格があることの苦悩と、資格を失った者とのヒリヒリとした対比にやられる。

一つとして同じではない生き物を、空の色は等しく肌に染め、並列にする。

婚前特急(2011年製作の映画)

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結婚が結婚以外の何かの象徴ではなくなりつつある今観ると、映画としての機能は半減してるなと感じる。

シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

4.2

エヴァがアニメ業界にもたらしたものは、良くも悪くも幾多とある。庵野秀明はその中のひとつ、ファンがアニメという虚構の中に仮の現実を築いてしまった責任の念を感じているだろうと思う。それらを少しでも良い方向>>続きを読む

聖なる犯罪者(2019年製作の映画)

2.2

社会的な罪と宗教的な罪、見境の混合した価値観で成り立っているという視点は新しい。誰が聖人で罪人で、正義で悪で、誰がそれを決めるのか、神の立場をも揺るがす意欲作。

北欧特有のソリッドすぎる演出、カメラ
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この茫漠たる荒野で(2020年製作の映画)

-

見せ場をポイントに置いただけで、それぞれのエピソードが物語として交錯していない。ロードムービーという性質上、陥りがちな欠点。

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)

3.2

2幕まで、あえてスタンダードなヤクザのパブリックイメージに乗っ取り物語が進む。その後の3幕で、ヤクザの存在の変容を何点かに凝縮して映し出す。ヤクザにたどり着いてしまう人、ヤクザがたどり着く場所が示唆さ>>続きを読む

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(2012年製作の映画)

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シンジがいつまでもウジウジしてるのって、周りが何も教えてくれないからなのではないか。お願いだからシンジが意思を持って目的遂行のために物語を引っ張っていくための何かを与えてあげて。サードインパクトを起こ>>続きを読む

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(2009年製作の映画)

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テレビアニメ版放送当時、24話と25話を完璧に終わらせられていたらとつくづく思わされる。特に綾波レイの扱われ方に強く感じる。

新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に(1997年製作の映画)

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公開当時のファンはこれで満足してたわけ?結局やってることがプロセスが違うだけで、TVアニメ版と一緒。だから新劇場版まで作り直してる訳か。

シン・エヴァンゲリオンで、またポエムエンドやられたら多分キレ
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(2007年製作の映画)

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大人と同等に扱われ、子どものように叱られる。思春期の辟易とするような辛さとなぞらえるようにできている。

要塞都市のCGのモーションを加えただけでもリテイクの価値は充分ではなかろうか。

マルコム&マリー(2021年製作の映画)

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何ラウンド喧嘩すんのっていうくらい喧嘩する。

互いの言い分や論争の主題によって、男女間の思考回路の違いを可視化している。議題は映画、政治、ジェンダー、社会階級など多岐に渡り、問題提起をする。シーソー
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弱くて強い女たち(2020年製作の映画)

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シーン毎にバチッバチッと決まっていくロケーションの美しさと、ショットのセンスに感服。

ビビットなカラーの人工的な建築物と生命力を感じさせる木々の親和性も見事。それらが柔和な自然光に包まれ、終始和やか
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あの頃。(2021年製作の映画)

2.6

何の気無しにブラウン管のテレビに映し出された松浦亜弥の『桃色の片想い』。コンビニ弁当を傍に涙を流すシーンは、人生が変わる瞬間をセリフではなく、ある種の奇跡的な現象として雄弁に描写されている。さらにママ>>続きを読む

許された子どもたち(2019年製作の映画)

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タイトルの妙。許すとは誰が決めるのか、はたまた誰も許していないのか。自分の座標を今一度省みる。そこに浮かび上がるのは、許されたと思い込む自分の顔ではなかろうか。

去年観ていたなら2020年の日本映画
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樹海村(2021年製作の映画)

2.3

ご時世的に、一般層がしんどくて暗い映画は観たくなくなったのか、犬鳴村と比べて明らかに動員が少なすぎる。

ホラー映画に恐怖を求める層に丁度いい湯加減の怖さをこしらえたら、怖くないと言われるし、『ミッド
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サッドティー(2013年製作の映画)

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この人たち以外のコミュニティが見えてこなくて、箱庭感が否めない。

その手に触れるまで(2019年製作の映画)

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世界の子供たちに平等に同じ苦しみがあるという前提で、社会、国、宗教、家庭環境などの原因の先まで枝葉が伸びてしまった結果を坦々と写すのが見事。