通り魔殺人、レイプ、震災等の軽く扱ってはいけない重いテーマをことごとく『社会派映画』の体裁を得る為に消費していく。その全てに作り手の実感は何1つ宿っておらず、泣き叫ぶ事こそが良い芝居であると盲信してい>>続きを読む
劇作家の中年男と車に住む浮浪者の老女のひょんな事から始まった長い長い年月の共同生活物語は、英国映画らしいシニカルさから人生の切なさを経て、じんわりとしたほろ苦い感動へと辿り着く。大人の為の映画。
人>>続きを読む
しみじみと「良かった・・」と言いたい。
ローガンの修羅道の終わりだけでなく、アメリカ(と世界)の最期についての映画でもあると感じた。
アメコミ原作からこれだけ渋い人間ドラマが産まれるとは・・
河瀬直美監督作品は『嘘が見えてはいけない』タイプの映画だと思うのだけど、今回かなり嘘が見えてしまう場面があり(特に永瀬正敏さんのカメラマン仲間達の言動にはかなり作り手の都合が透けて見える)、それが残>>続きを読む
エモさの瞬間風速では前作に劣るが、全体的には前作を踏まえた上でさらに愉しさがレベルアップした快作。既成楽曲の使い方もさらに進化。
ドラックスのマンティス容姿いじり(しかも執拗に繰り返す)だけが歯痒い。>>続きを読む
何から何まで間違ってしまった中年の大人達の物語。決して対岸の火事ではない。
主役4人のキャラクターが皆人間臭くて素晴らしい。「今は全身で彼を憎みたいの」等、特に女性陣の台詞にキレがある。弱い男達と、強>>続きを読む
「NERVE ナーヴ」「Catfish」の俊英監督コンビの作品なので、よくあるこの手のホラーとは一味違う。
登場する若者達は皆活き活きしているし、恐怖描写も心理描写もスケール感の出し方(屋根に上るのが>>続きを読む
いちいち野暮った過ぎる。
ただしクライマックスのアクションシーンは振り付けもカメラワークもケレン味たっぷりで愉しい(めちゃガン=カタでガンフーですが)。
これは好みの問題だしこの手の映画にそういう事>>続きを読む
遂に観れた!
いつものカサヴェテスらしい、躁鬱気味で1秒先も読めない感情の激流を渦巻かせながら主役2人それぞれの孤独と痛みを描く前半から、男と女が出逢いぶつかり合う恋愛活劇へと発展する後半へ。息を呑み>>続きを読む
映画で語るのはあまりに難しい物語を、ドゥ二・ヴィルヌーブ監督の魔力のような映画話術が力強く牽引していく。俳優陣も皆素晴らしく、撮影を筆頭にスタッフワークも見事。
原作からどう改変したかを後で知ったが>>続きを読む
脚本・演出・演技・撮影・編集、全てに自主映画離れした安定感があり、映画のリアリティを支えている。
「シン・ゴジラ」の監督陣は確実にこの映画を観た上でシンゴジの製作に臨んだはず(なんせ全く同じショット>>続きを読む
この監督は「ルナティック・ラヴ」が好きなのかなと勝手に思った。たぶん意識してるんじゃないかな?
ジャケット裏面にある「カタルシス・ホラー」という謳い文句に期待したら大失敗。
『あっちの世界』になるとシネスコからビスタに画角が変わる謎のIMAX仕様です
これって「フラット・ライナーズ」のリメイクかな?
何気に良い俳優陣を揃えているだけあって、「フラット・ライナーズ」をエモーショナルに再建した前半のドラマまでは中々良いのだけど、「ルーシー」的なホラーへ>>続きを読む
凡作というか駄作。自閉症や摂食障害をホラー映画のネタに使っているのがまた罪深い。
事故物件です。
エミール・ハーシュとブライアン・コックスという良い役者達のさり気なく人生を感じさせる芝居、そして演出・撮影・照明の巧みさ故に、脚本の辿り着くお決まりのB級ホラー感が勿体無い。
ジェーン・ドウの無言で>>続きを読む
琥珀色の美しい光の中で繰り広げられる、とってもウディ・アレン的な男女の恋の鞘当て。大ベテランの余裕が映画の大らかさに繋がった、大人の恋愛喜劇の良作。気張らずさり気なく、まさに洒脱。この映像美は劇場で観>>続きを読む
「マイティソー バトルロイヤル」(普通にラグナロクと書きたかったのだけどこんな邦題に・・)の監督に抜擢されたタイカ・ワイティティ監督作品。
「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」に続き今回も傑作!>>続きを読む
何と言っても主役が「シング・ストリート」のあのヒロインなのだ。あのラストで海を渡った彼女はその後こんな映画に出ていたのである(映画と現実を混同してます)。やはり抜群に画に映える。
母親役の女優も役の神>>続きを読む
SFアイデア一発でかなり頑張ったが、主人公の記憶の混乱を反映した時制のシャッフルがそこまでうまくいっておらず、正直肝心のアイデア自体もあまり面白くはない。
この映画の美点は前半の主人公達の恋愛模様に>>続きを読む
白石監督作品にしては冗長で、露悪趣味もしんどい。カエル男のキャラクターのつまらなさに足を引っ張られたか。今回はPOVもうまくいっていない。
愛する者の為にモラルに反した事をする、という「ある優しき殺人>>続きを読む
不可思議な発端から全く先が読めない謎展開を経て、驚天動地の狂った物語の構造が浮かび上がる怪作「パラドクス」の奇才監督の新作。
今回もやはり不可思議でシュール、全く先が読めない狂った奇作。前作以上に人を>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
シャマラン復活第2弾は予告編の印象とは全く異なり、ただのどっきりホラー映画ではない。前作「ヴィジット」のコミカルさもある開き直ったようなスリラーとは一転して、傷付いた者達のドラマの複雑さをはらんだシリ>>続きを読む
退屈と平凡を乗り切る(誤魔化す)為の中島哲也テイストと、「私たちのハァハァ」に通じる同時代感。田舎の閉塞感はいつになっても変わらない。
非常にCMディレクターっぽい作品。表現の奔流の中で彼女達の事は何>>続きを読む
こんなに深い業を描く作品だとは思わなかった。地獄のようなホームドラマの傑作。
筒井真理子が絶品。
先に観た友人の感想が"『淵に立つ』ではなく『淵に立たされている』映画"というもので、まさにその通り。手紙が体現する業によって動かされていく男の物語。
じわじわと進むアトム・エゴヤンの作劇が中盤はだれ>>続きを読む
野本監督の他の作品同様、世間からマイノリティとされる人々に寄り添う作品の姿勢が良い。感情の描写も的確。
一部の展開がやや性急過ぎるという気もするが、そこは短編故の仕方なさか
これは良い短編。マイノリティに寄り添う視点の優しさ。
主役の姉妹を演じる2人の女優も、16mmフィルムのルックを再現した映像も素晴らしい。
主演女優・笠松七海の眼の独自の鋭さがスクリーンによく映えて、映画の力になっている。
スクールカーストの中間層という視座の設定の良さ。
数年前の「シンデレラ」と同じく、物語の大筋は変えずとも細部を改変する事で、価値観をより開かれたものにアップデートしている。古きおとぎ話を21世紀に語り継ぐ為のディズニーの挑戦。
ミュージカル映画とし>>続きを読む
木村拓哉がいくら素晴らしい殺陣を披露しても、望遠レンズを乱用したあの撮り方だと何も伝わらなくなってしまう。会話の撮り方は素晴らしく巧みなのに落差が激しい。暗部を潰しすぎているのも芝居優先ではなくルック>>続きを読む
常軌を逸して娯楽映画の彼方へと突き抜けていくジャスティン・リン監督の第4〜6作、主演俳優との死別という現実の悲劇を美しい作品へと昇華したジェームズ・ワン監督の第7作、と続いて「ストレイト・アウタ・コン>>続きを読む
銃乱射事件の顛末を関係者の証言をベースにロトスコープを用いて描いた、ドキュメンタリーの野心作。恐ろしくエモーショナルな作品だった・・今年一番というくらい圧倒された。一生忘れられない体験と言っても過言で>>続きを読む
これは静かなる傑作。脚本を筆頭に演出・撮影などのスタッフワークが素晴らしく、役者陣も皆ベストアクトと言えるくらい良い。
唯一の欠点は、クライマックスの対局シーンでの無粋なテレビ的回想の入れ方。あそこが>>続きを読む