滅茶苦茶バランスの良いゾンビ映画の傑作。「アイアムアヒーロー」よりも映画としての作りは巧く、グロさは抑えめエモさはマシマシ。
登場人物一人一人に感情移入させる手際が抜群に上手い。
コン・ユはまたして>>続きを読む
これをやるならジョー・ライト監督ばりに重厚にしっかりやるか、エドガー・ライト監督ばりにテンポ良く振り切ってやるかのどちらかだったと思うが、そのどちらにも行かずそこそこ生真面目に作った結果そこまで悪くは>>続きを読む
インド映画といえば歌って踊って尺が長い娯楽映画というイメージだけど、ここ数年は主婦の尊厳と社会進出をエンタメに乗せて問う「マダム・イン・ニューヨーク」やフランス映画のような複雑な余韻を残す「めぐり逢わ>>続きを読む
アメリカ映画、しかも黒人コミュニティを描いた映画で、こういう繊細な艶っぽさが全編に満ちているのがとても新鮮。ウォン・カーウァイへのオマージュはもちろんあるけど、こういう艶はオマージュだけでは出せない。>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
似た所のある傑作「エクス・マキナ」とつい比べてしまい辛口になってしまうが、脚本に致命的に想像力と技術が欠落している。
「エクス・マキナ」のシンプルさの中にあった深みはこの映画には一切無く、かと言ってS>>続きを読む
「オキュラス 怨霊鏡」「サイレンス」で映画話術の巧みさを存分に発揮してきた隠れた鬼才マイク・フラナガン監督、今回もやはり傑作。冒頭のシーンから切れ味鋭く巧みに、ドラマと恐怖を語る。
「スーパーマン >>続きを読む
小市民がギャングの振りをして右往左往するプロットはありがちだし映画自体にもあまりキレは無いが、すこぶる可愛い子猫の存在が良いスパイスになっている。
登場人物がやった事の償いはしっかり取らせつつも後味爽>>続きを読む
ホワイトハウス内を修復し、高価な美術品で満たす事はジャッキーにとって彼女なりの国を良くする為の美の武装である事が、序盤のホワイトハウス内のテレビ中継の挿話によって描写される。そして皮肉にも、彼女の夫で>>続きを読む
ウォン・カーウァイの映画がいつもいつも繰り返し描いているものは、『In the mood for love』(「花様年華」の英題)という言葉で言い表す事ができる。むせ返るほど濃密な『恋の気分』の渦中。>>続きを読む
『5時から7時』と聞くと『クレオ』と続けたくなるが、この映画は『恋人カンケイ』(トリュフォー映画を劇中に出すくらいだから意識してるのかも)。
NYを舞台にしたアメリカ人青年とフランス人婦人の恋愛物語は>>続きを読む
近年のディズニー・プリンセスものは従来のそれとは全く違い、子供達に、世界中に、新しい解放された女性像を広めようとしていて、そこが本当に素晴らしい。
今回の作品では遂に完全に恋愛から離れて、島の王とな>>続きを読む
内臓の擬人化という驚異の発想と、それを普遍的なメッセージへと繋げる応用力。平凡な労働を否定しないバランス感覚も含めて、恐るべし。
生理的に合わない映画ではあったけれど、夢見がちな女の子が夢見がちな女の子の世界を夢見がちな映画として具現化してみせた感じは新鮮だった。
アイドルとして優秀でも女優としてどうかはまた別の話だし、自然体>>続きを読む
矢継ぎ早に繰り出されるケレン味溢れる表現の数々が全く連鎖していかず、正直どうでもいいという感想が心の中に芽生えていた。完璧だったピーター・ジャクソン版と比べるのは酷だとしても、怪獣チャンピオンまつりと>>続きを読む
大好きすぎて名画座でもDVDでも何度も観てる。
ひとりの女の情念が炸裂し、モラルに背いた完全に間違った事を成す事で、狂った世界で愛を貫き通す。熱く美しい圧倒的なエゴイズム。最高。
「M」「メトロポリス」のフリッツ・ラング監督によるフィルムノワール。若い美女に惚れた中年男の純情、酷い男に惚れ込んでしまった美女の盲目、女を殴る男の傲慢、それぞれの愚かさが彼らを破滅へと導いていく。>>続きを読む
モーガン・フリーマンと境遇の違う女性との束の間の交流、というワンアイデアだけで持たせようとしているけれど、いかんせん色々足りてない。結果、モーガン・フリーマンの力でなんとか持っている。
映画が進むに>>続きを読む
昔NHKで放送されていたドラマ版を子供の頃に観ていたので、懐かしさに心動かされて鑑賞。しかし実際は原作小説の作者を主人公にしたメタものになっているので、期待とは違ったけれど・・
とは言えジュブナイル>>続きを読む
意外に馬鹿にできない、これはこれで誠実に作られたラブコメお菓子映画。
日本のチャンベールこと鈴木亮平の猛烈な役作りも凄いが、ヒロイン役の子が嫌味の無い良さ。
てっきりスナは猛男が好きなんだと思って観>>続きを読む
「ザ・レイド」シリーズの魅力はアクションの狂気じみた迫力だけではなく、イギリス(?)仕込みの洗練された映画話術とインドネシアに満ち溢れる野性味の不思議な融合にある。傑作「ザ・レイド GOKUDO アン>>続きを読む
ジェフ・ニコルズ監督が「MUD」と「ラビング」の間に作ったSF作品。
小品という印象ながら、淡々としながらも恐ろしく静かに的確に物語るジェフ監督節が冒頭から炸裂。俳優陣、特にマイケル・シャノンとキルス>>続きを読む
冒頭、ルース・ネッガのある告白に対してジョエル・エドガートンが見せたあの純粋な笑顔で、この映画は勝ったと思った。何に対して勝ったのかと訊かれると困るがとにかくこの映画は勝った。
大胆に裁判描写を省略>>続きを読む
これはもう最高。いつのまにパク・チャヌク監督がこんなに優しいひとになっていたのか、と驚いた。
三部構成で描かれる騙し騙されのコンゲームから浮かび上がってくるのは、男性達に抑圧されてきた女性達の叛逆と>>続きを読む
正直敬遠していたのだけど、Netflixでテレビシリーズを試しに観てみたらかなり良くできた作品だったので、全話鑑賞の勢い余って劇場版も鑑賞。
2時間の娯楽映画としてしっかり作られていて流石だなと思う>>続きを読む
実在の女性発明家のサクセスストーリー、だがそこはやはりデヴィッド・O・ラッセル監督、一筋縄では行かない。
この映画が丹念に描くのは彼女の成功よりも苦しみだ。彼女の前に立ちはだかる様々な困難をこそ、徹底>>続きを読む
普通の映画がきっちりと真面目に説明しようとする物語の設定やら背景やらをかなり意図的に、良い塩梅でテキトーに流して、ひたすらキャラクター達それぞれ全員の見せ場とイカれたアクションシーンを作る事に注力した>>続きを読む
最高。胸一杯。夢見る事と生きて行く事、表現を営みとする事、愛する事の切なさと美しさがスクリーンに弾ける。
夢追い人に祝福を、それが例え愚かな事でも。映画としてどうこうというより自分の人生とリンクし>>続きを読む
いくらでも分かりやすい流行りの性悪説映画にできそうな題材を、恐ろしく細やかに技術と想像力を駆使して、そういった類の物とは似て非なる出来になっている。
登場人物のほとんどが厭な人間だが、その誰もがただの>>続きを読む
ポップな予告とポスターとは真反対(ユーモアはあるがコミカルではない)、ほとんど音楽が流れない奇妙な静寂の中で世界がある日突然崩壊した様を淡々と描く、和製世界崩壊映画の成功作。
音にかなり工夫が凝らさ>>続きを読む
物語の筋書きがオールドクラシックすぎるとは思うけれど、ゼメキス監督の凝った演出は全編キレッキレだし序盤の2人のやり取りは愉しい。
特に前半と終盤は素晴らしかった。
そしてマリオン・コティヤールのファム>>続きを読む
日本国内での宣伝の印象とは全く違う(邦題やポスターデザインも酷いが何よりポスター下部のキャッチコピーが罪深い)、硬派で骨太な作品。16mmフィルムの荒れた質感と燻んだ色調、手持ち撮影と素早いカッティン>>続きを読む
「この世界の片隅に」の片渕監督の過去作。「この世界〜」同様に、日常生活の中の喜びを1つ1つ細やかに丁寧に紡いでいく事で、得難い煌めきが作品に宿っている。早すぎた傑作。
前半はどこか過去の生活への憧憬>>続きを読む