このレビューはネタバレを含みます
スコア5にしてしまったのは、サマー効果のせいでしょうか。いいえ、好きな映画だからです。
冒頭、これは男女が出会う物語ではあるけれど恋愛物語ではない、というような前置きがある。では何なのか。これはトム>>続きを読む
終末と創生を覗く小さな鍵穴。宇宙の法則も届かないその地の果てを、ひとり少女が泳いでいる。誰の耳にも止まることのないモノローグは、風にさらわれて、あらわれて、美しい音になり、やがて、倫理だけが馬鹿になれ>>続きを読む
やけに眩しい季節だった。薄く開けた僕の目は、夜通し遊び倒して動けなくなった身体をベッドに投げ出し、死んだように眠っている君を、ぼんやりと見ていたろうか。それが愛の姿であると思わせる、そういう眩さだった>>続きを読む
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自分にとっては近年稀に見るA面、B面映画だった。あまりメジャーでない(メジャーだったらごめんなさい)役者を起用し敢えて淡々とB級映画のような雰囲気を演出していたのであろう前半は若干ウトウトしてしまった>>続きを読む
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やりたかったのは、生涯の内に起こる起こり得る出来事が一日の内に起こったとしたら、と言うことだろうか。着眼点が面白い。前半のスリラー展開がそれ以降人間ドラマにシフトして行くため、そっちを期待していなかっ>>続きを読む
始まりは小さな関心だったろう。うまく言葉にできなければ、その言い訳にすらならない、未熟な想いだったろう。この言葉が届くということが、想いだけでは都合不十分な、自身の答え合わせであってはならない。言葉足>>続きを読む
息をするように信じてきたものを、息を殺して疑わずには、いられなくなってしまったら。
何という自然体。チャーリー・プラマーだからこそ成立している映画だと思うし、この内容でスリラーやサスペンス色よりドラマ>>続きを読む
人は雄弁であるが故に、いつまでたっても語り尽くせないのだろう。この世には似て非なるものばかり。だから、人は眠ることを覚えたのだろうか。沈黙を知るために。朝夕も微睡の前では青く、概念ですら白々しい。それ>>続きを読む
何かもう主演の2人がひたすら人力で旅をしている、それだけで満足してしまう映画。もちろん異議はあるでしょう。これは超個人的な意見(いつものこと)。ちょっと人もお金もかけ過ぎているけど、これくらいのB級感>>続きを読む
やってみようを育てないことには、やってよかったという実が結ばれることもない。別にいい人じゃなくてもいい。汚い言葉もたまにはけっこう。改めて知る、ポケットに夢を詰めようが、何を詰めようが自由だってこと。>>続きを読む
あの頃みたいに家族の心が重なることは、もうないのかもしれない。そもそも、そんな頃本当にあったのかな。どこかでまだ信じている分、言葉にならない感情がこわい。北斗七星を眺めているといつも、パパが初めてわた>>続きを読む
涙に暮れている。涙が流れ続けている。血がこの身体を流れ続けているように、涙も血なのだとわかれば、それはもっともなことのようにも感じる。腐った社会は不在の親は、あなたとわたしたちが流したその血の海を泳げ>>続きを読む
神様という存在に頼らなければ。人生にはそんな瞬間がいくつもいくつも待っているのだそうだ。わたしは切に神様を信じたことがあったろうか。見よう見まねで、祈ったことくらいはあったろう。誰かを愛することは、も>>続きを読む
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あなたは大切な人を、最後まで愛することができますか。
思い出のものだらけで片付けられなくなった屋敷は、祖母エドナの頭の中そのもののように見える。長年一人で住み続け、内に内に向いた精神(屋敷)は、他者>>続きを読む
予期せぬ悲劇に見舞われてしまった男のカーテンコール。ヨルゴス・ランティモスやリューベン・オストルンド。テイストで言えば『隣の影』などもあったろうか。最近観る機会の増えた欧州発ブラックヒューマンドラマ。>>続きを読む
MOOSIC LAB(映画監督とアーティストを掛け合わせた映画制作企画)って、必ずしも良作ばかりとも言えないけれど(個人差)、たまに引き込まれる作品があって、これはまさにそうだった。ちょっとチャーリー>>続きを読む
少年は不思議な夢を見ていた。埃とカビのにおいが漂ってきそうな廃工場のような空間で、童子が一人遊びをしている夢だ。それはその少年の過去だったろうか、全くの他人だったろうか。面影は何ひとつとして重ならず、>>続きを読む
ベルイマン作品を観ているような錯覚に、『神々のたそがれ』的不衛生さが毒を盛る。理解を神話になぞらえるあたり、全ては映画狂いの夢語りであったような、鼻息の荒さが耳にこびりついて離れない力作。
コメディ畑の役者にコメディをさせないことの効果。これが正直なコメディ映画ならどのような台詞であれその都度オチを付けて笑いにするところを、オチを付けずコメディ的ストレスを敢えて生むことによって、ボブのシ>>続きを読む
幸福の国という言葉が一人歩きを始めたのは、いつからだったろうか。ここに描かれている現実を想像しなかったわけじゃない。むしろ想像に難くない。しかし、それよりずっと的外れであって欲しい、そう無責任に願いも>>続きを読む
取るに足らない今日のために、わたしをわたし足らしめることで精一杯だったわたしたちに捧ぐ。
振り向けば恋しい。しかしながら、追い付いてしまえばどこか寂しい。恋と呼ぶには物足りなくて、わたしたちは打算と懐を探り合うように笑ってみる。生きることはなりすますことと、本音の言い回しの選択で、器用だろ>>続きを読む
正午頃。買い物に訪れたスーパーマーケットの入り口あたりで、ゆっくりと歩いて来るおじいさんとその孫らしきふたりの姿が目に入った。好きに選び買ってもらったのだろうソフトクリームを両手で抱えながら、夢中にな>>続きを読む
大きな音を出す。大声を出す。エネルギーを解き放つ。音楽にはそういう力もある。和太鼓ほどシンプルなものであれば、それはとてもストレートで誤魔化しのきかないものなのだろう。
やってやれないことはない。わたしはわたしの音を信じる。
これでもかと配役がはまっている。これは役者がみな不足なく演じる力を持っていたという、そういう素晴らしさでもあるけれど、監督のイメージに無駄がな>>続きを読む
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彼女の身に何が起こっていたのか。あの問診中、顔が歪んだ瞬間、生々しい悪夢がざらりとした感触と共に一気に流れ込んで来た。この原題にはしっくりしかない。邦題も意味のないものとは思わないけれど、少し内容とは>>続きを読む
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かざした手からこぼれ落ちるものが、わたしの分け前なのだとしたら、わたしは光に気を取られて、多くのものを失ってきたのかもしれない。
故郷の片田舎を出たオーブリーは、都会での生活を謳歌し、自由奔放に生き>>続きを読む
秩序と混沌の中、反旗と弾圧の中、シュプレヒコールは鳴り止まない。
『ストップ・メイキング・センス』はライブで、こちらはショー。どちらもデヴィッド・バーンの脳内イメージの具現化という意味では同じなのか>>続きを読む
宇宙に浮かび上がる音の塊とルーツを口説き落とす確信的世界観。
それにしてもよく動く。それが必要な動きなのか、世間一般的にいうかっこいい動きなのかはわからない。ただ、わたしの目にはちゃんと必要でかっこ>>続きを読む
ひかりは箱庭の雑踏の中に、生まれ落ちたあなたを見つけ、憶えていられなかったあたたかな声や、まなざしとその見つめる先を、窓辺で黄昏に染まる洗い立てのシーツに映し出そうとしている。おとぎ話で育った名もない>>続きを読む
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何故かコメディと思って観始めたので(ジャケットのイメージと序盤の練習中に妹が入って来たりする辺りまでは)、とにかく驚いた。しかも実話だったとは。
これちょっとふざけてコックリさんとか黒魔術とかやってみ>>続きを読む
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何も隠せなくなってしまうから、陽光の下では話せないと思った。
唯一世界を意識させるものだったテレビ(クリスと叔父さんがお互いを意識せずにいられた時間)が故障し、2人は2人のいるこの世界と向き合い、初>>続きを読む
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時が経てば経つ程に、そのふたつの景色を、どちらとも直視できなくなってしまう時が訪れるのではないかと、わたしは恐れていたような気がする。
子育てをしながら宇宙飛行士を目指すサラは、遂に遂に念願の搭乗ク>>続きを読む
まともじゃないのはみんな一緒。え?全然そっち側の人間だったんだけど。全然日常なんだけど。え?あれ?面倒臭くてごめんなさい。成田凌をちゃんと観たのは『愛がなんだ』くらいのもので、その時とはまた違う彼の演>>続きを読む
素直でありたかったのは、誰かと親密ぶって、誰かを裏切るためだったろうか。何かのために祈りを捧げて、かわりに何かを得るためだったろうか。ひとつの波を、ひとつの歌声を忘れられなくなることがあるように、いつ>>続きを読む