ヨウさんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

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雨月物語(1953年製作の映画)

4.4

精度高すぎんか!?中身は全く知らなかった有名古典。それを見事に映像化してくれたことで素晴らしい物語を斬新な形で味わうことができた。上手く言葉には表せないけれど構図がしっかりとしているものだから何処にい>>続きを読む

孤狼の血(2018年製作の映画)

4.5

こりゃあ最高じゃけんのぉ!警察、ヤクザ、折檻、血飛沫、汚職、共謀、制裁、継承。任侠の旨味が仰山詰まったフルコースじゃけえ!薄っぺらな正義?あほんだら。そんなんで堅気を守れるか?ワシが命懸けて見せてやん>>続きを読む

女と男のいる舗道(1962年製作の映画)

4.4

一人の多感な女性の運命を粋な表現技法で操るゴダールの遊び心よ。2つの顔を敢えて隠しながら撮るカフェでのやりとりは非常に印象的。ビリヤード場で男を誘惑するシーンも軽快な音楽とエグいほどの妖艶さが相まって>>続きを読む

ミスター・ロンリー(2007年製作の映画)

4.1

自分ではなく他人になり切る生き方。同じ境遇にある人たちが集う奇妙なコミュニティ。マイケルジャクソン、マリリンモンロー、チャップリン、あらゆる擬態人間たち。「生きづらさ」を融和してくれるのはここしかない>>続きを読む

コード・アンノウン(2000年製作の映画)

3.9

ワンカットが目覚ましい群像劇。形ある収束は見せずモヤモヤを残したまま閉幕。何とも言語化に困る内容であるが故に否応なしに頭の中へこびり付き己で考えろと発破をかけられる。父親との関係に悩む青年、演じること>>続きを読む

71フラグメンツ(1994年製作の映画)

3.8

唐突に示される終末の日。そこに辿り着くまでの群像。老若男女それぞれに纏わる何気ないエピソード。特筆性があるかと言われれば答えに困る。だが恬淡とした運びの中で確実に不和が生じている。移民問題、家庭の歪み>>続きを読む

不完全なふたり(2005年製作の映画)

3.7

ラストシーンに全てが詰まっているということか。周りからは羨望の目で見られても実情は正反対。来るところまで来てしまった夫婦。些細なことから瓦解していく関係の脆さ。でも心の奥底ではほんの僅かな想いが残って>>続きを読む

街の灯(1931年製作の映画)

4.5

素晴らしいの一言に尽きる。観客のツボを一点集中に擽るその神業たるや。串刺しズボン、エレベーターと大男、水際の騒動、垂れ流しのワイン、滑る床、スパゲティ、ぐるぐるダンス、禿頭と料理、石鹸入りサンドイッチ>>続きを読む

ライオンは今夜死ぬ(2017年製作の映画)

3.8

死へ向かう老練の俳優。未来へ向かう子供たち。対極にある分子が共依存的にシナジーを起こす。純粋無垢なアマチュア映画人。授けられる教え。単純なものが美しい。映画撮影は楽しんでなんぼだ。核心を突く真理に登場>>続きを読む

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

4.3

エゲツないほどの充足感。凶悪ヴィランズに気味悪い怪獣たち。魑魅魍魎の集うこの異次元にはグロテスクあり爆笑あり涙あり。何でもありなコンテンツと化しながら思いもよらぬ手法で縦横無尽に魂を揺さぶってくる。複>>続きを読む

ユキとニナ(2009年製作の映画)

4.0

お母さんは日本に住むと強情を張る。でも私は友達と一緒にフランスに居たい。大人の事情で当たり前の日常を奪われるその境遇とはたまったもんじゃない。国際結婚はこういうところで悪影響を齎すのかと虚しくなる。家>>続きを読む

家族ゲーム(1983年製作の映画)

4.3

横並びの食卓。チューチュー目玉焼き。風呂場で豆乳。成績悪い順のテスト返し。緑際立つ校庭の様子。怖いけれども滑稽な指導方法。仰天のちゃぶ台返し。映し出される全てが可笑しみに溢れていて堪らない。破天荒な家>>続きを読む

タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら(2010年製作の映画)

4.3

これはホラーコメディの最高傑作なのでは?!某お笑いコンビの勘違いネタばりの珍奇な展開。「そりゃねえだろww」と思わずツッコんでしまう無様な死に方。極めて残酷なのに腹が捩れるほどの笑いが延々と込み上げて>>続きを読む

2/デュオ(1997年製作の映画)

3.9

情緒がぶっ壊れてやがる。こんな足元ガクガクな状態でよくいられるよな。取るに足らないような出来事からどうしようもない暴走に至るまで、その起伏の激しさに驚きを通り越してもはや呆れる。男も女も、双方異常。だ>>続きを読む

猫の恩返し(2002年製作の映画)

3.7

金ローにて。何だかんだで初めて全部観た。実家で猫飼ってる身からすれば猫まみれで終始眼福。豊かな世界観で繰り広げられる微笑ましいどんちゃん騒ぎ。時と種を超えて結ばれる絆がグググっと胸に。やっぱり猫は最高>>続きを読む

田園に死す(1974年製作の映画)

-

アレハンドロホドロフスキーとデヴィッドリンチを足して2で割ったような異空間。こんなにも前衛的な内容へ仕立て上げる寺山修司の脳内は一体どうなってるんだ?甘美で悍しい芸術。煌びやかな彩りと無機質な色合いの>>続きを読む

Love Letter(1995年製作の映画)

4.2

返ってくるはずのないラブレター。送り主は亡き婚約者と同姓同名の女性。摩訶不思議な文通の様子。甦る淡い記憶。共鳴し合う二つの恋心。冷徹な今に立ち直れなかった私。でももう大丈夫。時を超えて貴方たちが優しく>>続きを読む

羅生門(1950年製作の映画)

4.6

鬱々とした羅生門。検非違使庁での供述。二重の回想から露わになる殺人事件。盗賊、女、亡霊、そして第三者。錯綜する真相が観客の心理を弄ぶ。暗闇と光芒の黄金律。毒気に満ちた魂。滲み出る虚栄とエゴ。主観と客観>>続きを読む

台風クラブ(1985年製作の映画)

4.4

年頃を迎えた中学生たち。些細な憤懣と大人への反撥。誰もが魂消る狂乱が堂々開幕。鬱屈からの解放。闇夜の中の暴走。プールサイドでの一件、教室での諍い、誰もいない校内、レイプ未遂、向こう見ずな家出、体育館で>>続きを読む

3-4x10月(1990年製作の映画)

4.1

最後の最後に一杯食わされるやつ。なるほどそうきたかと。タイトルも謎の極みだったが内容もなかなかに謎だった。野球やったり、ヤクザの抗争に絡まれたり、沖縄行ったり、突然たけし出てきたり、赤い液体がブッシャ>>続きを読む

BROTHER(2000年製作の映画)

3.8

この男の行くところ、国内外を問わず宿命的に戦争が勃発する。頭が痛くなるほどの銃撃の応酬。塵のように葬られていく男ども。ここまで人が死ぬ映画、観たことない。人種を超えた契り。逃れられない破滅。行き着くと>>続きを読む

その男、凶暴につき(1989年製作の映画)

4.3

手のつけようのないほど獰猛な刑事。力づくで職務を全うする日々。一周まわって気持ち良いほどの凶暴さの裏で犇めく大いなる悪。ヤクに侵される人間ども。親愛なる者まで壊された男の怒りは誰にも止められない。血飛>>続きを読む

菊次郎の夏(1999年製作の映画)

4.5

驕慢なおじさんと過ごした僕たちのハチャメチャな夏休み。コンプライアンスの欠片もない野放図。やることなすこと全てが面白すぎて抱腹絶倒というそのままの意味を実体験する。競輪、プール、ヒッチハイク、子供遊び>>続きを読む

東京物語(1953年製作の映画)

4.7

昔ながらの家族の形から露わになる日本人の本質。整然としたフレームの中には清らかさもあれば濁りもある。東京の街で教えられる献身の意義。模範と反面教師。生々しい親子関係の表裏。真なる思いやりとはどこから貰>>続きを読む

悪魔のいけにえ(1974年製作の映画)

4.1

なんでこんなものを新幹線の中で観てしまったのだろう…
しかもノイズキャンセリングで…
チェーンソーの禍々しい機械音が最悪の後味を残し抜け切ることがない。

謎のヒッチハイクから全てが繋がっていく戦慄体
>>続きを読む

ロープ(1948年製作の映画)

3.8

優秀な人間は劣等なやつらを殺しても構わない。とんでもない倫理観だ。同じ人間と思いたくないほど下衆。そんな傲慢が跋扈することなど赦されると思うか馬鹿野郎。ジェームズスチュワートの一刀両断が尖った心をスカ>>続きを読む

ハッピーアワー(2015年製作の映画)

4.9

噂には聞いていた超長尺映画。この度早稲田松竹にて劇場鑑賞を果たすことができて心から嬉しく思う。第一部、第二部、第三部と分かれており、間にインターミッションを挟むのだが、その時間すらもどかしく感じるほど>>続きを読む

アンビリーバブル・トゥルース(1989年製作の映画)

4.3

ムショ帰りの訳あり男。厭世感丸出しの少女。死んだ心に生命を吹き込んでくれたのは貴方だった。隔たる壁は大きいけれども想い合う力があれば何だって乗り越えられる。明日世界が核で滅びようとも私たちが見ている今>>続きを読む

HANA-BI(1997年製作の映画)

4.9

人の一生とは花火のようなものである。パッと精彩を放つ刹那的な生。闇夜と共に襲い来る死。誰にも変えられない絶対的な摂理。じゃあそれを前にしてただ嘆くのか?バカ野郎。たとえ死が運命付けられようと残された生>>続きを読む

ベニーズ・ビデオ(1992年製作の映画)

4.5

「どんなものかと思って…」 それは歪な好奇心から起こった赦し難き事件。凍てついたビデオ映像と揺らぐ現実。これはお前たちの罪であり俺の罪である。一抹の悔恨と家庭教育の敗北。誰一人として”正す”者がいなか>>続きを読む

魔術師(1958年製作の映画)

3.9

魔術と称した興行。そんなものはまやかしだと一刀両断する者たち。オカルトと科学の対峙。そこにあるのは興味であり嫉妬であり優越感であり畏れであり… 人間臭さが疼いた演劇模様。喜怒哀楽入り混じる顔色が咲き乱>>続きを読む

シャイニング 北米公開版(1980年製作の映画)

4.3

午前10時の映画祭にて。シャイニング自体2年ぶりに観るから通常版との違いはよく分からなかった。でもやっぱり映画史に残るホラーの最高峰っすね。とにかく不穏な空気の作り方が上手すぎてたまげるわたまげるわ。>>続きを読む

ブラック・ウィドウ(2021年製作の映画)

4.1

麗しき容貌の内に秘められた燃え滾る炎。アベンジャーズを引っ張るマドンナは如何なる日々を送っていたのか。謎の蠢く過去と解き放たれる本性。纏わりつく複雑なしがらみ、虚偽だらけの関係、それら全ての「傷み」ご>>続きを読む

ミステリー・トレイン(1989年製作の映画)

3.9

エルヴィスプレスリーが繋いだ奇跡(?)とも言うべきであろうか。3つの章から成るオムニバス。海外アーティストゆかりの地を訪れた日本人カップル、一期一会で相部屋となった女性2人、図らずも銃撃事件を起こして>>続きを読む

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

4.8

再投稿
午前10時の映画祭にて劇場鑑賞。小説版を読んで臨んだこともあり、2回目の鑑賞にして本作が世界No. 1映画であることを肌身で感じた。類人猿の狂宴、無限に広がる宇宙の可能性、徹頭徹尾整然とした構
>>続きを読む

ビッグ・リボウスキ(1998年製作の映画)

4.0

これはなかなか上手い。コーエン兄弟独特のネジのハズレ具合を全開にしつつ、やるところはしっかりやる。コミカルさとシリアスさの絶妙なバランスが小気味良い。極めて滑稽なのにバイオレンス要素も強制的に垂れ流し>>続きを読む