花俟良王さんの映画レビュー・感想・評価 - 23ページ目

花俟良王

花俟良王

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グリーンルーム(2015年製作の映画)

4.5

コーエン兄弟のいいところをバイオレンス強めで再構築した『ブルー・リベンジ』のあの監督。やはり凄い奴だった。

作り込まれたプロットで展開は先読みできず、リアルな人体損壊は他人事ではない臨場感を与え、極
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沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)

4.5

スコセッシの使命感をヒシヒシと感じた。

今の彼の感性と地位だからこそ到達した、贅沢で隙がなく、真摯な作品。こっち方面では最高峰なのでは。

いやはや満足。ちょっとあと引きそう。

イッセー尾形はアカ
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エリザのために(2016年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

確かにルーマニアの社会情勢抜きには語れない作品ではあるが、パズルを組み立てていく楽しさもあった。

「人の言うことに従って夢見ていたら何も変わらなかった」という社会事情が発端。だからこのおじさんは娘を
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アシュラ(2016年製作の映画)

4.5

何度も何度も書くけど、この手の内容なら日本映画でも描けるはずだが、それができない。そこが韓国映画の強さで日本映画の弱さ。

もう少しおとなし目の内容かと思ってたが、血まみれ大殺戮のクライマックスはもち
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アンダーカバー(2016年製作の映画)

4.0

そもそも潜入捜査ものは否が応でもサスペンスが盛り上がるので、そんなに失敗しない。本作はそこに人種差別の恐ろしさを加味してなかなか見応えがある。

差別の根源は「被害者意識」である、と言い切ったり、ラス
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ヴァイラル(2016年製作の映画)

3.0

これはチラシの勝利ではないでしょうか。

他のレビューにも多く見られるけど、決してつまらなくはないです。

でも何かずば抜けて面白かったり怖かったりするところがないのが残念。

寄生虫と聞いて『ザ・ベ
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新宿スワンII(2016年製作の映画)

3.0

歌舞伎町がリアルだから前作は好きだったんだけど、横浜に移ってからの薄っぺらさはどうしたことか。赤煉瓦倉庫界隈でスカウトなんてしないよ。

そして「コンテスト」のダサさ…。存在意義が分からない。

広瀬
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ヒトラー最後の代理人(2016年製作の映画)

3.0

これは本国で通常の映画として公開されてるんですかね?

ナチス映画は題材が題材なだけに、大っぴらに否定しづらい。ただここ数年のある種のブームに乗じて玉石混交の事態となってきたようだ。

そりゃ収容所所
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おとなの事情(2016年製作の映画)

4.0

人の携帯を見る、という誰も得をしないゲームを始めてしまうシチュエーションブラックコメディ。予想を上回る面白さ。いい邦題じゃないですか。

室内劇で飽きさせないのは当然脚本が練られているからだけど(5人
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われらが背きし者(2015年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ル・カレ原作ということで入り組んだ裏切りのストーリーを期待してたけど、結構一直線の物語だった。

それでも雰囲気たっぷりのスリリングな亡命劇として楽しめる。スカルスガルドおじさんもいい。変にハードルを
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ドラゴン×マッハ!(2015年製作の映画)

4.5

長い。
シリアス過ぎる。
ワイヤーが鼻につく。

色々思った。

それでも、すげーー面白かった!!すげー興奮した!!

タイトルで損はしているが、アクション映画は今、こんな地平に到達していることを多く
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灼熱/灼熱の太陽(2015年製作の映画)

4.0

映画は色々なことを教えてくれる。
または、知る「きっかけ」を与えてくれる。

薄ぼんやりとした知識しかなかっな「クロアチア紛争」について少しは理解できたし、今後も何かで取り上げられたなら興味を持って向
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ネオン・デーモン(2016年製作の映画)

4.5

『ドライブ』よりも『オンリーゴッド』派の僕としては、もうご馳走以外の何物でもない。

ホドロフスキーを師と仰ぐレフンが、やりたいことやったるで、と妥協を許さぬアート魂で取り組んだファッションモデル残酷
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変態だ(2015年製作の映画)

2.5

ここぞという時以外カット割りができない、テンポがないことをよしとしている、面倒なところは全部ナレーションにして撮れるんじゃないか的なとこだけ撮って繋げている、ミュージシャンなのに一曲しか聴かせない…>>続きを読む

帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)

4.0

力作。快作。怪作。

「選んだのは国民だ。選挙を禁止するのか?」

痛烈。

貌斬り KAOKIRI 戯曲「スタニスラフスキー探偵団」より(2015年製作の映画)

3.5

メタからのメタ、で色々感情を揺さぶられ、長さは感じない。

8割を占めるだろう演劇のシーンの迫力は素晴らしい。なぜなら本物の舞台を収録しているから。黒子が舞台上で自由にカメラを向けており、ベテラン細野
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太陽を掴め(2016年製作の映画)

3.0

今は何時代ですか?尾崎豊テイスト推しで大丈夫なんですか?

と思って居心地が悪かったが、ある種のファンタジーとしてヤット君を受け入れたら、この若い監督の肝っ玉を楽しめるようになった。とは言うものの、な
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ストリート・オーケストラ(2015年製作の映画)

3.5

ほのぼのドラマを期待してたらちょっと肩透かしを食らう。笑いはなく、ビター。ご都合主義なのかリアル路線なのか舵取りが不安定。

それでも音楽の力は伝わる。音楽が人の心を癒し、奮い立たせる、その魅力が作品
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ある天文学者の恋文(2016年製作の映画)

4.0

人によっては、特に恋愛の理想を実践していこうとしている若い世代には、そもそもの関係性で拒否反応を起こしてしまうかもしれない。

ただ、歳を重ねてきて思うのは、人生は一つの側面からだけでは語れないという
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ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー(2016年製作の映画)

4.0

神話を強固なものにするための番外編であることをわきまえた展開が逆に新鮮な面白さ。

本筋では抑えていた悲壮感をこれでもかと背負っているが、最後のシールドを巡る決着のつけ方がド派手で素晴らしく拍手をした
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ワイルド わたしの中の獣(2016年製作の映画)

4.0

もう少しぶっ飛んでるキレッキレを想定していたので、案外地に足の着いた、いや全然着いてないけど、堅実な展開に少々物足りなさも感じたり。

ただどこのシーンとは言わないが、永遠に語り継がれるべき素晴らしい
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ペイ・ザ・ゴースト ハロウィンの生贄(2015年製作の映画)

3.0

ニコケイのテン年代は不幸街道爆進の歴史。なぜそこまで自分を虐げるのか?彼に何があったのか?

振り返った時、貴重なディケイドとなるはずだ。

映画そのものは、えーっと…

ドント・ブリーズ(2016年製作の映画)

4.5

シンプルゆえに露わになる、ホラー映画への愛。映画そのものへの愛。そして、観客への愛。

地下室のブレーカーを落とされ立場が逆転するあの素晴らしいシーン。暗転してからカメラはゆっくりと赤外線風の映像に切
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神様の思し召し(2015年製作の映画)

4.0

映画は脚本。映画はテンポ。

無理のない多数の伏線。無駄のない展開。そして最後のひとひねり。

88分で描き切る芳醇なコメディ。素晴らしい。

疑惑のチャンピオン(2015年製作の映画)

3.5

これがスコセッシだったらとんでもなく高揚する映画になったんだろうな。

スティーブン・フリアーズなのでそういう楽しみは全く期待しておらず、ある意味冷徹な演出を楽しんだ。

ガール・オン・ザ・トレイン(2016年製作の映画)

3.5

興味深く退屈せずに観た。

でもいくら役者が達者で雰囲気が良くても、あの収束(オチ)では豪華な2時間ドラマの範疇を超えられないのかな、と思った。

女性たちは丁寧に描かれるが、男性がペラペラなので、そ
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この世界の片隅に(2016年製作の映画)

4.5

のんちゃん完璧。

実直な片渕監督にスポットがあたったのも嬉しい。

エンドロール後のクラウドファンディングのクレジットですら泣けた。

過去の人々、今を生きる人々の思いが詰まった素晴らしい作品。

ブルーに生まれついて(2015年製作の映画)

4.5

色々言いたいことはあったのだが、ラストの業と哀しみの演奏シーンの素晴らしさに全て吹き飛んでしまった。

まるでサスペンス映画のような演出と、イーサン・ホークの狂気を宿した切ない眼差しに鳥肌が立ち、涙が
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セルフレス/覚醒した記憶(2015年製作の映画)

4.0

すげー面白かった!

ターセムがビジュアリストの側面を封印し割り切った「娯楽映画」として挑んだ作品としても誰もが楽しめる。

でもターセムファンとして注意深く観てると、隠そうとしても(してない)ドロド
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ミュージアム(2016年製作の映画)

3.5

ヘビー!

それは全然いいんだけど、あと15分短かったら印象も違うかもしれない。あのカーチェイスで現実に引き戻されてしまった……。

色々気合を感じただけに残念。でもブッキーと尾野真千子にはハッとさせ
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溺れるナイフ(2016年製作の映画)

4.0

あんまり理屈を言いたくない。突っ込みどころはたくさんある。映画好きで特に山戸監督の年代や、描かれる人物との年代が離れているほど何かを言いたくなってしまうだろう。

悔しいのだ。

その自由な感覚、それ
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エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に(2015年製作の映画)

4.5


自由で、みだらで、柔軟で、思慮深く、そしてとても優しい映画。

ラスト、とても大事なこと言ってるのに眠りこける彼ら。そして地続きの地平で大人として生きている僕ら。

人生を慈しむリンクレイターの、そ
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さざなみ(2015年製作の映画)

4.0

大人の映画、なんだけど監督の感性はむしろ若い。飛び道具なしで、ラスト一曲を独特のサスペンスにしてしまう。

しかし何よりもシャーロット・ランプリングを堪能する映画。この人はもう出てくるだけで「怖い」ん
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ダゲレオタイプの女(2016年製作の映画)

4.0

キヨシの怪談節!いやー、面白かった!

キヨシの作品を観るにつれ常々思っていたのは、日本の私たちの生活の中で「そんな場所ねーよ(笑)」と思わせてしまう(思わせてくれる)場所・シチュエーションが絶対登場
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太陽の蓋(2016年製作の映画)

3.5

大作ではないので画面が寂しいと感じるかもしれない。

人気俳優が大勢出ているわけでもない。

政府の責任を描いてないと思うかもしれない。


それでも観ることをオススメする。
私たちは、いつも忘れてし
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