ひでやんさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

ひでやん

ひでやん

映画(1090)
ドラマ(1)
アニメ(0)

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(2017年製作の映画)

3.4

立ち向かえ!愛しき負け犬たちよ。

水溜りに浮かべたボートを黄色いレインコートの子供が追いかけるオープニングに惹き付けられた。27年ごとに起きる子供の失踪事件、その恐怖を初っ端から植え付けられたが、ル
>>続きを読む

ジョーカー(2019年製作の映画)

4.1

「狂っているのは僕なのか? それとも世間?」

物語の肝となるその問いかけは、そのまま見る側にぶつけられ、アーサーの生い立ちを追う中で答えがボヤけていく。不条理な世界が狂人を生むのか、狂人が狂った世界
>>続きを読む

燃えよドラゴン(1973年製作の映画)

4.7

深く考えなければ、熱く感じる不朽の名作。

メインテーマ曲がたまんない。これを聴くと胸に熱いもんが込み上げてきて心が躍る。悪の道に手を染め、少林寺を破門となった男が孤島で武術大会を開き、その参加を依頼
>>続きを読む

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

3.9

「はじめまして、お隣さん」

タランティーノがシャロン・テート事件を題材にし、ブラピとディカプリオが初共演で挑んだ話題作だったので、かなり期待した。そしてW主演2人の登場に胸が熱くなったが、思っていた
>>続きを読む

みんな〜やってるか!(1994年製作の映画)

2.9

「女とヤリたい」という男の欲望によるコント集。

ベタなギャグの連発がしょうもなくてバカバカしいんだけど嫌いじゃなかった。前半はね。淀川さんが「サイレント映画時代の短編コメディだ」と絶賛していたが、「
>>続きを読む

ハッピー・デス・デイ 2U(2019年製作の映画)

3.8

タイムループ地獄からパラレルワールドへ。

前作の主要人物に新キャストを加え、見事な変化球で楽しませてくれた続編だった。ベビーマスクの登場で死亡フラグが立ち、ナイフを振りかざした瞬間に目覚めフラグが立
>>続きを読む

ハッピー・デス・デイ(2017年製作の映画)

4.0

何度も死んで無限ループから脱出する痛快ホラー。

コーラとカルピスを合わせてコーピスという新商品を作った感じ。分解すると既存の味だが、混ぜると新感覚。面白いって言うのはちょっぴり悔しいんだけどね、はい
>>続きを読む

第三の男(1949年製作の映画)

4.2

戦後のウィーンを舞台にしたフィルム・ノワールで、アメリカからやって来たよそ者が旧友の死の真相に迫る。

ヱビスビールのCMでお馴染みの曲がオープニングで流れ、この映画のテーマ曲だったのかと初めて知った
>>続きを読む

新聞記者(2019年製作の映画)

3.6

国家権力に抗う新聞記者とエリート官僚の葛藤を描いた重厚な社会派ドラマ。

首相御用達記者の逮捕状差し止めや、森友公文書改ざんなどといった実際の事件が下敷きになっている今作は、権力の暗部にかなり踏み込ん
>>続きを読む

Kids Return キッズ・リターン(1996年製作の映画)

4.6

限界を認めちゃうと絶望になるが、否定すると希望になる。

落ちこぼれの烙印を押されたマサルとシンジを演じた2人は、無名の新人から抜擢されたとは思えないほどハマリ役だった。カツアゲしても金が欲しいわけで
>>続きを読む

あの夏、いちばん静かな海。(1991年製作の映画)

3.8

青く静かな世界に溶け込む旋律と反復が心地良い。

壊れたサーフボードを拾った若者が波に乗る、そんなシンプルなストーリーの中に挑戦、失敗、努力、協力など、人生に於いて必要不可欠な事が凝縮されているようだ
>>続きを読む

ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

過激な発言によりカンヌ国際映画祭から追放処分を受けたトリアーが、7年ぶりにカンヌ復帰を果たすも途中退場者が続出し、賛否真っ二つに分かれたという問題作。

「話してみたまえ。ここに来た人間はどうせ話さず
>>続きを読む

ニンフォマニアック Vol.2(2013年製作の映画)

3.8

語り手に散々寄り添った聞き手が、最後にやらかす。

色情狂なのに突然オーガズムを感じなくなったジョーの行く末は…?という事でVol.2。シャルロット・ゲンズブールが回想の主役となり、いよいよ彼女の本領
>>続きを読む

ニンフォマニアック Vol.1(2013年製作の映画)

4.1

色情狂の女の半生を描いた「鬱三部作」の最終章。

いやあ、面白かった。各章のエピソードがどれも面白い。前二作の重苦しさは今作にはなく、哲学的でありながらポップな仕上がりだった。

先ずは、路地裏を縫う
>>続きを読む

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ(2018年製作の映画)

4.3

SNS時代に生きるティーンたちの「いま」を繊細なタッチで描く。

自分の学生時代を思い出すとちっちゃな事で悩んで、随分と人を傷付けて、とにかく不器用だった。「無我夢中」とか「一心不乱」なんていうカッコ
>>続きを読む

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

4.2

王室で巻き起こる女たちのドロドロ愛憎劇。

奇妙な過去の3作品が強烈だったので、今作はヨルゴス・ランティモスの作品なのか?と疑うほどまともに思えた。脚本が彼によるものではなく、舞台設定も18世紀の史実
>>続きを読む

籠の中の乙女(2009年製作の映画)

3.8

井の中の蛙大海を知らず。されど空の飛行機を知る。

外からやってきた女にボカシが入った時、R指定に納得してしまった。納得すると身構えていた警戒心が解けちゃって大変である。油断した所でブチ込まれる猫…。
>>続きを読む

グリーンブック(2018年製作の映画)

4.5

黒人差別が根強く残る1960年代、天才黒人ピアニストとイタリア系の用心棒が、特に差別が色濃いアメリカ南部をコンサート・ツアーで回るロードムービー。

黒人が使ったコップをゴミ箱に捨てる序盤で、ここまで
>>続きを読む

七つの会議(2018年製作の映画)

3.9

押し潰されそうな圧力の中で貫く正義。

『半沢直樹』の組織体制と、『下町ロケット』のものづくり精神を合わせたような作品だった。池井戸潤の原作は相変わらず面白いよね、期待を裏切らない。期待ってゆうのは、
>>続きを読む

翔んで埼玉(2018年製作の映画)

3.5

愛を込めて侮辱する絶妙な匙加減。

本編開始前に原作者が登場し、これは「フィクション」だと断りを入れ、さらに車のラジオから流れる「都市伝説」の話にする二重の防御。その中で「笑って許して」という力加減の
>>続きを読む

シャザム!(2019年製作の映画)

4.0

ソロモンの知恵を受け取らず、HAZAMになったおバカなヒーロー。

コメディセンスが抜群だね。魔術師が少年に神の力を与えて、早くもヒーロー誕生?と思わせる冒頭が憎い。後継者に相応しくない者ばかりで待ち
>>続きを読む

あの頃、君を追いかけた(2011年製作の映画)

4.2

問題児と優等生の甘酸っぱい青春ラブストーリー。

あいつもこいつもあの席をただ一つねらっているんだよ。このクラスで一番の美人の…前に座った主人公。勉強嫌いな問題児が、好きな女の子のために勉強に励むとい
>>続きを読む

こうのとり、たちずさんで(1991年製作の映画)

4.3

切り離されても心を繋ぐ静寂の集い。

テレビ番組の撮影で北ギリシャの国境地帯にある寒村を訪れたアレクサンドロスは、入国許可を待つ難民の中に10数年前に失踪したと思われていた大物政治家らしき男を発見。彼
>>続きを読む

シテール島への船出(1983年製作の映画)

4.1

亡霊となったかつての闘士。

主役を探していた映画監督がラベンダー売りの老人と出会い、彼の後を追うのだが、見失ったその老人が帰国する父として現れるのでややこしい。父の物語と映画製作の二重構造というべき
>>続きを読む

存在のない子供たち(2018年製作の映画)

4.2

12歳の少年が「自分を生んだ罪」で両親を訴えるオープニングが衝撃的で、そこに至るまでの経緯は重苦しく、衝撃の嵐が心を揺さぶった。

貧困、児童虐待、児童労働、不法就労、不法移民、難民、人身売買…日本と
>>続きを読む

わたしはロランス(2012年製作の映画)

4.0

大胆かつ繊細な心情描写が心を揺さぶる。

女性になりたい男性とその恋人の10年に及ぶラブストーリー。カメラワークや色彩感覚、音楽のセンスが抜群で、印象に残るシーンばかりだった。はじめにスタンダード・サ
>>続きを読む

十二人の死にたい子どもたち(2019年製作の映画)

2.9

キャストが豪華なのに重厚感がなく、良く出来た脚本なのに説得力がない。

命の選択について密室で論争した結果、強力な死への願望が生へと向かう展開を期待したが、殺人犯を探すというサスペンスが予想外で、思っ
>>続きを読む

アス(2019年製作の映画)

3.6

アメリカ社会の闇を暴き出す社会派ホラー。

オープニングのウサギが不気味で、そこから不穏な空気が漂い続ける。遊園地内のミラーハウスで得体の知れない恐怖を植え付けられ、じわじわと恐怖が忍び寄る、というよ
>>続きを読む

メランコリア(2011年製作の映画)

3.3

人類にとって絶望的な宇宙の救済。

『アンチクライスト』に続く「鬱三部作」の二作目は、対照的な姉妹の視点で描く最悪のハッピーエンド。前作同様プロローグをスローモーションで映し出しているが、悪趣味な前作
>>続きを読む

アンチクライスト(2009年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

全編に渡って貫く救いようのない精神世界。

重度の鬱に苦しみ、映画監督としての活動休止を余儀なくされたトリアーによる「鬱三部作」のひとつ。転落の悲劇をスロー再生する美しくも残酷なプロローグに初っ端から
>>続きを読む

ドッグヴィル(2003年製作の映画)

4.0

限られた空間の中であぶり出す人間の醜悪。

白線とわずかな家具だけで町を作るトリアーに冒頭から思わず笑ってしまったが、同時に不安に襲われた。こんなふざけた設定とナレーションによる進行で3時間走り抜くの
>>続きを読む

イディオッツ(1998年製作の映画)

3.4

障がい者を演じて健常者の偽善を暴く。

レストランで障がい者の集団と遭遇する事になる女性カレンの視点で物語が始まるのだが、彼女と一緒にまんまと騙された。冒頭から問題作である。

障がい者を演じる集団「
>>続きを読む

幸福なラザロ(2018年製作の映画)

4.4

リアリズムとファンタジーが入り交じる二部構成のシナリオが面白い。

外部から隔絶された小さな村で、小作制度の廃止も知らされず昔のままタダ働きをさせられている純朴な村人たち。領主の侯爵夫人は事実を隠蔽し
>>続きを読む

万引き家族(2018年製作の映画)

4.3

様々な社会問題が盛り込まれていたが、倫理観では割り切れない気持ちが胸に広がり、結局その答えは出ないままだった。

序盤は柴田家の家族構成が今ひとつ分からなかったが、徐々に相関図が見えてきて、奇妙な繋が
>>続きを読む

運び屋(2018年製作の映画)

4.1

実話を基に、麻薬カルテルの運び屋となった90歳の老人を描いたクライム・ムービー。

『グラン・トリノ』が最後の映画出演になるだろう、これからは監督業に専念すると言ったイーストウッド。もうスクリーンで彼
>>続きを読む

アリー/ スター誕生(2018年製作の映画)

3.7

華々しいスターの誕生と、痛々しいスターからの転落。

世界的に有名なロックスターが、たまたま立ち寄ったバーで聴いた女性の歌に惹かれ、いきなり自分のステージに彼女を上げてしまうって、夢みたいな話やな。夢
>>続きを読む