ひでやんさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

ひでやん

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三度目の殺人(2017年製作の映画)

3.5

司法制度にメスを入れ、伏線を張り巡らせて、そして逃げる是枝監督。

殺人事件の真相に迫る刑事の視点ではなく、依頼人である殺人犯を弁護する立場に観客は置かれ、弁護士の重盛を通して二転三転する男の供述に翻
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幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)

4.0

パッチワークのような家族を不器用に繋ぎ合わせる大人たちの苦悩と葛藤。

浅野忠信扮する中年サラリーマンを通して、はけ口のない感情とストレスが心に溜まった。バツイチ同士で再婚した男が、妻の連れ子とうまく
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バジュランギおじさんと、小さな迷子(2015年製作の映画)

4.5

勇敢なバカと無垢な天使に泣かされた。

「アルプスの少女ハイジ」を思わせる雄大な自然に冒頭から引き込まれた。美しい山奥の村に住む微笑ましい家族を眺めていると、とびっきり可愛い少女が崖から転落し、思いっ
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きっと、いい日が待っている(2016年製作の映画)

3.8

コペンハーゲンの養護施設で実際に起きた事件を描いたヒューマンドラマ。

母親が病に倒れ、児童養護施設に収容された13歳と10歳の兄弟。そこは体罰が横行する過酷な環境だった。労働の強要による肉体的暴力、
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ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

4.3

初見の時は応援上映で観たのですが、全員立つかと思ったらパラパラと立ったもんだからスクリーンが見づらくてね、自分も立とうと思ったら後ろの人が座っていたので、どうにもこうにも立てやしなかった。

でね、ラ
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gifted/ギフテッド(2017年製作の映画)

3.9

天才少女を普通に育てる叔父と、特別に育てる祖母の対立を描く。

担任教師がメアリーの答えを電卓で確かめる序盤で、7歳の天才少女がこの先どんな事をするのか興味が沸いた。生意気だけど思いやりがあり、特別だ
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(500)日のサマー(2009年製作の映画)

3.7

バイバイ、ありがとう、さようなら。愛しい恋…友よ。

9フロア分のエレベーター、IKEAのデートに映画館、ベッドで寄り添い語り合い、ゲラゲラ笑ってじゃれ合う2人。好き合うけれども付き合わず、女はLik
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スウィング・キッズ(2018年製作の映画)

4.1

音を鳴らせば対等でいられる。

朝鮮戦争中の捕虜収容所を舞台に、対外的イメージアップのために結成されたダンスチームを描く。

台詞の間や生活音、カメラワークがリズミカルで、序盤のテンポが心地良かった。
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インセプション(2010年製作の映画)

4.8

多層構造で繰り広げる新感覚サスペンス。

夢はコントロールできない無意識下の世界なので、原因と結果が結び付かず、支離滅裂とした展開になる。そんな夢の世界の構想に20年を費やし、自らシナリオを書き上げた
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プレステージ(2006年製作の映画)

3.9

人はマジックのタネを知りたがるが、教えた途端、皆去る。

19世紀末のロンドンを舞台に、2人の天才マジシャンの壮絶な確執とその顛末を描いたミステリー・サスペンスで、二転三転するトリックから目が離せなか
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インソムニア(2002年製作の映画)

3.3

不眠症の巧みな心理描写がなぜか眠りを誘った。

誤射で同僚を殺してしまった事により、不眠症と幻覚に苛まれる刑事をアル・パチーノが見事に好演。少女殺人事件の捜査に留まらず、犯人と刑事の関係性が目撃者と犯
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奇跡の海(1996年製作の映画)

3.7

「イディオッツ」、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」と並んで、黄金の心3部作という本作を心してかかった結果、ひどく打ちのめされた。

幸福に満ちた結婚から始まるが、精神病棟への入院歴があるベスに嫌な予感し
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ぼくのエリ 200歳の少女(2008年製作の映画)

3.7

永遠の12歳と孤独な12歳が誰も立ち入れない世界で結ぶ特別な関係。

観賞後にネットの解説を読んで愕然とした。先ず言いたい事は、物語の本質をグニャリと曲げた邦題と副題がポンコツ。そしてもう1つ残念だっ
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アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)

4.1

600ページの分厚い小説「マリアンヌの生涯」をトマに貸し、「描写が綿密で感情を掘り下げてるの」とアデルが言うが、約3時間ある本作の感想はまさにそれだった。

カメラの前で女子高校生を演じているというよ
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グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)

4.0

19世紀に実在した興行師P・T・バーナムの半生を描いたミュージカル。

チャリティとの出会い、父の死、孤児の生活、手紙のやり取り、そして結婚という幼少期から成人までを「A Million Dreams
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ルーム(2015年製作の映画)

3.8

世界を奪われた母親と世界を知らない子供が、閉ざされた部屋の外側へ。

誘拐、監禁、レイプ、妊娠という重苦しいシーンを飛ばし、親子の日常描写から始まる事で、観客に外の情報を一切与えないのが良かった。限ら
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ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)

4.2

その惑星たちは太陽を中心に回る。

人の心は満ちては欠ける月のようだ。深い悲しみは糸の様に細い繊月、そして満ち足りた幸福は満月。月は自分では光らず太陽に照らされて光る。本作の登場人物は皆、心が満ち欠け
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マザー!(2017年製作の映画)

3.6

次々と現れる訪問者たちの狂騒曲。

予備知識無しの鑑賞だったので、夫と訪問者に対して始終イラつきっぱなしだった。ジェニファー・ローレンスが演じる妻の視点に徹しているため、カメラは近距離で彼女を捉え続け
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恋人よ帰れ!わが胸に(1966年製作の映画)

3.2

主役と邦題からロマンティックなラブコメを想像したが、「金の切れ目が縁の切れ目なら、切ってしまえよお馬鹿さん」という物語だった。

フットボール選手にタックルされて病院送りとなったTVカメラマン。大した
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第十七捕虜収容所(1953年製作の映画)

3.9

陽気な日常の中に滲ませる疑惑。

「捕虜収容所」というタイトルで真っ先に思い浮かぶのが脱走だが、それをゴールに置いてコツコツと計画を進めるわけではない。脱走劇の醍醐味である穴掘りをすっ飛ばし、冒頭から
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失われた週末(1945年製作の映画)

3.8

絶望の海に溺れゆく作家と、献身的な救済者の物語。

主役はアルコール依存症を患う売れない作家で、序盤から救いようがない。坂道を転がり落ちるボールのように、堕ちる所まで堕ちていく。

その男はなぜ酒を求
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ドリーム(2016年製作の映画)

4.0

NASAの有人宇宙飛行計画を陰で支えた3人の黒人女性を描いた実話ドラマ。

アメリカとソ連が熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた1960年代初頭、能力が充分に発揮できない環境の中で、差別や偏見に苦しみな
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π(1997年製作の映画)

3.5

数字に取り憑かれた男の苦悩を描いたダーレン・アロノフスキー監督のデビュー作。

「すべての事象は数値化でき、すべての物事には法則がある」と考える天才数学者マックス。自作のスーパーコンピューターに向かい
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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

3.6

例えば誰か一人の命と引き換えに家族を救えるとして…。

脈打つ心臓のファーストカットで、この作品を鑑賞するには覚悟が必要だなと思った。髭モジャのコリン・ファレルが心臓外科医の主役を演じているが、独特な
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ゲット・アウト(2017年製作の映画)

3.9

白人の彼女の実家に招かれた黒人青年が体験する恐怖を描いたホラー・サスペンス。

人気コメディアン、ジョーダン・ピールの監督デビュー作という本作は、マイノリティに眼差しを向けながら、心の奥深くにある差別
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メッセージ(2016年製作の映画)

3.9

異星人との意思疎通を試みる女性言語学者の運命を描いたSFドラマ。

突如飛来した謎の飛行物体に序盤から引き込まれた。友好的なサインも攻撃的なアクションもなく、世界の12ヵ所にのっぺりとした造形のそれが
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バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生(2016年製作の映画)

3.1

タイトル通り、世紀の対決が見所であるが、サブタイトルでも楽しめる作品だった。

冒頭、ブルース・ウェインの目線で前作の戦いが描かれる。ヒーローの戦いも一般市民の目線では恐怖で、戦いの余波による街の被害
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ダークナイト ライジング(2012年製作の映画)

3.7

前作から8年後のゴッサム・シティを舞台に、最後の戦いに挑むバットマンを描いたシリーズ最終章。

助走が長い程より遠くへ飛べるが、今作は長過ぎる助走に心がバテてしまった。アクションもクライムサスペンスも
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ダークナイト(2008年製作の映画)

4.7

脚本、テーマ、人物描写が素晴らしく、先の読めないストーリー展開が心を掴んで話さなかった。

仲間を裏切って殺し合う強盗や、街を支配する犯罪組織の目的は金だ。そんな人間の欲望に躊躇いもなく火を点けるジョ
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バットマン ビギンズ(2005年製作の映画)

3.9

クリストファー・ノーランが新生バットマンを描いた「ダークナイト・トリロジー」の第1作目。

前半でバットマンの誕生秘話をたっぷりと描き、後半でダークヒーローの活躍を描く。正義とは何かを問いかけながら成
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地獄の英雄(1951年製作の映画)

4.0

大手新聞社を追われ、田舎に流れ着いた記者が、落磐事故で生き埋めになった男の救出劇で再起を図る姿をシニカルに描く。

映画を撮る前は新聞記者だったというビリー・ワイルダーは、「サンセット大通り」の翌年に
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熱砂の秘密(1943年製作の映画)

3.8

北アフリカ戦線の英軍敗残兵が、辿り着いたホテルで身分を隠しながら敵国の機密情報を入手するサスペンスドラマ。

戦車が砂漠を走るのはオープニングだけで、主役のブランブル伍長がホテルに着いてからは閉鎖され
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ミッション:インポッシブル/フォールアウト(2018年製作の映画)

3.9

前作から続投となったクリストファー・マッカリー監督によるM:Iシリーズ第6弾。

盗まれたプルトニウムの奪還と同時核爆発の阻止に奔走する今作は、「ローグ・ネイション」の続編となるストーリーで、前作で敵
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ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション(2015年製作の映画)

3.8

「アウトロー」でトム・クルーズとタッグを組んだクリストファー・マッカリーによるM:Iシリーズ第5弾。

前作では世界一高いビルをよじ登り、今作では更に高い空へ向かうイーサン。小型ジェットの機体にしがみ
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ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル(2011年製作の映画)

4.0

長編アニメーションを手がけてきたブラッド・バード監督によるM:Iシリーズ第4弾。

刑務所の脱獄で始まり、点火した導火線の火を追いかけるオープニング映像に興奮。これはカッコイイね。

今回は核の脅威か
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ミッション:インポッシブル3(2006年製作の映画)

4.1

J・J・エイブラムスの映画初監督作品となるM:Iシリーズ第3弾。

イーサン・ハントの窮地で幕開けとなり、絶体絶命の10カウントで一気にその世界に引きずり込まれた。続きはお預けという事で時が戻される。
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