ひでやんさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

ひでやん

ひでやん

映画(1071)
ドラマ(1)
アニメ(0)

T2 トレインスポッティング(2017年製作の映画)

3.9

20年の時を経て帰ってきた愛しきクズ共。

あまり期待していなかった続編だが、オープニングを観るとやはり心が躍った。前作と同じ主要人物が実際に年をとり、それぞれの老いを役柄に反映させているので違和感が
>>続きを読む

トレインスポッティング(1996年製作の映画)

4.0

スコットランドを舞台に、ヘロイン中毒の若者たちの日常を描いた青春映画。

薬物、暴力、犯罪という重いテーマをスタイリッシュに描いたオシャレ映画。ドラッグの刹那的な快楽や青春の速度を表しているようなテン
>>続きを読む

3-4x10月(1990年製作の映画)

3.9

省略+反復×暴力。

ガソリンスタンドで働く男がヤクザとトラブルになり、周囲を巻き込んだ騒動にケリをつけるため沖縄へ銃を仕入れに行く話だが、久しぶりに観るとやってる事は無茶苦茶だった笑。

BGMは入
>>続きを読む

シークレット・スーパースター(2017年製作の映画)

4.8

心を揺さぶる絶望と希望の波状攻撃。

厳格な父親から歌うことを禁じられた少女が、動画サイトで顔を隠して自分の歌を披露したところ、その歌声が世界中に広がっていく物語。トントン拍子に夢への階段を駆け上がる
>>続きを読む

カンダハール(2001年製作の映画)

3.4

ブルカ越しに見た母国の悲惨な現状。

アフガニスタンからカナダに亡命した女性ジャーナリストが、母国にいる妹から自殺を仄めかす手紙を受け取り、妹を助けるためカンダハールへ向う。

9.11テロ事件は、旅
>>続きを読む

何がジェーンに起ったか?(1962年製作の映画)

4.3

サイレント時代から活躍する銀幕スターで、不仲でも知られたベティ・デイヴィスとジョーン・クロフォードの2大女優が激突した戦慄のサイコ・サスペンス。

舞台で人気子役のジェーンと彼女を羨む姉のブランチ。大
>>続きを読む

ロブスター(2015年製作の映画)

3.7

突きつけられた不条理の中に漂う奇妙な滑稽味。

ぐっと冷え込む季節になった12月、帰宅するとコタツの中で丸くなっている猫を見て「猫っていいな」なんて思う今日この頃。ギリシャの奇才ヨルゴス・ランティモス
>>続きを読む

カメラを止めるな!スピンオフ「ハリウッド大作戦!」(2019年製作の映画)

2.9

このレビューはネタバレを含みます

二煎目で薄くなったスピンオフ。

前作の悪夢から半年後、ショックで声が出せなくなった千夏は髪を金髪に染め「ホリー」と名乗り、ハリウッドでウェイトレスをしていた。その店に突如として現れるものは何か?
>>続きを読む

カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

低予算で無名俳優でもアイデア次第で面白くなる事を証明した作品。やったもん勝ちですね。

冒頭、安っぽい演技と不自然な間延び、さほど強くないゾンビと強すぎる護身術おばちゃんを見せられ、なぜこの映画がヒッ
>>続きを読む

A.I.(2001年製作の映画)

3.8

ロボットの異常な愛情─または私は如何に人間になる事を望んで母を愛するようになったか─

…て、勝手にキューブリック作品をもじるな!はい、すんません。最初に思いついた「時計仕掛けの未知との遭遇」は、なん
>>続きを読む

アイズ ワイド シャット(1999年製作の映画)

4.3

倦怠期の夫婦が飲む冷たいホットコーヒー。

「フルメタル・ジャケット」以来11年ぶりとなる作品で、キューブリックの遺作となった今作はタイトルからして厄介。「大きく閉じろ」は「クールに温めろ」くらい意味
>>続きを読む

レイジング・ブル(1980年製作の映画)

4.2

沈まない闘争心と捨て切れない猜疑心。

なんて美しいオープニングなんだろう。シャドーで揺らす身体は闘牛のようであり、精神を研ぎ澄ました男の孤独が胸を鷲掴み。この映像は痺れる。

不可解な判定に怒りを露
>>続きを読む

タクシードライバー(1976年製作の映画)

3.1

社会から孤立した男の哀愁と狂気。

タクシーの車内は、腐りきった世界と断絶した殻の中に見えた。その孤独な世界から飛び出せずにいるが、入ってきた客は誰であれ受け入れる。そうやって社会との繋がりを見せるが
>>続きを読む

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)

4.6

仕掛けのない腐ったミカンか、時計じかけの新鮮なオレンジか。

「コロヴァ・ミルク・バー」を映し出すオープニングから強烈だった。独創的で斬新な衣装や美術が次々と脳内を刺激したが、その近未来のビジュアルは
>>続きを読む

フルメタル・ジャケット(1987年製作の映画)

4.5

殺人兵器と化した若者たちに垣間見る人間性と幼児性。

おしゃれ心という草原を容赦なく走り続けるバリカン。流れる曲は「ハロー、ベトナム」と歌うが、床に落ちゆく髪は「グッバイ青春」と歌っているようだった。
>>続きを読む

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)

3.6

内戦後もゲリラ戦が続くスペインを舞台に、現実と空想の狭間で過酷な試練に挑む少女を描いたダークファンタジー。

オフェリアが三つの試練を受ける動機付けが弱く感じちゃって、序盤からあれこれと考えてしまった
>>続きを読む

静かなる叫び(2009年製作の映画)

3.7

ありふれた日常を突き破ったありえない銃弾。

実際に起こった銃乱射事件をモチーフにした作品だが、犯人の生い立ちは一切描かず、手紙で動機、目で心情が描かれる。色彩は奪われ、台詞や音楽は抑制されるため、与
>>続きを読む

タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)

4.8

多民族、多宗教国家マレーシアで描く青春群像劇。

なんとも言えない優しさに包まれて、涙腺が弛んだ。観賞後にこんなに余韻に浸ったのは久しぶり…名作です。

高校の音楽コンクールに臨む高校生たちの物語だが
>>続きを読む

少女は自転車にのって(2012年製作の映画)

4.1

少女の目を通して語られるサウジアラビアという国の実態。

自転車を欲しがる10歳の少女が、優勝賞金が出るコーランの暗唱大会に参加するというシンプルなストーリーだが、そこにある日常描写は見る機会が殆ど無
>>続きを読む

パターソン(2016年製作の映画)

4.3

7日間の日常を、優しくユーモアな語り口で描いたジム・ジャームッシュの到達点。

「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ」という名言をチャップリンは遺したが、本作を観て思っ
>>続きを読む

オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ(2013年製作の映画)

3.5

人間たちの愚行を憂いながらも、人間なしでは生きていけないヴァンパイアたちの倦怠の日々。

俯瞰の部屋と回るレコードのシンクロが洒落たオープニングだった。デトロイトとタンジールの街灯や、室内の照明などの
>>続きを読む

バリー・リンドン(1975年製作の映画)

4.1

完璧主義のキューブリックが、18世紀のヨーロッパを鮮やかに再現して描く、一人の男の半生。

アイルランドの農家に生まれ、英国貴族に成り上がっていく男レドモンド・バリー。その栄達を第1部で描き、第2部で
>>続きを読む

スパルタカス(1960年製作の映画)

3.5

共和政ローマ時代の第三次奴隷戦争を描いたスペクタクル巨編。

当時赤狩りで迫害を受け、偽名を使った脚本執筆を余儀なくされたダルトン・トランボに脚本を依頼し、キューブリックを監督に起用したカーク・ダグラ
>>続きを読む

突撃(1957年製作の映画)

4.0

若きキューブリックが、第一次世界大戦の独仏戦を軸に映し出す戦争の矛盾と不条理。

塹壕戦が膠着状態にある中、ドイツ軍の堅個な陣地を占拠せよという命令が、大将から将軍、将軍から大佐、そして部下へと下され
>>続きを読む

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)

3.7

攻撃の針と救済の糸で縫う女神の愛。

完璧主義の仕立て屋と、若きウエイトレスが辿る愛憎劇で、鮮やかな色彩の中に息苦しいほどの圧迫感があった。初老の男が若い娘に恋をして、破滅へ向かう物語かと思いきや、心
>>続きを読む

レディ・バード(2017年製作の映画)

3.8

温かくも窮屈な巣の中で、悩む心の揺らめきと、未知なる空への羽ばたき。

女優として活躍するグレタ・ガーウィグが、自身の出身地を舞台に自伝的要素を取り入れながら描いた青春映画で、単独監督デビュー作。
>>続きを読む

ゴースト・ドッグ(1999年製作の映画)

3.9

日本の武士道に心酔する殺し屋の物語。

鑑賞者の予想をさりげなく裏切り、静寂の中で刻み続けるズレたテンポがこそばゆかった。心の奥をコチョコチョされながら、ジャームッシュによる緊張と緩和のオリジナルブレ
>>続きを読む

デッドマン(1995年製作の映画)

3.7

西部劇の娯楽性を捨てて描く死への旅。

会計士の青年が職を求めて西部の町へ向かう汽車の中。窓に流れる景色と、それを眺めるジョニー・デップの2カットだけでもOKと思う冒頭だが、暗転で時間の経過を表しなが
>>続きを読む

あゝ、荒野 後篇(2017年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

闘うすべての者たちへ。

宿敵である裕二との対戦がついに決まり、物語はクライマックスに突入すると思われたが、すぐ近くにいた男が因縁の相手となる展開が切なかった。

前篇は「生きる」がテーマに感じたが、
>>続きを読む

あゝ、荒野 前篇(2017年製作の映画)

3.9

東京の都会で死にゆく者と、東京の荒野で生き抜く者。

少年院上がりで金も家もない男と、吃音症に悩む男がプロのボクサーを目指して突き進む。憎しみを原動力にする新次と、内気な自分を変えようとする健二、対照
>>続きを読む

ノア 約束の舟(2014年製作の映画)

3.7

汚れを一掃した新世界の地に満ちるものは善か悪か。

創世記を語るオープニングで気分が高まり、期待に胸が膨らんだ。旧約聖書から着想を得たダーレンの過去作を振り返ると、大胆な脚色は伸るか反るかの大博打って
>>続きを読む

レスラー(2008年製作の映画)

4.1

体に刻む栄光の傷と心に刻む喪失の傷。

レスラーの全盛期を走馬灯のようにオープニング・クレジットで長し、20年後というテロップで哀愁漂う幕開けとなる。そのレスラーはファンの歓声がある限りリングへ向かい
>>続きを読む

ファウンテン 永遠につづく愛(2006年製作の映画)

3.0

色んな要素を詰め込み過ぎて、とっちらかってしまったファンタジー。

アダムとイブが食べた禁断の果実で知られる「知恵の樹」ではなく、もう1本の「生命の樹」を題材にしたのは良かったが、中世スペイン、マヤ文
>>続きを読む

レクイエム・フォー・ドリーム(2000年製作の映画)

4.4

鑑賞者の心を蝕むサイケデリックな映像遊戯。

ダイエットに励む母と、ドラッグを売りさばく息子の物語が並行し、そこに友人と恋人の視点が加わり破滅へと向かう。孤独な未亡人にはテレビに出演するという夢があり
>>続きを読む

三度目の殺人(2017年製作の映画)

3.5

司法制度にメスを入れ、伏線を張り巡らせて、そして逃げる是枝監督。

殺人事件の真相に迫る刑事の視点ではなく、依頼人である殺人犯を弁護する立場に観客は置かれ、弁護士の重盛を通して二転三転する男の供述に翻
>>続きを読む

幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)

4.0

パッチワークのような家族を不器用に繋ぎ合わせる大人たちの苦悩と葛藤。

浅野忠信扮する中年サラリーマンを通して、はけ口のない感情とストレスが心に溜まった。バツイチ同士で再婚した男が、妻の連れ子とうまく
>>続きを読む