都部さんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

雨を告げる漂流団地(2022年製作の映画)

3.7

団地と六人の少年少女が海原に漂流するというファンタジー要素を噛ませた長編ジュブナイル。全体的に音響と映像に拘りが見られる作りで、等身大の少年少女達が擦れ違いながら環境に対する出会いと別れと向き合う一作>>続きを読む

マスク(1994年製作の映画)

4.1

名喜劇俳優:ジム・キャリーの魅力がたっぷり詰まった傑作コメディ。マスクによる痛快無比な大暴れの数々は痛快無比の一言。矢継ぎ早に飛び込んでくるコミカルシーンも見所だが、挿入されるダンスシーンのクオリティ>>続きを読む

グリーンマイル(1999年製作の映画)

4.3

いざ見たら、本当に不朽の傑作でびっくりした。神の遣いとも言える癒しの力を帯びた心優しき死刑囚と執行官の語り部による物語。隅から隅までヒューマニズムに溢れた脚本は美しいの一言で、三時間の長尺を苦としない>>続きを読む

ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)

3.7

面白い!京都のとある喫茶店にて、2分後の未来が見えるテレビを巡るSF騒動。
低予算ながら厳密に二分と決められた行動の中でのスマートフォンによるワンカット撮影というのはアイデアの勝利であるし、不満点もあ
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僕が大人になる前に/ビッグな僕の青春(2019年製作の映画)

3.1

姉のチョイ悪な元彼を兄のように慕う思春期の青年の成長の一幕。特別面白い映画ではないが、身の丈に合わない背伸びを望んで落伍を繰り返すモーと大人に成り切れないコンプを酒と薬で紛らわすジークのコンビ感がそこ>>続きを読む

バスターのバラード(2018年製作の映画)

2.0

コーエン兄弟の開拓時代を舞台とした御伽噺アンソロジーという装いで、期待感は大きかったが肩透かし揃いのエピソード群だった。
不条理、死、ナンセンスによって束ねられた6つのエピソードの大半は炭酸の抜けたサ
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エンド・オブ・ロード(2022年製作の映画)

1.3

面白くない。単純な舞台設定に単純なプロットに単純なツイストと、全てが予定調和で構成される月並みな物語ほど落胆させられるものはない。あと要所要所の照明のセンスが悪いのも気になった。話が薄く、分かりやすい>>続きを読む

ナイル殺人事件(2022年製作の映画)

3.6

オリエント殺人事件に次ぐ、クリスティの古典的名作『ナイルに死す』の実写作品。原作を遵守した点が目立つが、大テーマである愛の狂気を際立たせる為に程々の改変点もあり、前作よりも映画としての体裁は整然として>>続きを読む

チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ(2022年製作の映画)

3.3

現代版ロジャーラビットと呼ぶべき実写と3DCGの融合による世界観で巻き起こる拾い切れないオマージュ&パロディネタの嵐。
リブート作品に対する斬れ味の良いアイロニーを交えながら、チップとデールが事件に挑
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スニーカーシンデレラ(2022年製作の映画)

3.5

古典的な御伽噺であるシンデレラを現代版としてアップデートした本作。
NYクイーンズに住まう黒人靴師を語り部とした本作は、ブラックカルチャーの一端であるHIPHOPをミュージカルとして絡めながらの逆シン
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インクレディブル・バルク(2012年製作の映画)

1.1

2012年制作の映画とは思えない低品質のCGと共に、語られたり語られなかったりする哀しきダークヒーロー:バルクの死闘。
映画本編の酷さに関しては想定内で助かったが、物語の体裁を投げ捨てたラスト15分は
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テリー・ギリアムのドン・キホーテ(2018年製作の映画)

3.3

自分をドン・キホーテだと信じた爺と過去にそう信じさせてしまったCM監督の珍道中という筋書きは痛快極まる物だが、原作ドン・キホーテを踏襲しながら現実と空想の境を渡り歩く生き方しか出来なくなってしまった一>>続きを読む

ピノキオ(2022年製作の映画)

3.1

往年の名作である『ピノキオ』を改めて実写化した本作は、悪くはないが別に良くもないという月並みな味わいとなっている。
粗筋を精々摘む程度に転々とする本編は駆け足気味で、ドラマ的感動に至るには不足の数々を
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アンチャーテッド(2022年製作の映画)

3.0

『動かせる映画』と称されるゲームシリーズ:アンチャーテッドの実写化。主演にトム・ホランド監督にフライシャーを据えた本作は、サプライズめいた展開は欠片もないものの王道のトレジャーハント映画として、あくま>>続きを読む

タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら(2010年製作の映画)

4.0

殺人鬼に勘違いされた二人の優しき大男と勝手に死んでいく大学生達を巡る名作スプラッターコメディ。その多彩でユニークな死に方も見所だが、『人を外見で判断しない』という教訓的なテーマを上手く絡めながら90分>>続きを読む

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

4.1

運の悪い運び屋であるレッドバグは、血を血で洗う殺し屋達の因縁渦巻く弾丸列車に乗り合わせてしまう──似非日本、濃い殺し屋、常識外れのボタンの掛け違い、そして華麗なる布石の回収劇と好きな物が詰まったポップ>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

5.0

鑑賞後の多幸感がとにかく素晴らしい今年公開映画ベスト候補。見る前の前情報はないほど良し。田舎に現れた正体不明の飛行物体の撮影に挑む黒人兄妹と愉快な仲間、複合ジャンル映画として上質な仕上がりで、こういう>>続きを読む

ドラゴンボール超 スーパーヒーロー(2022年製作の映画)

3.6

中々面白かった。前作のブロリーが自分はてんで駄目だったので、性質上一辺倒の展開には転じないピッコロを語り部とした戦闘と暗躍のパート緩急が程よく確保された本作は、ガンマ達の魅力も込みで劇場映画として綺麗>>続きを読む

ヒミズ(2011年製作の映画)

4.6

親は夜逃げ、手元には6000万円の借金、普通の人生を送りたいと願う住田の人生は、変わり者の自分を愛するという芥沢少女との出会いを契機に自棄めいた堕落の一途を辿っていく。
息苦しさや痛々しさに満ちた本作
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ニセコイ(2018年製作の映画)

1.5

あの時代を席巻した名作ラブコメディ:ニセコイの実写映画で、情緒的と感じるような作劇は皆無ですがニセコイのコメディ部分に描写の焦点を当てているためか、続々と挿入されるコメディで場を持たせながらよくあるラ>>続きを読む

ザ・スイッチ(2020年製作の映画)

3.4

呪いの短剣により連続殺人鬼と気弱な女子高生の魂が交換(スイッチ)するスリラー映画。前作前々作程の切れ味はないが、シチュエーションホラーとしては終始飽きない緩急を維持しており、設定頼りなのはどうしても否>>続きを読む

ゆるキャン△(2022年製作の映画)

3.6

原作の約十年後を舞台に、成人した野クルの姿を描きながら大人に成ったからこそ得られる尊い葛藤や感動を取り零さず二時間の映画の中に閉じ込めていて、アニメ版と地続きの劇場作品としてはそれなりの出来。あと、犬>>続きを読む

バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー(2021年製作の映画)

3.6

実写版シティハンターの制作陣によるヒーローパロコメディで、矢継ぎ早に挿入されるパロネタと人畜有害で好き放題なコメディ描写が楽しく、短小用コンドームのCM俳優がB級ヒーロー映画の起用を経て自分の立ち位置>>続きを読む

ムーンライト(2016年製作の映画)

3.3

LGBTQ.薬物問題による負の連鎖.貧困階級と人生と密接に絡み合う重みのある問題を絡めながら、一人の少年が壮年に至るまでを三幕構成で描く繊細な仄暗さを帯びた映画。淡々とした語り口だからこそ感情の導線が>>続きを読む

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.6

一大エンターテインメントである映画が齎す感動的な体験の価値を真摯に信じるからこそ描けるような、映画本来の興奮と面白味が満ち満ちと詰まった作品で、俳優:トム・クルーズ当人の映画観を体現する記念碑的な作品>>続きを読む

ONE PIECE FILM RED(2022年製作の映画)

3.9

異色作にして劇場版ワンピース最高傑作である本作は、ポリティカルSFホラーじみた側面を前面に出しながらも、幼馴染との関係と彼女の願いをそれを演出する音楽と共に十全に描き、原作に厚みを持たせる物語として優>>続きを読む

ゴーストバスターズ/アフターライフ(2021年製作の映画)

2.7

歴史の闇に葬られた2016年版ゴーストバスターズとは異なる、オリジナル1.2の正当続編である本作はオリジナルに対する多大なリスペクトとオマージュを投じながらも終盤以外はエンタメとしてパッとせず、次世代>>続きを読む

グレイマン(2022年製作の映画)

3.7

ルッソ兄弟式コマンドーという趣で、シナリオは単調だが景気の良いアクションが飛び交うエンタメ映画として中々の出来だった。情緒ある街並みや建造物が戦闘の余波でぶち壊されて、挙句人が大勢死んでいく虚構物なら>>続きを読む

キングダム(2019年製作の映画)

3.3

邦画の実写映画としては映像のレベルは最初から最後まで高水準だが、単純化が著しいプロットや前半の編集など気になる所もアリと要所要所に惜しいと感じる点があるのもまた事実だ。とはいえ、二時間の映画の中で漫画>>続きを読む

ONE PIECE ワンピース 珍獣島のチョッパー王国(2002年製作の映画)

2.1

アニメ版チョッパー加入に併せた劇場版として位置付けられたエピソード、60分程度の映画だが長く感じるし面白くはない。ワンピースの悪しきパブリックイメージの集合体とも言える内容で、無駄に高いテンションに雑>>続きを読む

ONE PIECE ワンピース THE MOVIE デッドエンドの冒険(2003年製作の映画)

3.8

原作者非監修及びそれを含めた作品の中でもワンピース映画としてはベスト3に入る出来。
個人的にアラバスタ編までのワンピースの面白いと感じる部分と映画オリジナル要素の噛み合わせが滑らかで、オリジナルキャラ
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バズ・ライトイヤー(2022年製作の映画)

3.4

トイ・ストーリーとは別軸の玩具のモデルとなったバズという一人の人間の物語で、子供向けの宇宙冒険活劇物としてなかなか面白かった。
ピクサー作品としては並の脚本だが、劇場で広告を幾度も目にしていただけに本
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女神の継承(2021年製作の映画)

3.4

タイ東南部の信仰の依代となる巫女の世代継承を追ったPOVホラーで、R指定ということもあり酷薄な描写に余念がなくて楽しかった。後半のVS悪霊の為に集まった仏師達の死屍累々模様のフラストレーションの振り切>>続きを読む

呪詛(2022年製作の映画)

3.7

『今年最も怖い』と称される台湾産ホラー映画が昨日よりNetflixにて配信、新興宗教の奇怪な儀式で人生の歯車を狂わせた女性は娘を救うべく奔走する──モキュメンタリーホラーとしてなかなか優れた出来の本作>>続きを読む

ソー:ラブ&サンダー(2022年製作の映画)

3.6

前作を傑作たらしめたソーのキャラクター性に沿ったコメディとシリアスの絶妙な融合という点で言えば劣る四作目だが、及第点を満たした面白さは担保されている為に愉快痛快と楽しめる本作。

監督.脚本共にタイカ
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X エックス(2022年製作の映画)

3.6

今回 試写会に御招待して頂いたのは独自的な作家性を主とした作品を制作する映画会社A24の🇯🇵では7月8日から公開されるホラー映画。

往年の70sホラー映画の作風を踏襲しながらも、『若さ』と『老い』を
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