都部さんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

リング(1998年製作の映画)

3.6

今もなお消費され続ける『貞子』というホラーアイコンを打ち立て、同時にJホラーブームの火付け役ともなった和製ホラー映画の金字塔的作品。

冒頭からクラシカルな雰囲気で進行する作品全体の雰囲気は陰鬱に良好
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ムービー43(2013年製作の映画)

1.3

下品で下劣で下衆な14篇の短編を豪華俳優陣でお届けする最低極まるオムニバスムービーで、2013年時のゴールデンラズベリー賞において最低作品賞/最低監督賞/最低脚本賞を賜るクソのサラブレッド。

最低な
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バニラ・スカイ(2001年製作の映画)

3.5

リメイク元である『オープン・ユア・アイズ』と比較すると作品としてのソリッドな魅力はやや落ちてしまった点は否めませんが、トム・クルーズ演じる語り部とペネロペ・クルス演じるソフィアの掛け合いは愛おしく、そ>>続きを読む

アンカット・ダイヤモンド(2019年製作の映画)

3.2

序盤から終盤までとにかく物語としての転調を繰り返し続ける筋書きは大変に忙しなく、また登場人物達のスラング混じりの捲し立てるような口汚い激昂の応酬はフラストレーションを大きく積み重ねる一方で、それこそが>>続きを読む

ジュニア(1994年製作の映画)

3.1

アーノルド・シュワルツェネッガー演じる婦人科医学のアレックス博士が新薬により男の身でありながら妊娠するという、80年代から90年代に掛けて本格的に国際スターの一人と化したシュワちゃんによる俳優先行型映>>続きを読む

RRR(2022年製作の映画)

4.3

数奇なる運命が交差する山火事と洪水の友情を描く英雄譚。映画ならではの力強いショットの数々と単純明快ながら表現方法が凝らされ胸踊る物語、この高潔なる魂の脈動をとくと見よ。3時間という長尺を濃厚に使い尽く>>続きを読む

タグ(2018年製作の映画)

3.4

30年間鬼ごっこを続ける大人達──精神的成長/社会的意義とかはまるでなく、子供時代に始めた鬼ごっこを大人になっても続ける男達の本気の遊びを描く一作で、この割り切った作りが風通し良すぎて最高。挿入される>>続きを読む

エノーラ・ホームズの事件簿2(2022年製作の映画)

3.6

当時の倫敦で起きた女性運動を主題として世界観に巧みに絡めながら、軽妙な速度で推進する謎解きと会話劇でミステリ的な面白味を続々と演出していく映画としての熟れはおおよそ前作以上の仕上がりか。19世紀末を舞>>続きを読む

BAD CGI SHARKS 電脳鮫(2019年製作の映画)

1.0

低予算サメ映画の御約束をメタネタとして扱う変化球気味のサメ映画だが、自覚的なクソ映画としての仕草が非常に鼻に付いて気持ち良く笑えないのが致命的過ぎる一作。『不出来なCGのサメが現実世界に侵食する』とい>>続きを読む

テルマ(2017年製作の映画)

2.0

虚しく傲慢な自己実現。
抑圧からの解放という題目はひどく普遍的であるものの、普遍的の域を越えた『力』を持つ語り部のそれらしい被害者面を正当化する為の人物設定の数々に恣意的な物を感じて、個人的には作品と
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マスカレード・ナイト(2021年製作の映画)

1.7

面白くない。前作の反省を踏まえたのかキャストの数を絞ったにも関わらず、脚本の贅肉と言える本筋の無駄な複雑化は改善されていなくて、その上 前作と大して変わらない形式的な進行は興を大きく削ぐ。俳優達による>>続きを読む

グッド・ナース(2022年製作の映画)

3.1

実話を基にした病院の連続不審死事件とその犯人の真相。静謐さを維持したサスペンスフルな作風は実録映画の趣きとして正解だが、作品としては主演を務めるアカデミー賞俳優二名の演技のアンサブルを楽しむのが主とな>>続きを読む

シン・ジョーズ(2016年製作の映画)

2.3

頓珍漢な表題に対して堅実な作り。
低予算サメ映画が陥りがちな、一本調子な撮影部分を大趣向を凝らすことで回避しており、小粋な冗句と度々の襲撃を挟むことで緩慢な流れを作らない努力が見られるのは良し。パリッ
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ワイルド・スピード MAX(2009年製作の映画)

3.6

ドムとブライアンの因縁の決着を描く第4作。
本作を契機に映像はより上質となり、痛快カーアクション要素を盛り込みながらも過去作の要素を丹寧に引き継ぎ、キャストも揃い踏みと見事に全部乗せの一作。ベストシー
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ハロウィンの呪文 ブリッジホローは大騒ぎ!?(2022年製作の映画)

2.8

Netflix産ハロウィンムービーという趣でファミリー/子供向けではあるものの、VFXや演出には抜かりなく平均的な作品の域には達しているか。ハロウィンを熱愛している農村という設定は面白いが、既存の季節>>続きを読む

エッシャー通りの赤いポスト(2020年製作の映画)

3.5

『人生のエキストラでええんか!?』と問い掛け、時に当たり散らし、そして叫び走り去っていく園子温の原点回帰作。
ワークショップで集結した新人俳優達をかような形で纏めあげ、全員に印象的な個性を持たせるのは
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母なる証明(2009年製作の映画)

4.3

名匠:ポン・ジュノ監督による知的障がいの息子の冤罪を暴く為に奔走する母を追うサスペンス劇。物語における華麗なツイストで物語を大きく推進させながら、母性という無償の愛から来る狂気を描く作品としての完成度>>続きを読む

ガンパウダー・ミルクシェイク(2021年製作の映画)

3.5

ウーマンパワーを主体としたバイオレンスガンアクションという趣で、三国共同作品として小粋な言い回しと演出に色彩豊かな構図と風通しが良い一作。タランティーノを初めとするパルプフィクション風ギャングスタの味>>続きを読む

オカルトの森へようこそ THE MOVIE(2022年製作の映画)

3.0

過去作であるカルトやオカルトの要素を継承し、その他白石監督過去作品のオマージュも随所に挿入される123分。

確かに白石作品の集大成と呼んで相違ないが、過去作の印象的な要素を繋ぎ合わせたパッチワーク的
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告白(2010年製作の映画)

3.9

鬼才:中島哲也監督による湊かなえの名作の実写化。語り口の妙は原作に劣るものの、執拗で陰湿極まる演出の引き出しの多さとCMディレクター時代の経験により洗練された世界を美しく切り取った構図のマリアージュは>>続きを読む

お嬢さん(2016年製作の映画)

3.7

耽美なエロスで脚色された重厚なサスペンスフルは何度観ても良い。見目麗しい美術や構図もさることながら、二転三転する展開の妙が繊細な感情の導線を余さず拾っており、紳士達の変態的な仕草が丁度良いスパイスにな>>続きを読む

デビルシャーク/エクソシスト・シャーク(2015年製作の映画)

1.0

本作を正確に形容する言葉がまだ生まれていないので、暫定的に映画と呼ばれているZ級の最底辺に位置する一作。複雑怪奇な縦軸の乱立と棄却に、不可解なカメラワークとキャラの言動、Z級サメ映画の定石すら通じない>>続きを読む

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)

4.2

ポツダム宣言を巡る日本軍の動乱を描く傑作。
戦争の時代を知る名優達による並々ならぬ熱度を放つ怪演もさることながら、岡本監督による脈々と葛藤が重なるドラマの卓越した舵の取り方は惚れ惚れとする。軍国主義の
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燃えよ剣(2021年製作の映画)

3.6

司馬遼太郎原作新撰組の逸話を巡る一篇。単行本二冊分を150分尺でということもあり足早な構成なのは否めないが、洗練された撮影と美術は邦画では近年トップクラスの出来。素晴らしい。キレのある殺陣と情報密度の>>続きを読む

ドレミファ娘の血は騒ぐ(1985年製作の映画)

1.7

和製ゴダールと呼ぶにはあまりにも実験的過ぎる。監督:黒沢清による断続的な演出は面白いよりも執拗いが先に来る疎らさを感じる見せ方で、ロマンポルノという題材との噛み合せも悪く、女性の乳房と性行為の添え物と>>続きを読む

リアル鬼ごっこ(2015年製作の映画)

1.0

歴史的な愚作。
安物臭く露悪的なエログロ描写を交えながら唱えられるJK論は空回りする一方で、表面的には女子高生像を消費する文化への解放を謳うも、問題提起に対する粗雑さや意識の低さから本作こそが何より女
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テリファー(2016年製作の映画)

3.1

『ストーリーなんか要らない!俺のスプラッターを見ろ!』と言わんばかりの一点特化型映画。
嫌いじゃないよ。
しかし🤡の殺人鬼ことアートザクラウンの身振り手振りのみで演出される底知れないキャラクター性は魅
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ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT(2006年製作の映画)

3.2

渋 谷 追 放 。渋谷を舞台とした走行活劇は前作前々作からの面白味の拡張として愉快で、似非日本観を噛み締めながら繰り広げられる空間が限られた日本ならではのレースの見せ方に胸躍る。撮影の構図や展開の配分>>続きを読む

モンスターハンター(2019年製作の映画)

3.0

真面目か!現代米軍×モンハンハンターの共同戦線を描く一作で、ミラ・ジョヴォヴィッチ演じる主人公による丹寧な世界観描写はあるものの冗長と面白が同居したシーンに尺を取りすぎ。その癖アクションの撮影はベテラ>>続きを読む

映画 えんとつ町のプペル(2020年製作の映画)

2.8

悪くない。寓話として夢物語を正面からやろうという気概は感じられるし、アニメ映画として見映えする画作りのセンスもある。とはいえ脚本や構成や演出面での至らなさはやはり見え隠れするので、プペルに拘らずにより>>続きを読む

エイリアンVSジョーズ(2020年製作の映画)

1.0

ボロニア監督がまたやった!
歴代最低作に位置する本作は複雑怪奇な割に安物の避妊具の如き薄っぺらな筋書きが三本の軸として存在しているものの、そのどれもが致命的に面白味に欠ける。Z級映画ならではの突き抜け
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祈りの幕が下りる時(2017年製作の映画)

3.6

加賀恭一郎シリーズ完結作。序盤は『このテレビ屋がよ〜』という洒脱さの欠片もない演出と警察側の作品から浮いた演技に舌打ちを零していたが、加賀の過去に繋がる事件のラジカルな事件模様は話として牽引力があり、>>続きを読む

眠りの森~新参者・加賀恭一郎~(2014年製作の映画)

2.9

NYロケを交えた一作だが事件内容の規模感と舞台設定が噛み合っていない印象の方が強く、妙に複雑化したプロットを魅せる演出なども力不足であると感じた。とはいえバレリーナを巡る終盤の展開の構図の非業な美しさ>>続きを読む

麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜(2011年製作の映画)

2.4

新参者・加賀恭一郎シリーズ初の劇場版。ドラマと比較するとよくある月並みな邦画に落ち着いたきらいがあり、噎せ返るような親子の感動劇の為の演技や演出が鼻持ちならないレベルで過剰で厭というのもあり、また映画>>続きを読む

フライトプラン(2005年製作の映画)

2.3

『通るかっ!こんなもんっ!』
となること請け合いのガバガバ脚本と知りながら観たのでそれなりに楽しめたが、飛行機から消失した娘を探す二転三転のサスペンスフルな展開から類型的な地味なアクション映画に推移す
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ウィリーズ・ワンダーランド(2021年製作の映画)

3.9

沈黙の清掃人ニコラス・ケイジが、殺人鬼の魂入りの動物ロボをシバキ倒す映画。馴染みのホラー展開を圧倒的な『暴力』で滅茶苦茶にしていく滑稽さが好みなので個人的に楽しく、近年のニコラス映画では最も楽しい一作>>続きを読む