都部さんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

ワイルド・スピードX2(2003年製作の映画)

3.7

ドミニク不在の続編だが前作から見違えたように面白い一作に。クライムアクション要素を兼ね合わせたレース映画として、見せ場がとにかく盛り沢山でブライアンとローマンのコンビの軽妙な掛け合いと熱狂のドライビン>>続きを読む

ワイルド・スピード(2001年製作の映画)

3.5

ゼロヨンによるロードレースに人生を委ねる男達の友情と葛藤の物語。最新作と比較すればアクションは地味も地味の初作だが、現実に即した緊張感や彼等がゼロヨン以外に何も持たない者ゆえの閉塞感を醸し出しており、>>続きを読む

インスマスを覆う影(1992年製作の映画)

3.9

H.P.ラブクラフト原作小説を日本でドラマ化した本作は挑戦的な作品として中々の出来で、寂れた漁村を舞台に湿り気溢れる薄気味悪さと背徳的なインモラルを内包しながら進展していく様相は雰囲気作りとして極めて>>続きを読む

サマータイムマシン・ブルース(2005年製作の映画)

4.0

ヨーロッパ企画の上田誠脚本による傑作SFコメディ。日本のタイムトラベルを取り巻く物語の手本にしたい程度には収まりはよく、脱力系の態度を取りながらも入り組んだ痛快な構成はよく、2000年代の夏を感じるノ>>続きを読む

四畳半タイムマシンブルース(2022年製作の映画)

3.4

四畳半神話大系の設定でサマータイムマシンブルースを再演するというコンセプトにそこまでの面白味を見い出せなかったが、前者の私による小気味の良い語りが程良い緩慢な雰囲気を形成しており、リモコンによる宇宙消>>続きを読む

AI崩壊(2020年製作の映画)

2.3

『10年前の映画かな?』と勘違いするような素人目にも明確に表層の認識で描かれるAI観に酷く驚かされる一方で、自らが作り上げた高性能社会管理型のAIシステムからほぼほぼ身体能力で逃げ切る大沢たかおの活劇>>続きを読む

ランドシャーク / 丘ジョーズの逆襲(2017年製作の映画)

1.2

陸海喰!
水陸両用生物兵器として進化したサメが人を食い荒らす様を描いたサメ映画で、設定や顛末に比較すると面白味のない捜索パートと鳴り響き続ける不快なアラート音とで気が狂いそうだった。サメ映画酔い。縫い
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容疑者 室井慎次(2005年製作の映画)

2.3

室井慎次を主役としたスピンオフ作品は踊るのコメディ性を徹底的に廃止した一作で、全体的に辛気臭すぎ/間を取りすぎな室井の言動に引っ張られ気味な脚本ではあるが本編外でも信念を突き通そうとする室井個人の過去>>続きを読む

交渉人 真下正義(2005年製作の映画)

2.6

スピンオフでも踊る節が爆発!交渉人という表題ながら交渉人としては要求を通せないままに失敗続きのクライムサスペンスである本作は、劇場版シリーズよりは安牌な出来ながら 作品を支えるある一点の歪さをまるで消>>続きを読む

踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望(2012年製作の映画)

2.2

あばよ湾岸署。シリーズ完結作は警察組織の腐敗の象徴として隠蔽工作と対峙することとなるのだが、当然その過程や結末には賛否ありという次第だが2.3よりは遥かにマシな作品であるかと。ただ踊るらしさといった物>>続きを読む

踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!(2010年製作の映画)

1.5

邦画の悪性腫瘍とも言える記念すべき不出来作。バラエティの延長線じみた程度の低いのギャグの応酬と、エピゴーネン的な作風の底の低さを惜しみなく晒していくそれっぽさひいては映画っぽさの集合体の141分。単純>>続きを読む

踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!(2003年製作の映画)

1.3

邦画の汚点の詰合わせとも言うべき一作。作品全体に蔓延する無神経極まる女性蔑視描写から始まり、辻褄の合わない滑稽な筋書きとただただキャッチーなだけの中身のない台詞の応酬には酷く苛々される。こんなのが実写>>続きを読む

式日-SHIKI-JITSU-(2000年製作の映画)

3.7

他人の内蔵を間近で覗き見るような疲弊感を伴う一作で、美しく理路整然と直線的に整理された色彩や構図の中で、あくまで不文律に現実と虚構の間で地団駄を踏み続ける僕と君の迷走の31日間を収めたは本作は庵野秀明>>続きを読む

劇場版 艦これ(2016年製作の映画)

2.7

来月より放送の『いつかあの海で』の予習として。劇場化によりTVシリーズより著しく向上した海上戦の演出や流血描写などは及第点の仕上がりではあるものの、シリーズとして地続きとは思えない空気感の一変は取って>>続きを読む

ONE PIECE ワンピース ねじまき島の冒険(2001年製作の映画)

2.6

何の脈略もなく本編とは異なる珍妙な格好を身に纏ってる麦わらの一味はなんなんだよという突っ込みはさておき、グランドライン序盤の地に足の着いた戦闘描写と苦戦度合いまたそれによる空気感が楽しめる可もなく不可>>続きを読む

ONE PIECE FILM Z ワンピース フィルム ゼット(2012年製作の映画)

3.0

元海軍大将Zを主役とした劇場版。その実態は新世界を巻き込む乾坤一擲の勝負に出た漢の生き様を描いたあまりに渋い感動を帯びた一作であり、またその反面で一貫性のない酷く曖昧模糊とした『格好良さ』が作品全体に>>続きを読む

CREATOR(2021年製作の映画)

2.6

芝刈り機で足首を削ぎ落とすマンドリルがやってくる──ミニマリズムを趣とした実験映画としては過不足なく、切り取られたプリントならではの独特な味わいのあるアニメーションとしては悪くない。表現に寄り過ぎて物>>続きを読む

アダムス・ファミリー(1991年製作の映画)

3.9

不幸不快不気味を愛するアダムス一家によるダークコメディ。ゴシック調で統一された世界観は美しさすら見い出させる仕上がりで、倫理観や常識を大いに欠いたユーモラスを交えながらも、収まりの良いファミリー映画と>>続きを読む

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)

4.5

何度観ても滅茶苦茶に面白い!
庵野秀明式 虚構VS現実のマッチメイク。ゴジラを国に降り掛かる理不尽の象徴として描き、矢継ぎ早に展開される人類の抵抗の数々を抜群のルックで形取っていく手腕は実に見事。日本
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ベスト・フレンズ・エクソシズム(2022年製作の映画)

2.3

80年代を舞台とした除霊劇だが、コメディと呼ぶには陰湿でホラーと呼ぶには半端な作品という印象。OPの期待感に反して鈍重さを増す一方のホンも気になるが、愛着をまるで持てない登場人物の配置や見せ方も単調と>>続きを読む

オールド(2021年製作の映画)

2.0

シャマラン監督が仕掛ける人体を高速で老化させる砂浜での一幕。出オチのようなこの設定に準じた展開ばかりがただ続くのが非常に残念で、老化のテンポ感と作劇のテンポ感の不一致が物語全体を鈍重化させていた印象。>>続きを読む

機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島(2022年製作の映画)

3.4

ガンダム傑作回ククルス・ドアンを長編映画として澱みなく再構成しており、軒並み高い水準の作画と端麗で迫力ある画の構図が連続するMS戦闘シークエンスが実に楽しい。
掘り下げの不足が否めない部分もあるが、一
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シンドラーのリスト(1993年製作の映画)

3.8

魂を揺らす秀作、600万人に及ぶユダヤ人虐殺の歴史を巡る195分のノンフィクション巨編。あえてモノクロ映像でそのドラマのない淡々とした理不尽を描く手腕に痺れるが、随所に挿入される現実性を帯びたカットの>>続きを読む

グラディエーター(2000年製作の映画)

3.5

リドリー・スコット監督の代表作の一つである剣闘士映画。今見ても色褪せない迫力満点の合戦シークエンスから始まり、美術に拘り抜いたローマでの剣闘による復讐劇は単純明快だが、ウェルメイドな映像の造りが作品全>>続きを読む

冷たい熱帯魚(2010年製作の映画)

4.1

実話を基とした気狂い達の殺戮劇は透明によって成立する。苛烈な筋書きと絵面の連続に脳髄がひたすら揺さぶられる力作で狂気の加速が実に楽しい一作。でんでんの名演もさることながら作品全体の熱量も凄まじい。本作>>続きを読む

アタック・オブ・ザ・キラートマト(1978年製作の映画)

2.0

Z級映画の金字塔。襲い来る🍅を前にした人類の未来はどっちだ……といったパニックムービーを想定していたのだが、蓋を開けてみると🍅の扱いはマクガフィン程度で散文的な小ネタの連続によって構成されたコメディ映>>続きを読む

バトルシップ(2012年製作の映画)

3.7

最低映画賞であるラジー賞を獲得しながらも根強いファンを産んだ快作。
舞台設定などの整合性は早々から投げ捨てて、魅せたい絵面と展開を優先する潔さは実に良し。海上戦は格好いいんだ!馬鹿映画特有の面白のツボ
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グランド・ホテル(1932年製作の映画)

3.5

グランドホテル形式の元祖となる作品で、上流階級御用達のホテルで錯綜する群像劇が展開される。並行して語られる各々の人生の変貌の瞬間はめまぐるしく、退屈こそしないものの話の濃淡は露骨なのでバランスは悪いが>>続きを読む

ONE PIECE ワンピース 3D 麦わらチェイス(2011年製作の映画)

3.1

31分の短編映画だが起承転結がしっかりしているので安定した面白さはあるし、3D前提の画作りが多いからか麦わらの一味の面々の戦闘シーンを映像を立体的に見せる構図がなかなか新鮮で良かった。ナミさんの着てる>>続きを読む

沈黙のパレード(2022年製作の映画)

3.6

ガリレオの帰還を飾る本作は多層的な事件模様と負の連鎖を思わせる人間模様を描く重厚な作品であるものの、映画としての出来は前二作に劣ることはどうしても否定出来ないだろう。そうした重厚な側面を北村一輝に担わ>>続きを読む

夏へのトンネル、さよならの出口(2022年製作の映画)

4.6

真夏の田舎を舞台としたボーイ・ミーツ・ガールとして御約束の最大公約数的な展開の連続が目立つのは否定できないが、傘/携帯/向日葵また四季の移り変わりと作劇上の小道具や舞台設定の使い方がとにかく心地よく、>>続きを読む

デッド寿司(2012年製作の映画)

3.3

井口監督お得意のエログロ×ゾンビ化した人喰い寿司軍団との対決を描くB級映画。生理的嫌悪感を煽る絵面の連続と諧謔味溢れる台詞回しと暴力的な不可思議設定の洪水は混沌しか言いようがない。負けるな松崎しげる!>>続きを読む

劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明(2020年製作の映画)

3.7

魅力的なロマンチスト:新しきボンボルド卿との邂逅を描く劇場版は、一期で提示した作品の魅力の特に優れた点を綺麗に詰め込んだ佳作。
確立された世界観の衣食住を展開に織り込みつつ、最適化された愛のグロテスク
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容疑者Xの献身(2008年製作の映画)

4.1

実写ガリレオシリーズの最高傑作と名高い本作は重厚な人間ドラマ.二転三転する事件模様.巧妙かつ明快なトリックそして献身により迎える非業なる結末と作品としての隙は謎のガウス加速器くらいしかない紛れもない名>>続きを読む

ゾンビランド(2009年製作の映画)

4.6

32のオリジナルルールを駆使してゾンビ世界を生きる青年とその仲間達の珍道中。軽快な語り口と共に描写される対ゾンビの殺戮の数々は小気味よく、コメディセンスが光るカットインの数々と映画としての手際の良さは>>続きを読む

マー ―サイコパスの狂気の地下室―(2019年製作の映画)

2.6

サスペンススリラーとしては前振りの冗長さはどうにも否めないが、高校生を家に呼び付けパーティーを日夜開かせて自分もそこに混じる中年女性の存在の薄気味悪さとその真意から成る人物造形は濃厚で、怖いというより>>続きを読む