tonyさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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恐怖分子(1986年製作の映画)

3.9

エドワードヤンのショットは素朴でものがなしい。自然光による陰影だからキマっていてもいやらしさがない。たぶん台湾の湿度によって映像の尖りが気持ちまろやかになるんだと思う。そして、無意識にこちらに小さな想>>続きを読む

サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

3.7

若い俳優が集まって切磋琢磨、学園祭的に撮った映画自体が青春滲み出しで、それが見たいのである。撮影チームが横並びになって撮られたスチールとかまさにそれで、だから欲を言えば一人一人がもうちょっと際立って欲>>続きを読む

カモン カモン(2021年製作の映画)

4.1

脚本がすごかった、子供の高次元会話。大人の会話劇でないからテーブルに座ってではなく、自然な振る舞いもありながらの会話劇だった。主演の子供はさることながら、インタビューを受ける子供達はなぜあんな自然にむ>>続きを読む

ラストレター(2020年製作の映画)

3.8

風や空撮の浮遊感。岩井俊二の撮る田舎はファンタジーである。現実でない。田舎者に対して希望を持たせるのだが、やはり、現実ではなくスクリーンのみの世界でしかない。岩井俊二のファンタジーではかき消せないほど>>続きを読む

正しい日 間違えた日(2015年製作の映画)

3.7

種明かしやタイムスリップで時間を戻すのはあったけど、パラレルワールドで時間を戻すのは、初めてかもしれない。後編の序盤は前との違いを見付ける鑑賞だったけど、徐々に前と違いが出てゆき、最後の方はオリジナル>>続きを読む

あのこは貴族(2021年製作の映画)

3.9

タクシーがたくさん出てくる。高級車ではない運賃の安いタクシーってないのだろうか。
映画の中でもそういう内容があったけど、お金持ちへの妬みや、相続のドロドロでの対立をドラマとするのではない形で、東京にい
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ベルファスト(2021年製作の映画)

3.9

音楽と下から見上げた空バックのアングル。
画質の良いモノクロは余計な情報が入ってこない。
この前イベントで黒沢監督が、音楽は現場の生々しさをフィクションに戻す効果があると言っていたが、まさしくそうだっ
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天国にちがいない(2019年製作の映画)

3.6

ゆるいのに難解。人通りのない街はなんかコロナ渦のようだった。天国はこのくらい他人と接点のない国なのだろうか。災いが起こると街から人けがなくなる。戦争が起こっている今のヨーロッパと何かがリンクする。死ん>>続きを読む

ドンテンタウン(2019年製作の映画)

3.5

そんなに曇天だったか。監督さんは佐藤さんのおでこの素晴らしさを撮りたかったのだろうけど、やっぱりふらふら何を考えているかわからない役柄の笠松将ははまり役でそっちに持っていかれる。あの演技をされると虚構>>続きを読む

羊飼いと風船(2019年製作の映画)

3.8

大草原に解き放たれた赤い風船が全員を包括して終わった。明度高めの草原の色合いがこれまでになく美しかった。その中で民族衣装が映えていた。しかし、部外者である私がただその美しさを尊ぶのはお門違い甚だしいこ>>続きを読む

ホモ・サピエンスの涙(2019年製作の映画)

3.6

カメラが動かない。アップでも引きでもなくて、ちょうど傍観しているような特徴のないことが特徴な構図。白基調のやさしい色彩に整っている。役者も美男美女でない。ちょうど、のめり込んだり飽きたりしない数分で場>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

4.2

確かに館内で笑いが起こった。べつにコメディーではないのに笑いが起こった。なんてことだ。
偶然がエンタメになっていて、お上品に商業要素を付け加えてる。

第1話 コロナ・たられば・ズームからのバック
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架空OL日記(2020年製作の映画)

3.5

彼がいた世界といない世界がシームレスにつながっていて、ドラえもんが帰ってしまった世界には不在が存在しているけど、今回は不在が存在しない世界が最後に出てくる。不在が存在しない世界、それは地方出身者の東京>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.4

次のが始まっちゃったからそれを観る前にとりあえず感想とけりをつけないといけない。
3回泣いた。物語に感情移入した泣ではなく、物語は補助的な役割であって、物語よりももっとリアルな生々しい要素がハイライト
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バグダッド・カフェ(1987年製作の映画)

3.6

風景描写と歌の高音がマッチしてとても気高い映画になっていた。ロケーションが良かった。タンクを掃除するジャッケットの写真も、空の広さやブーメランの浮遊感も、日々の生活から離れたトリップ感があった。ストー>>続きを読む

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)

3.6

女の子の現実と虚構が混ざった世界で、夢物語の最後になにが残るのかというところだったけど、顔アップがそんな浮遊感に重力を与えていた。あの物語で周囲の環境はただの背景であって、松岡茉優だけが実態を伴ってい>>続きを読む

赤線地帯(1956年製作の映画)

3.8

普通に面白い。モノクロでこれだけ理解しやすいのだから、普段生活している肉眼の解像度の世界とは違う、何かをデフォルメするとかの技があって、撮影現場を肉眼で見られたなら普段の世界との違いがあって面白いかも>>続きを読む

君が世界のはじまり(2020年製作の映画)

3.4

監督の頭の中に絵があって、その域を超えられなかったような感じがする。江口のりこの娘のキャラは最初は設定がキツいように思えたが、この映画自体、設定がキツかったのでちょうど均等が取れていて終盤はとてもいい>>続きを読む

生きちゃった(2020年製作の映画)

3.7

彼は末っ子である。自分の意思ではなく周囲に合わせる。自分の周りが平穏になるように努める。かわいそうに思える人をほっとけない。自分の娘でさえ他人に任せた方が幸せだと思う。自分の意見を言えるのは男友達だけ>>続きを読む

スパイの妻(2020年製作の映画)

3.7

お金もかかっているだろうし、完成度の高い映画だった。
特に戦争の悲惨さを伝えるものでもなさそうで、日本軍が行なっていた残虐行為に注目するものでもないのだろうけど、ユダヤ人の強制収容の映画を見たばかりな
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ライフ・イズ・ビューティフル(1997年製作の映画)

3.7

彼の人生を美化してはいけないようには思う。彼と一緒に強制収容されていた、なにも冗談を言わない他のユダヤ人の人生を否定することになる。
エンタメとして素晴らしいこの映画が評価されることのヨーロッパでの反
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逃げた女(2019年製作の映画)

3.4

あれで終わらすか!?席を立っていいのか迷った。こっちは何も与えられず鑑賞前と何も変わらない。いつも通り退屈な会話劇なのだが、以前ならもう少し必死に会話する人が出てくる。そして何かしら状況も変わる。でも>>続きを読む

青春デンデケデケデケ(1992年製作の映画)

3.7

小刻みなカットでことが順調に進むストーリーは単純明快で見ていて気持ちが良い。その時々に引きのとても美しい風景のカットがある。そして最後仲間との別れの防波堤の長回しシーンのあの色合いが奇跡的な色をしてい>>続きを読む

ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ(2015年製作の映画)

3.6

様々な集会があって、どの集会でもものすごく喋り出す人がいる。誰かに自分のことを分かってほしいのだろう。移民の人たちにとっては警察までもが怯える対象になっていた。警察は政府管轄の組織でしかない。政府は国>>続きを読む

さよなら子供たち(1987年製作の映画)

3.7

社会の抑圧をこどもを通して表現している映画をよく観る。私の鑑賞の選択によるものなのか、そのような映画が多いのかはわからないが、物事の分別のつく大人の場合を映画にすると、直接的になり面白くならないのだろ>>続きを読む

シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

4.1

まだ大人になれていない私には辛い。シンジくんにまんまと出し抜かれた。今までずっと、いつまでも幼稚でいいよって肯定してくれていたのに、あんな大人らしく終わるなんて。今回だけに限らないが、最終回は自分だけ>>続きを読む

街の上で(2019年製作の映画)

3.7

いまを撮った映画だった。しかし、今はコロナ禍だし私はもう井の頭線にいない。下北沢は特殊な場所で、20代にあそこにいた人しか当事者になれない。そのような当事者か当事者になりたい人、楽しめる人が限定される>>続きを読む

山椒大夫(1954年製作の映画)

3.6

ストーリーはさておき、溝口監督のことは無知なのであるがあの時代の撮影技術で最も見やすく撮っている監督さんなのかなと思った。映像にストレスを感じなかったし、ジャケの水面の絵とか白黒の映像でも美しかった。>>続きを読む

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

3.8

彼女なのか彼なのかはフランケンと出会い神に近づいたというか神だから出会えたのだろうか。明らかに姉との対比で彼女の存在は別物だった。でも、あの子は天に召されることなく人間として今後も生きていく。そういう>>続きを読む

夏時間の庭(2008年製作の映画)

3.7

日本人の私でも共感できる題材だった。
物、思い出、価値はそれぞれに違って、物を複数人で所有するのは難しい。世代をまたいでは尚更難しい。物は持っていけるけど、庭は動かせないから、尚更難しい。でも庭は環境
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talk to remember(2015年製作の映画)

3.1

とても声がきになる映画。アップでも引きでも音量が変わらない。引きのときは肉声ではなくアフレコに聞こえる。役者とカメラの距離感と声の音量が一致しない違和感。どう録音しているのだろうか。バックで車や川の音>>続きを読む

カランコエの花(2016年製作の映画)

3.5

発言告白により状況は一変する。
まず保健の先生によるLGBT授業、そして恋心を告白すること。
今回の発言告白は状況を悪くしてしまったが、それを乗り越えなければ良い方にも変えられない。
短編だったので2
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レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ(1989年製作の映画)

3.2

彼らは野蛮なのだが、自分のスタイルを崩さない古風さが憎めなさを演出している。 
私には文脈がわからないので面白くなかったのか。

東京オリンピック(1965年製作の映画)

3.5

開会式までは日本の戦後復興のストーリーがあってとても感動したけど、競技映像は選手のバックグラウンドを取材するわけにもいかず、その場のアスリートの身体や音の臨場感よる表現になる。そこにはスタッフが世界レ>>続きを読む