むっしゅたいやきさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

むっしゅたいやき

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軍旗はためく下に(1972年製作の映画)

4.5

鑑賞記録。

深作欣二。
本作はテーマも明快、語るよりも戦地の実状と云った重みを感じるべき作品である為、レビューを割愛する。

黄金のウナギ(1979年製作の映画)

3.8

鑑賞記録。

カレル・カヒーニャ。
ナチス統制下、銃後に暮らした或る少年の物語。
父に教わったウナギ釣りをしている時、彼は父と共に居る心地であったのであろう。
淡々と映し出される日々の暮らしの中、一抹
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復活(2001年製作の映画)

4.3

人は、自らをも欺いて生きるべきなのか。
パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ。
原作はトルストイ三大長編の掉尾を飾る同名小説である。

原作小説は、冒頭に挙げた疑義を、革命前夜のロシア帝国を生きる主人公
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夜顔(2006年製作の映画)

3.5

鑑賞記録。

マノエル・ド・オリベイラ。
嫌な男は、年経ても厭な男である。

世にも怪奇な物語(1967年製作の映画)

4.0

ポーの世界。
三人の監督が、各一話を担当したオムニバス形式の作品である。
三名の監督夫々、原作との向き合い方と云ったドラマツルギーからその表現のマチエールまでもが見事に異なっており、作者を一にする作品
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(1990年製作の映画)

4.5

黒澤個人の精神世界。
黒澤明。
八編の掌編から成るオムニバス形式の作品であり、奇譚集、とでも呼ぶべき物語集である。

旧いフォロワーの方はご存知であろうが、私は重度の幻想怪奇小説マニアである。
『科学
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レック(2007年製作の映画)

3.0

鑑賞記録。

発症迄の個体差と言い、バチカン絡みの発生源が、何故か殺意を持って向かって来る事と云い、凡てがご都合主義では無かろうか。
と、言うか、ゾンビ化しているのに被害者は痛がるのか?
ゾンビとなっ
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ジュラシック・ワールド/新たなる支配者(2021年製作の映画)

3.5

鑑賞記録。

“ブルー”と云うアイコンの存在意義を無くした作品。
鑑賞者の思い出補正に頼った構成。
前作同様、パークのエピゴーネンに過ぎぬ様に思われる。

ジュラシック・ワールド 炎の王国(2018年製作の映画)

3.5

鑑賞記録。

噴火と云うファクターを加えても、子供の暴走と其のフォローが主体と言う点では全シリーズの焼き直しでしか無い。

ファニーとアレクサンデル(1982年製作の映画)

3.8

鑑賞記録。

イングマール・ベルイマン。
五時間版。
2023年のニューイヤーシネマに選んだが、徹底的な舞台美術や哲学性と云った長所よりも、冗長さが目立つ。
─そもそもファニーは余りストーリーに絡まな
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小さな恋のメロディ(1971年製作の映画)

4.3

小さな恋の物語。
男の子グループと女の子グループが、共に相手を意識し始める頃。

私にも、こんな頃が有ったなぁ、と、年の瀬に。

歩みつつ垣間見た美しい時の数々(2000年製作の映画)

5.0

分与される思い出。
夜を通し、ずっと眺ていた。
ヨナス・メカス。

作品を描き出すカット、其の作画法に関しては幾つも在ろうが、メカスの其れは、点描で抽象絵画を描くのに似る。
彼は短いカットを繋ぎ合わせ
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カオス・シチリア物語(1984年製作の映画)

4.8

鈴の音が呼び起こす、四つの寓話。
憧憬と郷愁に満ちた、オムニバス形式の作品である。
パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ。
劇作家ルイジ・ピランデルロの編んだ、未完の短編集『一年間の物語』より。
劇伴ま
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Kobieta samotna (孤独な女)(1981年製作の映画)

4.3

70年代ポーランド、見捨てられた人々。
監督は後に『ソハの地下水道』を著すアグニェシュカ・ホランド。
ポーランドの戒厳令と検閲により、公開を1987年迄遅らせられた、社会派ドラマ作品である。
尚、撮影
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阿賀に生きる(1992年製作の映画)

4.0

新潟県阿賀野川流域。
川に寄り添い、身を寄せ合いながら生きる人々を捉えた、ドキュメンタリー作品である。
佐藤真。

本作は全国の有志による、寄付のみで撮られた作品である。
また、撮影スタッフが三年もの
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さよなら、また明日(1960年製作の映画)

3.8

鑑賞記録。

ヤヌツ・モルゲンシュテルン。
スカした感じで良い味を出す、ツィブルスキィ目当てで鑑賞。

併し私の目は、ヒロイン役のテレサ・トゥシンスカに釘付けである。

…か、可憐だ…。

「何だ、こ
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SELF AND OTHERS(2000年製作の映画)

4.8

佐藤真。
素晴らしい。
「牛腸茂雄という写真家がいた─」。
こんなダイヤログから始まる本作は、西島秀俊と、カセットテープに残された牛腸本人の肉声を当てたポートレート集である。
彼の幾千枚、或いは幾万枚
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ラストエンペラー(1987年製作の映画)

3.5

鑑賞記録。

空の王座と、ダモクレスの剣。
満州国皇帝の浮華、盈虚。

『暗殺の森』もそうであったが、ベルトルッチらしい、イメージカラーを多用した、豊かでエモーショナルな画が多く見られるが、私には少々
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永遠の人(1961年製作の映画)

4.3

芒の穂の揺れる路。
荘厳で雄大な阿蘇山麓を背景に、他者が過去に犯した過ちへの寛恕と赦しを丁寧に描いた年代記である。
木下惠介。

本作の舞台は、1932年から太平洋戦争後1961年迄の約30年間を背景
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アメリカの友人(1977年製作の映画)

4.3

ヴィム・ヴェンダース。

綺羅星の様に居並ぶニュージャーマンシネマの旗手の中でも、色合い、光の遣い方、それに何と言っても情感は、初期ヴェンダースが頭一つ抜けている様に思われる。
フィルタを使用し空を赤
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縛り首の縄(1958年製作の映画)

3.5

ヴォイチェフ・イエジー・ハス、長編デビュー作。
ハスは第二次大戦後ポーランドの第三世代、所謂「ポーランド派」として知られるが、ポーランド派主流に戦争を総括した作品が多い事に比べ、普遍的なテーマを以て活
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト(1968年製作の映画)

4.3

セルジオ・レオーネ。
謂わずと知れた、マカロニ・ウエスタンの傑作である。

本作に就いては、先行フォロワー様方の詳細なレビューも多く在り、作成背景も含め、既に語れる余地も無さそうである為、レビューは次
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トラス・オス・モンテス(1976年製作の映画)

4.5

アントニオ・レイス。

ポルトガル語で「山の向こう」を意味するトラス・オス・モンテスは、国土の北東部、スペインと国境を擁する州であった(現在の統治区分ではアルト・トラス・モンテス準地域)。
ドイツの詩
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(1997年製作の映画)

3.8

静謐な叙情詩。

ルネ・マグリット『光の帝国』。
本作に、言葉は不要であろう。

火葬人(1968年製作の映画)

4.0

二次大戦、チェコ・スロヴァキアの総括。
チェコ・ヌーヴェルヴァーグ、ユライ・ヘルツ。
火葬場の支配人である主人公の姿を通し、二次大戦に於いてナチスに協力し、ユダヤ人を迫害した自国・自国民をも総括した作
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三日間(1992年製作の映画)

4.0

鑑賞記録。

冬の晴れ間、青色の浅い空。
枯れ草と列車。
今は亡きカテリーナ・ゴルベワと、『ノスタルジア』。

Praejusios dienos atminimui(1990年製作の映画)

4.3

リトアニアの鬼才、シャルナス・バルタス。
会話すら無い、完全に「言葉を排した」作品であるが、映し出される画は彼の土地の人々の暮らしと風土を雄弁に物語る。

鐘の音をバックに、吹雪の中を征く母子のシルエ
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クレーヴの奥方(1999年製作の映画)

4.5

鑑賞記録。

マノエル・ド・オリヴェイラ。
主演はマルチェロ・マストロヤンニとカトリーヌ・ドヌーヴの娘、キアッラ。
監督作品の常連、レオノール・シルヴェイラ、ルイス・ミゲル・シントラの出演も嬉しい、愛
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ガンジスの女(1974年製作の映画)

4.5

鑑賞記録。

記憶と愛、運命、死─。
人気の無い冬の海辺。
古い記憶が棲みつくホテルの午後。
重い波に、揺蕩う様な作品である。
マルグリット・デュラス。

本作に就いては、非常に叙情的・感傷的な作品で
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ベルリン・アレクサンダー広場(1980年製作の映画)

3.8

大都市と個性。
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー。
舞台は第一次大戦後、極度のインフレに苦しむドイツ帝国の首都・ベルリン。
元受刑者フランツ・ビーバーコップの、約一年間に渡る愛憎劇を記した作品であ
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ウィーンへの馬車(1966年製作の映画)

4.5

久し振りに、鑑賞後、深く深く─、溜め息を吐かされた。
チェコ、カレル・カヒーニャ。
第二次大戦中の同国を舞台に採った、ドラマ作品である。


全ては、森の中─。